看護師資格試験における良質な問題の作成システム及びプール制導入に関する研究(総括研究報告書)

文献情報

文献番号
200301087A
報告書区分
総括
研究課題名
看護師資格試験における良質な問題の作成システム及びプール制導入に関する研究(総括研究報告書)
課題番号
-
研究年度
平成15(2003)年度
研究代表者(所属機関)
濱田 悦子(日本赤十字看護大学)
研究分担者(所属機関)
  • 川原由佳里(日本赤十字看護大学)
  • 吉田みつ子(日本赤十字看護大学)
  • 佐々木幾美(日本赤十字看護大学)
  • 谷津裕子(日本赤十字看護大学)
  • 朝倉京子(新潟県立看護大学)
  • 樋口康子(日本赤十字看護大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全総合研究経費 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
4,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、諸外国の看護師資格試験の実態をふまえて、我が国の教育制度、看護基礎教育における教育目的、資格試験で受験者に求める能力と照らし合わせながら現行の看護師資格試験制度を分析、検討し、看護師資格試験の作成システム及びプール制導入について提言することである。
研究方法
1)試験問題作成方法のガイドラインの試作
昨年度までの研究成果から看護師国家試験の問題の作成方法や出題形式、信頼性・妥当性の検討方法について整理し、試験問題作成方法のガイドラインを試作した。
2)専門家(保健師助産師看護師国家試験委員の経験者)対するヒアリング調査
(1)対象:保健師助産師看護師国家試験医院の経験者10名(大学教員7名、病院看護部長及び看護副部長2名、官公庁に勤務する者1名)。
(2)方法:予め試作したガイドラインを配布し、事前に読んでもらうよう依頼した。ヒアリング調査時は、対象者に対してガイドラインの内容妥当性、現行試験での応用可能性、所感などについて意見を聞き、分析した。
3)試作したガイドラインを用いて問題作成未経験者が試験問題を作成できるかどうかの検討
(1)対象:問題作成未経験者10名(看護職)
(2)方法:作成したガイドラインに従って、問題作成を依頼した。
(3)日程:2003年7月~9月 
4)作成した試験問題に対する看護学生の回答結果による試験問題及びガイドラインの信頼性と妥当性の評価
(1)対象:看護学生26,961名
(2)方法:株式会社テコムインターナショナルの協力を得て、模擬試験に組み込む形で実施した。その解答パターン、正解率、識別指数などによって評価した。
(3)日程:2003年11月~2004年2月
5)上記の結果をふまえたガイドラインの修正
6)倫理的側面への配慮
本研究を実施するにあたり、倫理的な配慮として、対象となる期間及び個人に不利益とならないように十分に説明を行い、双方の了解のもとにヒアリング調査や問題作成、試験実施、結果の評価等を行った。
結果と考察
1)ガイドラインは「看護師国家試験プール制の概要」、「公募用多肢選択式問題開発マニュアル」、「試験問題の分析・評価のための指針」という3つの解説書で構成した。「看護師国家試験プール制の概要」では、看護師国家試験プール制のシステムに関する組織とその役割、委員の資格、問題作成のルート等を概説した。「公募用多肢選択式問題作成マニュアル」では、試験問題を公募する際の問題作成の手順を具体的に説明した。「試験問題の分析・評価のための指針」では、過去に出題された問題をブラッシュアップするための方法を示した。
2)10名の専門家を対象としたヒアリング調査によって、各ガイドラインの修正箇所や運用上の課題が明確になった。
3)10名の問題作成未経験者が問題作成をし、最終的に採用した問題は必修問題5問、一般問題26問、状況設定問題9問の合計40問であった。
4)看護学生26,961名を対象とした作成問題の試験を実施した結果、40問の平均正解率は69.5%、平均識別指数は0.13であり、解説書を用いることで一定水準の問題が作成できることが示された。また、解答肢の作成方法や必須問題、出題内容、タクソノミー等に関する解説書の考え方について改良すべき点が明確になった。
5)上記を踏まえてガイドラインが改正され、研究班が提案する問題作成システムの特徴及び運用上の課題を明確にした。
結論
本研究により現行の看護師国家試験のあり方を改善するための一資料を提示することができた。プール制度導入にあたっては、公募システムにおけるセキュリティの問題、応募者を動機付けるような魅力的なシステム、トライアウト問題の導入、委員会の作業配分や委員会相互の連携方法等について更なる検討が必要である。

公開日・更新日

公開日
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更新日
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研究報告書(紙媒体)