確定拠出年金制度の運用実態に関する調査研究

文献情報

文献番号
200400106A
報告書区分
総括
研究課題名
確定拠出年金制度の運用実態に関する調査研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
田村 正雄(社団法人生活福祉研究機構)
研究分担者(所属機関)
  • 石田 成則(山口大学経済学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
7,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
目的は、確定拠出年金の実施企業および加入者に対してヒアリング調査を行い、制度運営の実態を把握することである。実施企業と企業型・個人型加入者に対するアンケートでは、「制度概要」「加入状況」「投資教育の現況」そして「運用商品の残高割合」などを調査し、個別企業により導入された制度や投資教育の平均像を明示するとともに、関連業務も含めた問題点を洗い出すことで、実施主体・加入者の声を反映した制度のあり方を模索してきた。こうしたなかで、本年度は「投資教育のあり方」に焦点を絞り、インタビューを中心とした実態調査を行った。
研究方法
ヒアリング対象企業については、14年度、15年度に実施したアンケート調査の協力企業39社をまず抽出し、そこからさらに業種、従業員規模、所在地などを見て、中小企業を中心に、全体がバラけるように絞り込んだ。これに基づいて、平成16年7月末から11月末までに、15社に出向き、直接、担当者から「投資教育」を中心に聞き取り調査を行った。このヒアリング調査に基づいて、確定拠出年金の普及促進および円滑な制度運営に関する知見を得た。
結果と考察
各加入者の意識、知識、意欲の二極分化現象が起こっており、しかもその現象は年を経るに従って深刻化している現状が明らかにされた。これに対して、投資教育をプロセスとして把握し、そのプロセスに応じて的確な情報を提供していくことが非常に重要である。そして導入前・導入後、さらに運用成果・結果が出たあとでは、投資教育に対する取組み姿勢は違ってくるので、実際に投資を行いながら学習していくというプロセスが大事になってくる。また、公私年金を取り巻く環境変化を十分に理解してもらい、自発的に取り組ませることも重要になってくる。
結論
事業主にとって、投資教育に関する費用対効果も無視できないが、投資教育を最低限度の責務として捉える姿勢よりも、従業員教育の一環として積極的な意義を見出していく発想も肝要である。説明責任を果たすためにも、運営管理機関と一緒になって投資方針・ポリシーを明確に打ち出しながら、それにそって運用商品の選定を行うべきである。こうしたことで、確実に加入者の退職資産形成を支援することにもなる。また、積極的な投資教育を行うことによって、従業員の時間的視野、リスク許容度などの資質を変え、それを労働生産性の向上や業務効率の改善につなげていくことにもなる。

公開日・更新日

公開日
2005-04-11
更新日
-

文献情報

文献番号
200400106B
報告書区分
総合
研究課題名
確定拠出年金制度の運用実態に関する調査研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
田村 正雄(社団法人生活福祉研究機構)
研究分担者(所属機関)
  • 石田 成則(山口大学経済学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
確定拠出年金は、従来の確定給付年金とは基本的に異なる制度内容・運営方法がとられていることから、制度の定着と適正な運営を早急に実現していくには、新たな見地からの基礎的な調査研究が必要であり、本調査研究は、運営管理機関側からではなく、加入者・実施企業側からの制度運営への取り組みの実態を把握するためのものである。
研究方法
本研究事業では、導入された確定拠出年金の制度概要、加入・掛金状況、投資教育の現状そして運用資産残高の現況などを中心に、2年間のアンケート調査(企業調査と個人・加入者調査)を実施し、3年目の最終年度には、「投資教育」を主たるテーマとしてヒアリング調査を行った。調査の対象は以下のとおりである。平成14年度アンケート調査では、企業型年金加入者について、実施企業100社・1,500名、個人型年金加入者については300名に配布し、企業67社・個人599名の回答を得た。平成15年度アンケート調査では、企業型のみを対象とし、実施企業290社・1,200名に配布し、企業151社・個人327名の回答を得た。平成16年度ヒアリング調査は、平成14年度・15年度アンケート調査回答企業の中から抽出した39社のうち了承のあった15社について実施した。
結果と考察
投資教育を積極的に行っている企業に所属する加入者は、株式投資信託に対する比率が高くなっている。それに対して、投資教育があまり積極的でないところでは、預貯金や保険商品の割合が高くなっている。さらに、個別資産を超えて、危険資産(株式投資信託、債券、株式)と安全資産(預貯金、保険商品)に区分して検証を行った結果、積極的に投資教育を行い、なおかつ、投資教育効果をきちっと把握している企業では、そこに所属している加入者は危険資産を積極的に保有している現状を確認することができた。
結論
確定拠出年金という制度と適正な投資教育というものがセットになれば、加入者の資産形成に確実に寄与することで、彼らの老後生活を豊かに、かつ安定したものにできる。あわせて、勤労・就労所得と資産所得のバランスをとることを可能にし、金融・株式市場を下支えする「賢い投資家」の養成にも繋がる。そして、運営管理機関が行う公共性が高い投資教育サービスをきちっと労使が評価し、そしてさらにその取組みを企業の利害関係者が評価をするという二重の評価システムの確立を、行政側が側面支援することも有益である。

公開日・更新日

公開日
2005-04-11
更新日
-