半導体などナノ粒子によるDDS

文献情報

文献番号
200300615A
報告書区分
総括
研究課題名
半導体などナノ粒子によるDDS
課題番号
-
研究年度
平成15(2003)年度
研究代表者(所属機関)
山本 健二(国立国際医療センター研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 湯尾明(国立国際医療センター研究所)
  • 切替照雄(国立国際医療センター研究所)
  • 狩野繁之(国立国際医療センター研究所)
  • 石坂幸人(国立国際医療センター研究所)
  • 名取泰博(国立国際医療センター研究所)
  • 大河内仁志(国立国際医療センター研究所)
  • 鈴木和男(国立感染症研究所)
  • 太田敏夫(東京薬科大学)
  • 近藤昭彦(神戸大学)
  • 落谷孝広(国立がんセンター研究所)
  • 斯波真理子(国立循環器病センター研究所)
  • 片岡一則(東京大学大学院工学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 先端的厚生科学研究分野 萌芽的先端医療技術推進研究(ナノメディシン分野)
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
111,575,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ナノ粒子の利用法について近年様々な展開が見られる。例えば量子ドットについて考えてみた場合、量子メモリー、RGBの量子ドットを用いたディスプレイ等の工業的利用、プローブとしてのイメージング技術への応用やドラッグデリバリーシステムのキャリアーとして等の生物・医療応用など幅広い分野に渡っている。特徴のある新規材料を利用するにあったって、現在知られていない様々な性質が存在すると考える。今後これら新規材料の製造過程、利用方法、廃棄に於ける安全性の検討が必要となてくるだろう。またこのような新規材料を再利用するなどリサイクルについての技術開発も必要である。それと同時にバイオナノテクノロジーなど新規分野は、様々な学術バックグランドが必要でありこの分野の技術開発には、異分野の融合が必要である。特に化学工学と生命科学との連携が重要であると考える。また後継者となる研究者の養成が必要であると考える。原子力、航空宇宙、情報工学の3分野が、これまでに発展してきたようにナノテクノロジーも今後継続的に発展させるだけの十分な成果があると確信している。半導体QD(半導体ナノ粒子)は、蛍光性を持ち、蛍光持久時間が長く、サイズにより異なる蛍光色を発する性質を持つが親水性に乏しく、また塩濃度、Phなどにより、細胞培養条件では凝集し易く医薬生物学への応用が困難であった。昨年我々は、この半導体ナノ粒子を表面加工し医療への応用が十分可能であるようにした。そのような観点に立ち立生物材料などを通じた、バイオナノ工学的に自己組織化法による蛍光ナノ粒子の合成を行ない、超極限分子プローブとして生物・医療応用を行う事を目的としている。
また近年、ゲノムバイオロジーの進歩により、新しい遺伝子製剤が次々と登場し、遺伝子治療も現実に患者に適応される時代になった。外来遺伝子を生体内の標的部位へと運ぶ遺伝子治療用ベクターも高度な進化を遂げている。しかしこれらの遺伝子ベクターが生体内で最大限の治療効果を発揮するためには、生体内への投与方法、発現量や発現期間の制御の方策、標的への確実なデリバリーなどをさらに改良・工夫し、同時に生体にとって安全かつ副作用の少ない方策を考じる必要がある。これらの目的を達成するためのアプローチとして、再生医学・組織工学の領域で用いられる生体親和性の高いバイオマテリアルと遺伝子治療に用いるDNAベクターとを融合させることにより、最適な濃度ー時間軸に従って生体への遺伝子ベクターの導入とその発現を制御する方法の開発に取り組む必要がある。本研究でアテロコラーゲンを用いて遺伝子との複合体は条件によってはナノサイズの粒子を形成する。このナノサイズ複合体の安定な供給をはかるとともに、そこにさまざまな成分を共存させることによって、治療用外来遺伝子を体全体あるいは特定の作用部位へとデリバリー可能な画期的な技術を提供することがアテロコラーゲンナノ粒子によるDDS開発研究班の研究目的である。
