幹細胞機能のエンハンスメントによる非破壊的造血幹細胞移植法の確立

文献情報

文献番号
200300402A
報告書区分
総括
研究課題名
幹細胞機能のエンハンスメントによる非破壊的造血幹細胞移植法の確立
課題番号
-
研究年度
平成15(2003)年度
研究代表者(所属機関)
中内 啓光(東京大学医科学研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 高木智(東京大学医科学研究所)
  • 岩間厚志(東京大学医科学研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 総合的プロジェクト研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究(再生医療分野)
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
48,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
造血幹細胞の骨髄ニッシェへの生着とそこでの自己複製と分化機構を明らかにし、最小限の前処置で効率よく造血幹細胞を骨髄ニッシェへ生着させることが臨床の現場から望まれている。我々はこの問題に現実的な側面からアプローチすることを考え、Lnkノックアウトマウスにおける骨髄造血活性の亢進を解析し、これを造血幹細胞の機能エンハンスメントに利用することが本研究の目的である。
研究方法
c-Kitなどのシグナルを抑制的に制御する機能を持つアダプター分子Lnkのノックアウトマウスにおける骨髄造血活性の亢進を解析し、これを造血幹細胞の機能エンハンスメントに利用する。具体的にはLnkに対するRNAi、およびドミナントネガティブ型Lnkを開発・同定し、正常造血幹細胞の造血能の向上、選択的増殖優位性の付与に応用する。
結果と考察
Lnk遺伝子を欠損したlnk-/-マウスにおいては造血幹細胞数が約20倍(8週令マウス骨髄)に増加しているだけでなく、正常マウス由来の造血幹細胞よりも強い骨髄再構築能を持つことがクローナルな解析から確認された。またLnkに対するRNAi、およびドミナントネガティブ型Lnkを開発・同定した。Lnkに対するRNAi、およびドミナントネガティブを利用して正常造血幹細胞の造血能を向上させ、選択的増殖優位性を付与しうる可能性が示された。今後はこの系をマウスの骨髄移植の系に応用し、有効性を確認する予定である。
結論
lnk-/-マウスの解析からLnkが造血幹細胞活性を抑制的に制御していることが明らかとなった。したがって、Lnkの機能抑制により、正常造血幹細胞の造血能を向上させ、選択的増殖優位性を付与しうるものと考えられる。

公開日・更新日

公開日
-
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
-
更新日
-