リスクアセスメントへの対応のための作業環境測定に係る簡易測定方法等に関する研究(総括研究報告書)

文献情報

文献番号
200301171A
報告書区分
総括
研究課題名
リスクアセスメントへの対応のための作業環境測定に係る簡易測定方法等に関する研究(総括研究報告書)
課題番号
-
研究年度
平成15(2003)年度
研究代表者(所属機関)
久保 國興(社団法人 日本作業環境測定協会)
研究分担者(所属機関)
  • 小西淑人(社団法人 日本作業環境測定協会)
  • 吉川正博(産業医科大学)
  • 薮田十司(北里大学)
  • 田村三樹夫(財団法人 上越環境科学センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全総合研究経費 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
9,900,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
現在、事業場で開発・使用されている化学物質は約5万種類といわれている。これらの化学物質の管理対策を推進するため、平成12年3月に「化学物質等による労働者の健康障害を防止するため必要な措置に関する指針」(以下「化学物質管理指針」と略)が公表され、事業場で取り扱う化学物質の有害性の特定、リスクアセスメント等を行うことが示されている。リスクアセスメントを行う上では、当該物質の作業環境中の濃度を測定することが有効な手段となるが、現在測定法が示されているのは作業環境測定が義務づけられている92物質のみであり、それ以外の物質については示されていない。これらの化学物質のうち、譲渡提供する際にMSDSを交付すべき物質として、有害性が高い638物質が規定されている。このため、有害性が高い物質について優先的に事業場での管理を推進するという観点から、638物質について文献収集、分析等により、リスクアセスメントに使用するための作業環境測定手法を確立する。
研究方法
化学物質管理指針等に示されている有害性の高いと考えられる638物質のうち、既に作業環境測定が義務付けられている82物質を除いた556物質を対象として選定し、平成14年度は研究を進めた。しかし、既存の作業環境測定方法以外にも異なったサンプリング、分析方法等がある場合には、マニュアルとして作成したほうが活用する幅が広がると考えられるため、638物質全てを検討対象物質とする。各物質の、既存の測定手法の有無および導入の可能性について、国内、国外の文献調査等を実施し、情報収集を行う。米国のNIOSH、OSHA、ASTM、EPAおよび英国のHSEから公表されている分析マニュアルについて調査する。情報収集を行った検討対象物質について①検知管による測定が可能な物質、②文献調査等により既存の測定法がある物質、③文献調査等により既存の測定法がないため、新規に検討が必要と考えられる物質に分類する。各分類に応じて検討項目を定める。
結果と考察
化学物質管理指針等に示されている有害性の高いと考えられる638物質のうち、文献調査等により何らかの既存の分析マニュアルがあるもの(検知管での測定が可能なものを含む)が441物質、サンプリングに関する情報のみあるものが68物質であった。これらのうち185物質については、検知管での測定が可能であった。また、現在市販されている検知管を利用して、校正方法を変更した実験等により39物質について測定の可能性があることがわかった。平成14年度の調査で既存の測定法がなかったものは158物質であったが、新たに29物質について既存の測定法があり、導入可能であることが判明した。その結果、既存の測定法がないものは129物質となった。このうちの9物質については、実験等から検知管による測定の可能性があることがわかった。また、分析を行うための標準試薬の有無を調査したところ、既存の測定法がない129物質中55物質については国内では試薬が市販されていないことがわかり、通常の化学分析が不可能であることが判明した。平成14、15年度の研究により、MSDSの交付が義務付けられている638物質のうち、509物質について簡易測定方法(検知管法)を含めた測定手法あるいはサンプリング方法が判明した。

結論

公開日・更新日

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