高分子ナノミセルについては、分担研究者の片岡が世界に先駆けて高分子のナノ集積手法に基づいて創製した高分子ナノミセルであり、は、ウサイズがウイルス(~50ナノメートル)と同等という微小サイズでありながら、分子認識能や環境応答能などのマルチ機能を搭載可能な超機能化システムであり、表面を生体適合化する事も可能である。本研究においては図に示すように、遺伝子等を内核に搭載した超機能化高分子ミセルの開発を行い、「必要な時(timing)に、必要な部位(location)で、必要な診断や治療(action)」を最小限の副作用で達成する「ナノ遺伝子治療」を創出する。
研究方法
研究に用いている半導体ナノ粒子はセレン化カドミウムを核、硫化亜鉛を殻とする コア・シェル型ナノ粒子である。この粒子はトリ・オクチル・フォスフィン・オキサイド(TOPO)と言う有機溶媒を350℃に加熱し、溶融させた状態で合成されている。則ち、その溶融したTOPOに酸化カドミウムとセレンを同時に打ち込み単分子分散させる。分散した時に、溶媒の温度が270℃程度の一旦低下するが、さらに加熱し300℃にて一定に保つと、TOPO溶媒内で半導体ナノ粒子が自己組織化する事により生成されてくる。半導体ナノ粒子は、量子サイズ効果を持っているためこのように非常に均質な粒子直径を持つように製造される必要性がある。
このようにして合成された量子ドットは、疎水性化合 物であるが、11-メルカプトウンデカン酸と硫化亜鉛とを結合させて粒子表面にカルボキシル基を出させることによって親水性粒子としている。この置換方法は、まず11-メルカプトウンデカン酸を80℃に加熱し恒温に保つと溶融しており、この溶融した11-メルカプトウンデカン酸に前述の量子ドットを溶かしこみ数時間放置することにより置換し、さらにナトリウム塩叉は、カリウム塩として親水性を示すようになる。このようにして表面加工された量子ドットは、水によく分散する。ところがこのままでは、中性または、塩基性水溶液には分散できるが、酸性溶液中または高塩濃度において凝集し析出してくると言った欠点がある。 半導体ナノ粒子の親水化は既報の研究ではカルボン酸によるものがほとんどである。このカルボン酸で親水化した半導体ナノ粒子は中性から塩基性水容液では分散安定である。このナノ粒子を細胞に導入し、標識を行ない、その標識化された細胞を生体内に導入し、細胞の動態解析を行なう。
結果と考察
本年度は以下の成果が得られた。
1)半導体ナノ粒子の生物・医療応用班
(1)本研究は、一桁ナノメートルサイズの量子ドットを用いて、生物・医療分野に利用できるように、表面加工および表面修飾し、薬物伝達システムの開発を可能することを目的として行うものである。本年度は、実際に細胞を量子ドットで標識しその細胞をマウス生体内に導入し、その生体内動態を観察した。その結果、尾静脈から注入された、量子ドット標識化リンパ球系株化細胞(EL4)は、導入後5日間、血管中に存在し、7日後には消失する事を観測した。この事からこの細胞の生体導入後動態解析システムの有用性を確認した。また、安全性についても検討し、細胞レベルでの毒性試験を行って評価した。その結果、現在のCd/Seの製造方法、および表面加工の課程を経て利用している量子ドットに関しては、0.1mg/mlで細胞毒性がではじめる事が判明した。それにより、このナノ粒子の細胞毒性の出ない閾値があることが判り、産業的に安全性の目標と成る基準値が設定可能であることが示唆された。
