インフルエンザパンデミックに対する危機管理体制と国際対応に関する研究

文献情報

文献番号
200300520A
報告書区分
総括
研究課題名
インフルエンザパンデミックに対する危機管理体制と国際対応に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成15(2003)年度
研究代表者(所属機関)
田代 眞人(国立感染症研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 喜田宏(北海道大学大学院)
  • 河岡義裕(東京大学医科学研究所)
  • 岡部信彦(国立感染症研究所)
  • 小田切孝人(国立感染症研究所)
  • 鈴木宏(新潟大学)
  • 鈴木康夫(静岡県立大学)
  • 菅谷憲夫(けいゆう病院)
  • 奥野良信(大阪府公衆衛生研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 先端的厚生科学研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
25,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成15年2月中旬に香港で発生したH5N1型鳥高病原性インフルエンザのヒト感染例、3~5月オランダでH7N7型流行の際の多数の結膜炎症例と1名の肺炎死亡を含む呼吸器感染例、ヒト-ヒト間の感染伝播例、同じ時期に世界各地に波及した重症急性呼吸器症候群(SARS)の流行発生、さらに12月末から東アジアで発生したH5N1型鳥高病原性インフルエンザの流行と高い致死率を示したヒト感染例、アメリカ・カナダにおけるH7N3型、H5N2型などが生じた。これらにおいては、新型インフルエンザによる大流行への進展が危惧され、国内および国際的な対応が講じられた。新型インフルエンザによるパンデミックに対する危機管理と国際対応について、緊急に対処すべき事態となっている。一方、SARSは新型インフルエンザ対応の予行演習とも評価され、今後の感染症危機管理に対する準備・対応において様々な教訓を残した。これらを基盤として、我が国における新型インフルエンザパンデミック対策と国際協力体制の確立を目的とした。
研究方法
新型インフルエンザの早期検出のためのサーベイランス体制の在り方、緊急ワクチン開発に関する技術改良の確立、安全性と有効性を検証するための臨床試験の実施方法、抗ウイルス剤の備蓄方法と有効な使用法の確立、公衆衛生上の介入手段とその有効性、法的および倫理的評価などについて、各分担研究者が緊密に連絡を取りながら検討した。また、WHOやG7における多くの新型インフルエンザ対策関連会議や検討計画に参画し、多くの勧告、ガイドライン等に関する基礎資料を作成、提供するとともに、その作成に参画した。
結果と考察
パンデミック準備・対応計画について、 緊急対応と中期的な準備対応の両面から検討を進めた。対策としては、1)国際的なインフルエンザ監視体制の確立と情報の共有およびわが国の国際貢献、2)新型インフルエンザワクチン緊急開発、安全性・有効性の検証、緊急増産、緊急接種体制の確立、3)抗インフルエンザ薬の備蓄と使用方法の確立、4)健康の確保と社会機能の維持を目的とした、医療サービスの維持・確保と必須な社会サービスの維持・確保体制の確立を中心とする危機管理体制の確立に関して、様々な方面から検討した。これらに基づいて、WHOのパンデミック計画のためのチェックリストとガイドライン等を作成し、我が国の準備・対応計画にも貢献した。
結論
インフルエンザパンデミック対策は地球レベルの危機管理問題であり、その目的は1)新型インフルエンザの出現を阻止または遅らせ、2)健康被害を最小限にとどめ、3)社会機能の崩壊を防ぐことにある。これに対する準備・対応計画の確立が急務である。

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