関節リウマチにおける内科的治療の検証に関する研究(総括研究報告書)

文献情報

文献番号
200300670A
報告書区分
総括
研究課題名
関節リウマチにおける内科的治療の検証に関する研究(総括研究報告書)
課題番号
-
研究年度
平成15(2003)年度
研究代表者(所属機関)
當間 重人(国立相模原病院)
研究分担者(所属機関)
  • 衛藤義人(国立名古屋病院)
  • 安田正之(国立別府病院)
  • 千葉実行(国立療養所盛岡病院)
  • 松井利浩(国立相模原病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 先端的厚生科学研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
13,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本邦における内科的RA治療の変遷による治療効果、副作用を検証することにより、既存の治療薬の再評価を行いつつ、今後導入される新治療薬の縦断的評価も合わせて行うシステムを確立しようというものである。近年、アメリカリウマチ協会によりRA治療におけるガイドラインが提示されたが、内科的投与薬剤の選択基準については本邦独自のEBMに基づく基礎的データが必要である。すなわち、本邦における各種抗リウマチ薬や生物学的製剤の有用性を客観的に評価することにより各種薬剤の位置づけを明らかにする必要がある。本研究では、新規参入薬を含めた抗リウマチ薬や生物学的製剤の有用性を検討することにより、「関節リウマチ治療ガイドライン」の参考資料として採用されうるレベルのエビデンスを有する結果が得られるものと考えている。
研究方法
政策医療:免疫異常ネットワーク(リウマチ部門)を中心とした多施設共同研究である。平成14年度は4施設、平成15年度は24施設の参加が予定されている。関節リウマチ患者の身体状況、検査所見、薬剤情報あるいは有害事象などについて、年1回データを収集し統計的手法で解析する。本研究においては、「関節リウマチ患者データベース作成あるいは統計解析用ソフトの開発」、さらに統計のパワーを高めるための「登録患者数の確保」、が最も重要な必要条件である。平成14年度は、4施設から2683人のデータ収集を行ったが、平成15年度はソフトの改良充実及び統合サーバと参加施設クライアントパソコンとのオンライン化を完成させた。一部オンライン化ができない施設に関しては、紙あるいは電子媒体によるデータ収集方法を確定した。なお、患者情報収集に際しては、「疫学研究に関する倫理指針」を遵守している。
結果と考察
平成15年度は平成14年度のデータベースを基に統計処理を行い、さらには過去の報告あるいは他施設との比較検討を行った。その結果は、①患者の男女比は約1:5、平均年齢は60.6歳、平均罹患期間は14.1年。DAS28の寛解基準を8.5%は満たしていたが、28%は高活動性群であり、23%に人工関節手術歴があった。②本研究班4施設と一般医療施設での抗リウマチ薬使用状況には明らかな差異が認められた。③RA患者の生命予後が改善していた。死因への関与という意味で、RA患者特有の合併症に関する分析が必要であろうとの提言がなされた。 ④1年間という短期的追跡に基づく情報ではあるが、多施設共同研究として2683人年という分母を得た上での結核あるいは悪性腫瘍の新規発症率を算出することができた。⑤RA患者の疾患活動性指標として有用性が認められているDAS28(disease activity score28)について詳細な検討を行った。診療に際して客観的かつ経時的に有用なスコアであると考えられた。
結論
平成14年度から取組み始めた「関節リウマチデータベース収集システム」がほぼ完成した。参加24施設からの平成15年度分情報が収集されつつあり、本邦における関節リウマチ患者の実態がさらに正確な形で把握されることになる。関節リウマチに関する基礎的疫学情報として貴重な資料となるであろう。これらの統計データの一部は、インターネットを介して公開する予定である。さらに今回構築されたネットワークは、多施設共同臨床研究体制の構築をも意味するものである。すなわち本システムは「リウマチ白書」作成のみならず、免疫異常ネットワーク及び臨床研究用ソフトを利用することにより様々な全国規模の臨床研究の迅速化、効率化に貢献しうるものである。

公開日・更新日

公開日
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更新日
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