(2)ヒト血液細胞への遺伝子や蛋白などの分子導入が困難で、このことが効果的な薬物送達システム(Drug Delivery System, DDS)の開発の大きな妨げとなっている。本研究においては、ヒト血液細胞株を用いて、遺伝子(オリゴヌクレオチド、プラスミド)の導入効率改善を試みた。蛍光指標としては、FITCなどの従来より用いられてきたものの他に、量子ドットも用いた。又、一部の実験においては、マウスのin vivoの系への応用も考慮して、マウス細胞株での検討を行った。検討した遺伝子導入手法は、エトキシレーテッドポリエイチレンイミン(EPEI)法、HVJエンベロープベクター、ヌクレオフェクターの3つの方法で、いずれも従来の手法よりはるかに良好な結果を生みだしたが、その中でも特にヌクレオフェクターが最も効率が優れ、プラスミドDNAの導入実験に貢献した。一方、HVJエンベロープベクターは、蛋白の導入にも有効で、ヒトのみではなくマウスの血液細胞にも有効であった。しかも、エンドゾームではなく細胞質への直接の導入が可能であった。
(3)様々な波長で安定した高い輝度の蛍光を発するなの粒子カンタムドットは、将来の感染症学研究や感染症診断への応用にとって欠かすことの出来ない手段となると考えられる。本研究では感染症学研究や感染症診断にカンタムドットがどのように応用できるかを明らかにする。抗IgG 抗体標識 Qdotを用いて、感染症とくに、肺結核の診断への応用をめざし研究を行った。
(4)標的治療は病巣局所治療薬の濃度を向上させ、薬剤使用量や副作用の軽減につながり、臨床上大変有用である。我々は、ペプチドによる特定分子(RET蛋白)に対する標的化について検討を行ってきた。RET binding peptide (RBP1)は、8つのペプチドからなり神経芽腫に好発するRET蛋白を認識する。臨床診断応用のために、3価のFeを有する磁性体ナノパーティクルにRBP1を結合させることに成功し、これまでに、MRI (4.7T) により5X106個のRET陽性細胞を認識している。さらに、RBP1と化学療法剤との複合体形成により、治療効果の増大も期待される。しかしながら、実際の標的化の効果について、磁性体や化学療法剤を細胞レベルで直接評価することは困難である。今回、われわれは蛍光放射光顕微鏡(SX-FM)の開発により、細胞内元素分布の画像化を可能とした。SX-FMは、磁性体であるFeやPt製剤(シスプラチン)の細胞内での局在を明らかにした。今後、白金などの生体にない元素をラベルすることで、SX-FMは標的化のモニターに有用と考えられる。
(5)尿細管間質病変の進展は糸球体腎炎の増悪に重要な役割を果たす。本研究では、尿細管上皮細胞への選択的DDSの標的分子の候補としてフラクタルカイン(FKN)に注目し、ヒト腎疾患及びラットモデルを用いてその発現動態を調べた。正常腎組織にはFKNの発現はほとんど見られなかったのに対し、腎疾患患者52例中15例の腎尿細管間質領域(多くは尿細管上皮細胞)にFKNが検出された。FKN陽性例の多くはFKN受容体も陽性であり、FKN陽性例は陰性例に比べて、血液尿素窒素、血清クレアチニン値、尿蛋白のいずれも高値を示した。また間質への白血球浸潤の程度はFKNの発現が高い症例ほど顕著であり、FKN陽性の尿細管の周囲には多数の白血球が観察されることが多かった。同様の現象は動物モデルでも観察された。これらの結果から、FKN発現尿細管上皮細胞は腎炎における間質白血球浸潤や病態の進展に重要な役割を担うことが示唆され、DDSの標的分子となる可能性が示された。
(6)正常ヒト角化細胞と線維芽細胞への半導体ナノ粒子の取り込みを検討し、14日間の観察を行った。ともに細胞内に取り込まれたが、細胞分裂に従って、個々の蛍光強度は減少した。創傷治癒過程のモデルとしてのヒト角化細胞によるシート状増殖する新しい実験系を構築した。
