生活習慣と健康、医療消費に関するミクロ計量分析

文献情報

文献番号
200400118A
報告書区分
総括
研究課題名
生活習慣と健康、医療消費に関するミクロ計量分析
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
小椋 正立(法政大学大学院エイジング総合研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 山田  武(千葉商科大学商経学部助教授)
  • 角田  保(大東文化大学経済学部専任講師)
  • 鈴木 玲子(日本経済研究センター研究員)
  • 鈴木  亘(東京学芸大学教育学部助教授)
  • 泉田 信行(国立社会保障・人口問題研究所社会保障応用分析研究部第1室長)
  • 佐藤 雅代(国立社会保障・人口問題研究所研究員)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
6,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 わが国のミクロ計量医療経済学の解明すべき課題は数多く残されている。第一は、医療機関の受診や健診の受診に関する制度間(企業間格差、保険制度間格差、地域間格差)の差異を発生させる社会・経済的要因の分析である。第二は、健診体制と医療保険制度間の連携効果の分析である。第三は、個人レベルで医療費に大きな影響を与えていると考えられる生活習慣の計量経済学的な分析である。喫煙や飲酒などの重要な生活習慣、個人の健康状態の自己認識、医療機関の受診行動、これらの相互の関係を社会経済的な世帯属性を踏まえて分析することは、わが国については、まだほとんど手付かずのまま、残されている。本研究では、ミクロ的な視点から生活習慣と医療サービスおよび医療費の複合的な関係を明らかにする。
研究方法
 医療費と生活習慣に関する個票データを用いた統計的または計量経済学的な分析を行う。
 本報告では、自己負担割合や診療報酬改定などの制度変更による医療需要、長期にわたる医療費の推計、医師誘発需要の検証、医療需要と不確実性、歯科受診動向の考察など、医療経済学の基本問題に関する計量経済分析を行った。また、同時に、喫煙と医療費、健康診断検査結果によるホームレスの健康状態、終末期医療とリビングウィル、仕事・家庭環境と生活習慣、などについて分析を行った。
結果と考察
 今年度の報告には、大規模なデータセットを利用して、患者負担の上昇に直面した消費者が医療需要をどう変化させ、それに医療機関がどう対処したかに関する実証分析が数編含まれている。最も注目される医療需要の価格弾力性は、外来はマイナス0.4以下、入院についてはマイナス0.1からゼロの間という結果となった。また医療費の分布とその時間的特性についてもいくつかの研究が実施され、上位10%が50%以上の医療費を消費しており、高額医療費は数年間持続するが、その背後には生活習慣病がある点について合意している。喫煙については、非喫煙者が喫煙した場合には、短期の医療費が年間4万円以上も上昇するという結果が得られた。
結論
 本研究班は、豊富な個票データを用いて医療経済の基本問題についていくつかの重要な貢献を行った。生活習慣病についても計量的な手法を軸として、生活習慣病に関する個人や保険者間の予防や管理のインセンティブの格差、健診結果による医療費の予見可能性、喫煙や飲酒などの危険行動が医療費に及ぼす影響などの分析が進行中である。

公開日・更新日

公開日
2005-06-15
更新日
-