作業環境中有害物濃度の連続測定による二次元可視化システムの開発とその応用(総括研究報告書)

文献情報

文献番号
200301152A
報告書区分
総括
研究課題名
作業環境中有害物濃度の連続測定による二次元可視化システムの開発とその応用(総括研究報告書)
課題番号
-
研究年度
平成15(2003)年度
研究代表者(所属機関)
神山 宣彦(独立行政法人産業医学総合研究所)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全総合研究経費 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
8,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
有害物質取扱作業場においては、通常は作業環境測定を行い、その結果に基づき作業環境管理対策が行われる。この方法では、作業環境測定を行った期間の有害物質の平均濃度は示されるが、作業者がその期間に様々な異なる作業を行っていた場合は、作業環境濃度に影響を及ぼしている作業が特定できにくいという問題がある。
本研究は、作業環境中の有害物質濃度と作業者の動線を含んだ情報をリアルタイムに可視化するシステムを開発するものであり、このシステムに依れば、常時環境濃度をモニターできることから、作業様式が変わったり、事故や修理などに伴って急に高濃度領域が生じたりするような作業環境の変化に作業者や事業主が適切に対応することができる。また、作業者のばく露にもっとも影響を与える作業を特定することができ、異なる作業を行う作業者ごとに作業環境濃度が提示できる。
さらに、有害物を取り扱う作業者の自発的な防護行動や環境改善への動機付けなど、安全衛生活動に対する教育的効果をあげることができると考えられる。また、有害物質を取扱う作業者へのばく露量の減少や環境濃度の低減により、各種の職業疾病の防止効果も期待できる。
研究方法
本研究によって構築しようとする可視化システムにおいては、設置する測定器から電気的な出力信号をPCが扱えるような信号に変換してから、PCへ伝送することとした。これは、有害物の測定器が被測定物質毎に異なっていても、これらの測定器から出力される電気的な信号を基準化することによっていかなる測定器であっても、本システムへの接続が可能となるようにするためである。
これらの条件を踏まえ、本研究では、作業形態を粉じん発生作業とし、想定する有害物濃度測定器をデジタル粉塵計とした。本年度に行うこととしたテーマは、複数箇所に配置された測定器からの測定値を収集する技術の開発である。
作業場に広範囲に配置した測定器から、測定結果を収集するための方法は、数多く想定された。これらについて比較検討し、その中から、本システムに最も適当な手段を選択するとともに、測定値のリアルタイム収集装置を製作した。
結果と考察
粉じん測定器とデータ送受用無線設備、データ収集用プログラムの製作により、多数の測定器を同期して測定を実施しその測定結果を収集して保存し、表示することが可能となった。
現在までに、測定された多量のデータをPCに保存することは、問題なく実現できるようになった。しかしながら画像表示のプログラムに於いては、表示速度が遅く改善の必要があると考えている。ただこれはPCの能力に依存する部分もあるため、PCの発達に期待する面もある。また、測定器の設置位置が等間隔にできない場合などに、ディスプレイ上に於いても実際の配置位置を反映させることができるようにするなど、実際に作業環境で測定を行う場合を想定した操作性の改善しなければならない点がまだ多くあると考えられ、次年度にはより操作性の良い使いやすいものとして完成させたいと考える。
この設備を使用することで、測定器の置かれたエリアでの粉じん濃度の変化の様子がPCの画面上に表示されるので、粉じんの発生、拡散の状態が観察できる。また高濃度の粉じんの突発的な発生の場合にでもそれを把握することが可能であると考えられる。また、発生した粉じんが拡散して行く様子が把握できるので、局所排気装置などが設置されている場合、その効果の判定が容易にできると考えられるなど、環境の状態を把握する以外のこの設備の使用法についても考案して行きたい。
結論

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研究報告書(紙媒体)

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