(7)本研究の目的は、低侵襲な方法(注射等)により生体内で標的部位へピンポイントに薬剤、遺伝子、タンパク質等を輸送して効率よく導入することで、副作用を軽減することができるキャリアー(運搬体)を開発することである。本研究ではB型肝炎ウイルス表面抗原(HBsAg)粒子をキャリアーとして用いることを試みた。この粒子は、ウイルスゲノムを除去したタンパク質中空ナノ粒子であるため、内部に薬剤等を封入することで、ヒト肝細胞に安全かつピンポイントに導入することができる。本年度は、このタンパク質中空ナノ粒子に外来タンパク質を封入し、ヒト肝臓に特異的に導入することを試みた。モデルタンパク質としてオワンクラゲ由来緑色蛍光タンパク質(GFP)を用い、HBsAgタンパク質のC末端側に融合させて形成した粒子が、ヒト肝臓に効率よくGFPを導入可能であることを確認した。
(8)本研究の目的は、低侵襲な方法(注射等)により生体内で標的部位へピンポイントに薬剤、遺伝子、タンパク質等を輸送して効率よく導入することで、副作用を軽減することができるキャリアー(運搬体)を開発することである。本研究ではB型肝炎ウイルス表面抗原(HBsAg)粒子をキャリアーとして用いることを試みた。この粒子は、ウイルスゲノムを除去したタンパク質中空ナノ粒子であるため、内部に薬剤等を封入することで、ヒト肝細胞に安全かつピンポイントに導入することができる。本年度は、このタンパク質中空ナノ粒子に外来タンパク質を封入し、ヒト肝臓に特異的に導入することを試みた。モデルタンパク質としてオワンクラゲ由来緑色蛍光タンパク質(GFP)を用い、HBsAgタンパク質のC末端側に融合させて形成した粒子が、ヒト肝臓に効率よくGFPを導入可能であることを確認した。
(9) 親水性有機化合物(11-メルカプトウンデカン酸:MUA)で表面被覆したCdSe/ZnSコアシェル型ナノ粒子(QD-MUA)、およびサンプル中に混在するMUAのDNA損傷性の有無について、ヒトのリンパ腫由来のWTK1細胞を用いたコメットアッセイで調べた。WTK1細胞を2種のQD-MUA(粗精製品、限外濾過精製品)、およびMUAで2、12、24時間処理した後、常法にしたがってアガロースゲルに包埋したスライド標本を作成し、細胞を低温でアルカリ溶解後、アルカリ条件下(pH13、0℃)でDNA unwindingと電気泳動を行った。1本鎖DNA切断によって核から流れ出すDNA断片を、エチジウムブロマイドで染色してDNA移動距離(tail length)を50個の核について測定した。QD-MUAは50micro-g/ml以上の用量でWTK1細胞にDNA損傷を誘発したが、その作用は精製品の方が弱かった。MUAは25micro-g/ml以上の用量で強いDNA損傷性を示した。以上の結果から、QD-MUAのDNA損傷性の原因が親水性加工に用いたMUAに起因していることが推定され、親水化加工に用いる物質の選択が重要であることが示唆された。また、5 mg/ml QD-MUA(粗精製品)0.5 mlをマウスに強制経口投与、および腹腔内投与(90 mg/kg BW)したが、投与後2週間において毒性兆候となる臨床症状は認められなかった。
(10)親水性有機化合物で表面被覆したCdSe/ZnSコアシェル型ナノ粒子(QD: Lot. SZU020521A)、およびこのサンプル中に混在するTrioctylphosphine oxide (TOPO)、硫化亜鉛(ZnS)について、細胞毒性ならびにDNA損傷性の有無を検索した。試験にはヒト培養細胞であるWTK-1細胞を用いて4時間処理を行い、生存率の測定とコメットアッセイによるDNA損傷性を調べた。親水加工CdSe/ZnSナノ粒子の懸濁液では500 _g/ml未満の濃度で細胞毒性を示さず、250 _g/ml未満の濃度でDNA損傷性が認められなかった。
2)アテロコラーゲン・ナノ粒子によるDDS
我々はバイオマテリアルの一種であるアテロコラーゲンがDNAと相互作用して複合体を形成し、効率よく細胞に取り込まれた後、遺伝子を発現させる能力があることを明らかにしてきた。アテロコラーゲンは複合体を形成したDNAの細胞への取り込み、酵素分解に対する抵抗性、さらには徐放効果を促進する働きがあるため、遺伝子治療用ベクターの生体内へのデリバリー方法として優れている。さらに最近この複合体はナノサイズの粒子を形成することが明らかとなり、疾患部位に応じた様々なデリバリーシステムの構築が可能なことを意味する。本年度は、この複合体の粒子形成の詳細な検討を行い、アンチセンスオリゴヌクレオチドやsiRNAの遺伝子医薬の安定なナノ粒子形成の条件設定に至った。
