医薬品の適応外使用情報の標準化及び評価に関する研究(総括研究報告書)

文献情報

文献番号
200301108A
報告書区分
総括
研究課題名
医薬品の適応外使用情報の標準化及び評価に関する研究(総括研究報告書)
課題番号
-
研究年度
平成15(2003)年度
研究代表者(所属機関)
川合 眞一(聖マリアンナ医科大学)
研究分担者(所属機関)
  • 津谷喜一郎(東京大学大学院薬学系研究科)
  • 神庭重信(山梨大学大学院)
  • 景山 茂(東京慈恵会医科大学)
  • 赤真秀人(ファイザー株式会社メディカル部門)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全総合研究経費 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成13(2001)年度
研究終了予定年度
平成15(2003)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
画期的な新薬の開発は人類全体の福祉に貢献するが、一方では、ある疾患や病態に対してすでに承認された医薬品でも、その後の臨床研究などにより他疾患に対して有効性が認められることも少なくない。しかし、一般に適応症拡大を実施するには、治験で新たな疾患に対して有用性を証明する以外は現状では極めて困難である。その結果医療現場では、医師は適応外と知りつつ治療を行なうことになるが、保険医療や副作用情報の収集などのさまざまな問題点が指摘されている。こうした場合、もし諸外国を含めた臨床研究などの成績を利用して適応症拡大が可能であれば、臨床試験の被験者を最少にする意味でも、また医療経済学の面からも行政や国民福祉に大いに役立つものと思われる。さて、従来の調査で得られた結果を実際に適応症拡大に利用するためには、医薬品と適応症の組み合わせについてのエビデンスを臨床の立場から検証することが次のステップとなる。この検証には領域毎の違いも考えられるが、それらを越えて共通する部分には一定の基準が必要である。
そこで、今回の研究ではこれらの医薬品と適応症の組み合せの文献的なエビデンス調査法の標準化を検討する。その具体例を示すために、適応外使用が多く原因療法が確立していない疾患領域として、精神神経疾患、内分泌代謝疾患、およびリウマチ膠原病疾患を取り上げ、それらの疾患における適応外使用をモデル調査する。その検討を進める中で適応外使用情報の標準化手法を検討し、評価法を含めたガイドラインとしてまとめ、行政および国民福祉に役立てることを目的とした。
研究方法
モデル調査として、精神神経疾患、内分泌代謝疾患、およびリウマチ膠原病疾患について検討した。各領域で各々の専門家である研究分担者がそれぞれの研究協力者を選任した。まず、本研究のベースになるメタアナリシスなどの方法論を検討した。また、現在までの適応外使用医薬品の承認状況を調査した。次に、疾患領域別に具体的に適応外使用の例を調査し、文献のメタアナリシスを行った。これらの結果から総合的な評価指標につき考案した。
結果と考察
分担研究者の津谷は、本研究の基となった従来の調査の総括を行い、その情報を背景に標準化手法の分析と実際の適応外使用医薬品の承認状況の調査などを行った。神庭は、抗うつ薬のパニック障害への適応拡大について調査し、十分に適応拡大する根拠があると結論した。景山は、高脂血症、特に高Lp(a)血症に対する抱合型エストロゲンの効果について検討し、その低下作用があると結論した。赤真は、全身性エリテマトーデスの腎症(ループス腎炎)に対するシクロホスファミド療法について検討し、腎機能悪化抑制効果が確認された。これらの事実は、適応症拡大に利用されるべきだが、一方で従来から指摘されているように、これらの根拠となる文献は殆どが海外のものであった。
結論
文献的検索からは、科学的には適応外使用医薬品を承認すべきとも考えられたが、他の調査と同様に海外文献が中心であった。このことなどから、今回の研究からは一定の基準で適応外医薬品を承認するための標準化マニュアルを作成することはできず、今後の課題と思われた。

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