標準的電子カルテにおける画像観察液晶モニタ、汎用液晶モニタの標準化と制度管理に関する研究

文献情報

文献番号
200301019A
報告書区分
総括
研究課題名
標準的電子カルテにおける画像観察液晶モニタ、汎用液晶モニタの標準化と制度管理に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成15(2003)年度
研究代表者(所属機関)
石垣 武男(名古屋大学)
研究分担者(所属機関)
  • 宮坂和男(北海道大学)
  • 西谷 弘(徳島大学)
  • 伊藤春海(福井医科大学)
  • 遠藤登喜子(国立名古屋病院)
  • 村田喜代史(滋賀医科大学)
  • 安藤 裕(慶應義塾大学)
  • 小寺吉衞(名古屋大学)
  • 池田 充(名古屋大学)
  • 島本佳寿広(名古屋大学)
  • 藤田広志(岐阜大学)
  • 紀ノ定保臣(岐阜大学)
  • 尾辻秀章(大阪府済生会吹田病院)
  • 楠本昌彦(国立がんセンター中央病院)
  • 櫛橋民生(昭和大学横浜市北部病院)
  • 原 眞咲(名古屋市立大学)
  • 佐々木康夫(岩手県立中央病院)
  • 渡辺秀幸(産業医科大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全総合研究経費 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
標準的電子カルテ構築に向けて、情報の観察用の液晶モニタに関して医用画像の診断能、文字情報の認識能、観察による疲労などの点を含み、安全性、モニタ劣化の検討、その耐用年限などについて検討し、さらにCRTモニタのこれまでの成果を踏まえて電子カルテにおける画像観察液晶モニタ、汎用液晶モニタの標準化と精度管理に関する検討を行うことが総合的な目的である。本年度の研究目的は1.医療用の最適液晶モードの検討、2.液晶モニタの画素数と鮮鋭度、3.液晶モニタ画素数別の画像診断能である。
研究方法
医療用の最適液晶モードの検討では工学、光学的な見地からの検討するとともに、モニタ製造メーカが行っている研究資料及び文献的な考察を加味して共同で検討した。液晶モニタの画素数と鮮鋭度の検討では1M,2M,3M、5Mの性能の白黒液晶ディスプレイのMTFを測定。では10名の画像診断専門医が半年にわたり、5種類の画像表示方法、すなわち、1M,2M,3M、5Mの性能の白黒液晶モニタと2000本系のCRTモニタを用いて肺の淡い結節影の有無に関して、それぞれ154枚の胸部エックス線写真を読影した。そのデータをもとにROC解析を行った。胸部エックス線写真は日本放射線技術学会作成の「標準デジタル画像データベース(胸部腫瘤陰影像)」を用いた。
結果と考察
医療用の最適液晶モードの検討では液晶の主な動作モードの中で高精細ディスプレイであり、かつ視野角特性が優れていることでIPS(In-plane Switching)モード、VA(Vertically Aligned)モードが画像診断用として現段階では最も適していると結論付けられた。液晶モニタの画素数と鮮鋭度の検討では画素数が多ければ多いほどMTFが良いというような画素数とMTFの明確な関係は認められなかった。画素の形状、構成、液晶の種類による違いが大きく影響していると考える。特に、2MのMTFが他と比べて著しく低下していたのは、画素の方式と形状の違いによると考える。液晶モニタ画素数別の画像診断能の検討ではモニタの種類(画素数)によって、結節の検出能に有意な差は認められない結果であったが、「1M」以外の液晶モニタにおける結節の検出能はCRTモニタに比較すると高い傾向が認められた。このことは、結節のある画像における読影者の結節のあるとする確信度について分析した結果においても同様であった。また、使用した画像間と読影者間では結節の検出能に有意な差が認められ、「標準デジタル画像データベース(胸部腫瘤陰影像)」における「異常陰影検出の難易度」が適切であることを裏付けるものとなった。
結論
現在画像診断にふさわしい性能を実現するための液晶ディスプレイとしてモノクローム階調ディスプレイが製造されている。使用されている液晶モードは Dual-Domain IPS か Multi-domain VA であった。一方、液晶モニタを医用画像診断に用いる場合、その診断能、すなわちモニタの画像数、解像度、コントラスト分解能が問題となる。MTFによる今回の検討では、アナログ画像のような解像度とMTFの関係が見られなかった。液晶モニタのモードによる画像表現の違いをさらに科学的に検討する必要がある。画素数別のモニタによる胸部レントゲン写真の
診断能については、肺結節という限られた標的、すなわちコントラストの差を見きわめるというテストでは差が見られなった。解像度はモニタ毎で異なるものの濃度分解能は8ビットで、いずれも同じである。空間周波数の異なる標的を対象としたROC解析が次年度では必要である。

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