3)超機能高分子ミセルによる遺伝子導入システム開発班
(1)本研究の目的は、ナノテクノロジーを用いて、種々の機能を持つ遺伝子導入ベクターを開発し、in vitroおよびin vivoの遺伝子導入実験を行い、遺伝子導入ベクターとしての評価を行うことである。われわれが以前に報告した、ポリイオンコンプレックス(PIC)ミセルの内核をSS結合で架橋することにより、さらに血中安定性を上昇させること、また、細胞内の還元環境ではベクターがDNAから遊離すると考えられ、in vivoでの発現効率をするのではないかと考えられ、実験を行った。SS結合を導入することにより、in vivoでの血中安定性を上昇することができた。In vitroでの遺伝子発現はHepG2細胞、Cos-1細胞、血管内皮細胞、THP-1細胞、平滑筋細胞を用いて行った。架橋ミセルにより、HepG2細胞、Cos-1細胞、血管内皮細胞、THP-1細胞への遺伝子導入が可能であった。特に血管内皮細胞およびTHP-1細胞ではSS結合の導入により、遺伝子発現の効率の著明な上昇を認めた。また、SS結合の導入により、in vivoでの遺伝子発現を認めた。
(2)本研究の目的は、合成高分子であるブロック共重合体の分子設計を通して、生体内異物認識系による排除、ベクター自体の毒性、搭載可能なDNA分子量に関する制約などの問題点を解決する新しい遺伝子ベクターシステムを構築し、その遺伝子治療における有用性を明らかとすることにある。本年度は、種々カチオン構造を有するブロック共重合体からなるベクターの培養細胞に対する遺伝子導入効率を測定するとともに、側鎖に細胞内環境で選択的に開裂する架橋を施すことによって発現効率を大幅に高めることに成功した。
結論
本年度研究を通じて、半導体ナノ粒子の合成効率が、10倍以上に良く成った。そのため、今後様々な分野で使用されることが予想されるこの新規材料の安全性について今後十分検討していく必要性が出て来た。我々が合成している半導体ナノ粒子について、細胞毒性を調べて見たところ、いずれの直径のものでも0.1mg以下なら細胞毒性を示さずに使用可能であることが判明した。また更に近年多くの新規機能材料が設計・製造され使用され廃棄されている。また今後増々加速度的に新しい製造方法とともに世に出てくるだろうと考える。まず設計段階では、技術、ニーズなどのレベルでは異分野の交流が必要となる。また製造段階、使用段階、廃棄を通じて安全性について十分検討する必要性がある。
昨年度我々は、タンパク質やその他の生体分子に結合させその細胞内動態を観察するのに充分な特性を有する事がしめせた。今年度我々は、細胞内動態解析のために必要な表面加工法を開発するとともに、実際開発された方法を利用して、細胞内分布や生体分布について、実際応用し今後新しいナノプローブの性能を評価した。すなわち半導体ナノ粒子を、リンパ球系株化細胞(EL4)を用いそれを半導体ナノ粒子によって染色し、それを用いてマウス生体に尾静脈より導入した。10日間の観測により、7日間は、血管内に導入された細胞のほとんどが存在したが、その後、肺、脾臓に集積することが碓認できた。
今後半導体ナノ粒子を薬物やタンパク質に結合し、動物生体内の導体を生きたまま体外より解析することが可能となると考える。このことより、生物・医療における更に安全な展開に向けての素地が築かれたと言える。

公開日・更新日

公開日
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更新日
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