文献情報
文献番号
200400113A
報告書区分
総括
研究課題名
少子化日本の子産み・子育てにおけるジェンダー構造に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
石原 邦雄(東京都立大学人文学部)
研究分担者(所属機関)
- 嶋崎 尚子(早稲田大学文学部)
- 神原 文子(神戸学院大学人文学部)
- 永井 暁子(家計経済研究所)
- 渡辺 秀樹(慶應義塾大学文学部)
- 澤口 恵一(大正大学人間学部)
- 稲葉 昭英(東京都立大学人文学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
1,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
21世紀、日本が直面している少子化問題は、国家的課題であり、緊急の検討・対策が求められている。本研究は、20歳代、30歳代男女における“子産み”、子育ての実態と意識におけるジェンダー構造を明らかにすることを目的とする。
研究方法
本研究では当初の計画に従い、平成15年度に全国規模の調査「子育てと家族関係にかんする全国調査」を実施し、平成16年度にそのデータを分析し、政策提言を含む結果をとりまとめた。
結果と考察
本調査データから、現代日本における子産み・子育ての実態や意識にみられるジェンダー構造は、男性は稼得役割責任を、女性は育児役割責任をという従来の性別役割規範の存在を強く示唆するものであった。そうした規範を反映し、有配偶で子育てをしているカップルにおいて、妻は子育ての負担感や家族生活での悩み・葛藤を強くし、夫は、家族と仕事の葛藤を強く抱いている。このような現状は、未婚者の結婚意向や子どもをもつ希望にも影響を与えている。性別役割規範を受容することが結婚や子どもをもつことを促進するという構造は、社会文化的趨勢とは明らかに対立してしまう。
結論
そうしたなかで性別役割規範意識とは別に、高学歴者を中心に結婚意向や子どもをもつ希望が表明されている点は注目すべきである。実際、女性の晩婚化や少子化の要因として想定されてきた高学歴女性・有職女性の子産み・子育ての意識や態度は、それ以外の女性たちと比して消極的ではなく、より積極的で肯定的なものでさえあった。このことは結婚希望についてもあてはまる。しかし、高学歴女性は男性の稼得役割責任に対しては否定的であり、これは、現在の経済状況への素直な反応とも考えられる。逆にいえば、子育てへの積極的態度、結婚への希望を持ちながらも、現在の経済状況を考慮して、結婚や、子産み・子育てを実現できていない人々がいる可能性が示唆された。
結婚希望の低い、学歴・職業構造上の位置が高くない者たちが、強い子育て負担感イメージや、子育てによるマイナスの側面の方を見る傾向が強いのは、このような現在の経済状況に対する認識が背景としてあるのではないだろうか。今後、低所得・低学歴の階層にとっても、結婚や子育てにかかわる不安・負担を取り除くことが課題である。
結婚希望の低い、学歴・職業構造上の位置が高くない者たちが、強い子育て負担感イメージや、子育てによるマイナスの側面の方を見る傾向が強いのは、このような現在の経済状況に対する認識が背景としてあるのではないだろうか。今後、低所得・低学歴の階層にとっても、結婚や子育てにかかわる不安・負担を取り除くことが課題である。
公開日・更新日
公開日
2005-04-01
更新日
-