負荷履歴の影響を考慮した経年圧力設備の高信頼度弾塑性破壊評価手法の開発(総括研究報告書)

文献情報

文献番号
200301155A
報告書区分
総括
研究課題名
負荷履歴の影響を考慮した経年圧力設備の高信頼度弾塑性破壊評価手法の開発(総括研究報告書)
課題番号
-
研究年度
平成15(2003)年度
研究代表者(所属機関)
佐々木 哲也(筑波大学)
研究分担者(所属機関)
  • 本田尚(独立行政法人産業安全研究所)
  • 松原雅昭(群馬大学)
  • 伊澤悟(小山高等工業専門学校)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全総合研究経費 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
4,745,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国では各種産業プラントにおける圧力設備の経年化が急速に進んでいるが、経済の低成長化のために更新は困難であり、既存設備の寿命延伸に対する要求が強くなっている。このため、既存圧力設備の寿命延伸を可能にすることを目的として、破壊力学の手法を取り入れた維持基準の整備が産官学の協力体制の下で進められている。しかし、従来の弾塑性破壊評価では、負荷履歴等の影響は考慮されていないため、長期間運転した圧力容器や配管の破壊評価に適用した場合には、非安全側の評価となっている可能性がある。そこで本研究ではこれまで研究の行われていない弾塑性破壊挙動に及ぼす負荷履歴の影響を明らかにするとともに、その影響を信頼性工学的手法によって解析して現状の簡易弾塑性破壊評価手法へ組み入れることにより、信頼性の高い弾塑性破壊評価手法を開発することを目的とする。
研究方法
本研究は3年計画で筑波大学、独立行政法人産業安全研究所、群馬大学工学部、小山工業高等専門学校の4ヶ所で実施する。2年目に当たる平成15年度は次のような方法で研究を実施する。
まず、筑波大学、産業安全研究所では、R6法オプション2、3に適用可能な信頼性評価法として、応答曲面法の高度化について検討する。また、赤外線応力測定の精度を向上させるために、熱伝導の影響について評価する。
群馬大学、小山工業高等専門学校においては、既に開発済みの軸力・曲げ同時負荷制御試験機を用いて、オーステナイト系ステンレス鋼製の切欠き付き配管を用いて、①軸力・曲げ同時負荷試験、②軸力負荷後曲げ試験、③曲げ負荷後軸力試験の3種類の負荷履歴について実験を行い、塑性崩壊点や崩壊形態の違いを調べる。また、光弾性法によって切欠き付き配管の塑性崩壊を評価する手法を開発する。
結果と考察
筑波大学、産業安全研究所においては、R6法オプション2,3に適用可能な信頼性評価手法として、ニューラルネットワークを用いた応答曲面法を提案した。また、赤外線計測による応力評価、応力拡大係数範囲の評価に及ぼす熱伝導の影響を非定常熱伝導解析によって明らかにし、計測誤差を減少させる方法を示した。一方、群馬大学、小山工業高等専門学校においては、既に開発済みの軸力・曲げ同時負荷制御試験機を用いて、オーステナイト系ステンレス鋼製の切欠き付き配管に対して負荷履歴が塑性崩壊荷重に及ぼす影響を明らかにした。また、光弾性被膜法によって負荷履歴による塑性崩壊形態の違いを調べた結果、切欠き付き配管のリガメント部の全断面降伏による崩壊定義は、複合荷重条件によって適用に限界があることが示された。
結論
平成15年度の研究により、以下の結論を得た。
(1) ニューラルネットワークを用いた応答曲面法の開発により、離散的にしか値が得られない複雑な限界状態関数も近似可能となった。
(2) 赤外線計測による応力評価では、応力の測定値に熱伝導が大きな影響を及ぼすが、応力拡大係数範囲の評価にはほとんど影響を及ぼさないことが明らかになった。
(3) オーステナイトステンレス鋼製切欠き付き配管を用いて負荷履歴を変化させた弾塑性破壊実験を行い、負荷履歴が塑性崩壊点に及ぼす影響を明らかにした。
(4) 光弾性法で負荷履歴による塑性崩壊形態の違いを明らかにした。

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