日本における災害拠点病院と災害時派遣医療チーム(DMAT)のあり方に関わる研究(総括研究報告書)

文献情報

文献番号
200301003A
報告書区分
総括
研究課題名
日本における災害拠点病院と災害時派遣医療チーム(DMAT)のあり方に関わる研究(総括研究報告書)
課題番号
-
研究年度
平成15(2003)年度
研究代表者(所属機関)
辺見 弘(国立病院東京災害医療センター)
研究分担者(所属機関)
  • 佐々木勝(都立府中病院)
  • 坂本哲也(帝京大学医学部)
  • 山口芳裕(杏林大学医学部)
  • 大友康裕(国立災害医療センター)
  • 本間正人(国立災害医療センター)
  • 井上潤一(国立災害医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全総合研究経費 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
都道府県の能力を超えるような大災害や化学生物放射能(NBC)災害の際に、迅速に対応できる医療チーム(DMAT)の設立に当たり、必要となる事項について検討すること。
研究方法
平成13年度厚生労働科学特別研究「日本における災害時派遣医療チーム(DMAT)の標準化に関する研究」にて効果的な災害時派遣医療チーム(DMAT)の構築のために早急に解決すべき問題点と今後の課題について報告した。本年度は問題点を解決すべく以下の点について検討した。
1, 広域傷病者搬送における受け入れ病院応力の検討
日本全国の約520箇所の災害拠点病院に対しアンケート調査を行い、大災害時の広域傷病者搬送について発災後24時間以内の重症外傷、血液浄化療法を必要とするクラッシュ症候群、広範囲熱傷患者の受け入れ状況について調査を行った。
2, 東京都におけるDMATの導入の検討
地域レベルでのDMAT導入を達成するために、東京都に対してDMATの導入を
働きかけた。
3, DMATチームの災害現場活動の実際:トリアージと法的問題
災害現場でDMATチームが活動する際の具体的な問題点として、従来の消防、救助、救急隊によるトリアージとDMATチームのトリアージの違いについて、法的問題も含めて検討した。
4, NBC災害に対する医療派遣チームの検討
NBC災害現場にて活動可能な医療派遣チームについて基礎的研究を行った。
5,DMAT隊員の教育プログラムの開発
DMAT隊員教育のための基本コース(コアコース)プログラムを作成した。
6,広域傷病者搬送の諸問題:搬送拠点基地医療施設と傷病者トラッキング
広域傷病者搬送を行うために必要となる、搬送拠点基地医療施設(ステージングケアユニット)の人員、活動について検討するとともに、広域傷病者搬送の際の医療情報の伝達と追跡(傷病者トラッキング)について基礎的な研究を行った。
7,都市探索救助医療(US&R)DMATにおける諸問題
都市探索救助医療(US&R)に連携するDMATの標準装備、出動、研修トレーニングについて基礎的な研究を行った。
結果と考察
本研究のテーマは、多種な災害時においてトレーニングを受け、迅速に活動できる医療チーム(DMAT)の諸問題について具体的に解決することであり、本年は特に都道府県レベルでのDMATの構築を目標とした。
都道府県レベルでのDMAT体制としては、殊に東京都において「東京DMAT」として発展したが、発展過程において本研究班の活動が大きな影響を与えたと考えられる。特にDNAT隊員トレーニングコースプログラムや教材に関しては、当研究班で開発したDMAT研修コアコースプログラムが用いられた。
広域傷病者搬送については、本研究班により集計された災害拠点病院受け入れ傷病者アンケート結果、搬送拠点基地医療施設(ステージングケアユニット)や航空搬送に関する基礎研究をもとに、さらに厚生労働省あるいは内閣府により検討が加えられ、中央防災会議において東海地震大綱等として東海地震の際の広域傷病者搬送計画が立案された。平成16年9月1日の防災の日において、内閣府を初めとする国関係機関と静岡県が連携し、大規模な広域医療搬送護訓練を実施する計画であり、本研究班の基礎研究に基づき、医療チーム(DMATチーム)が訓練に参加することとなるであろう。
結論
東京都、静岡県において、当研究班のDMATに関する基礎研究成果を基にDMAT計画や広域傷病者搬送計画が推進された。
今後の課題として、
1,開発したDNAT隊員トレーニングコースプログラムを全国に普及する必要がある。
2,広域搬送医療に関して、より繊細な搬送拠点基地医療施設(ステージングケアユニット)計画や航空搬送計画、患者情報伝達(傷病者トラッキング)能力を開発すること。
3,特殊災害に対応する医療チーム(NBC-DMAT)や都市探索救助医療(US&R)に対応するDMATの研究をさらに進める必要がある。

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研究報告書(紙媒体)

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