高齢者虐待の発生予防及び援助方法に関する国際的研究(総括研究報告書)

文献情報

文献番号
200300247A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢者虐待の発生予防及び援助方法に関する国際的研究(総括研究報告書)
課題番号
-
研究年度
平成15(2003)年度
研究代表者(所属機関)
多々良 紀夫(淑徳大学社会学部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 総合的プロジェクト研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成13(2001)年度
研究終了予定年度
平成15(2003)年度
研究費
6,084,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
日本で開発された高齢者虐待早期発見・早期介入に関する成果物を海外に発信すると同時に、海外から学べることは、日本での配布物に反響させること。世界8カ国において、高齢期の心配事等に関するアンケート調査を若者と高齢者に実施することも含まれていた。
研究方法
日本から海外に発信することに関して言えば、本研究は2つの成果物を完成させた。1つは、日本、北アメリカおよびイギリスで出版された高齢者虐待の文献のリストを作成して書籍としてこれらの国の大学図書館へ配布の計画をたてている。2つ目は、『高齢者虐待早期発見・早期介入ガイド』(第4版)である。ガイドは、もともと日本国内で配布するために4年前から毎年作成しているものであるが、本年度から米国高齢者虐待問題研究所(NCEA)の協力を得て北アメリカの日本人コミュニティーへも限られた部数ではあるが配布することになった。次に海外から学べることに関しては、海外の研究協力者(アメリカ、アルゼンチン、オーストラリア、カナダおよびノルウェー)の論文を日本語に翻訳して出版することが決まっている。最後に、高齢期の心配事等の研究は、合計8カ国(アメリカ、カナダ、オーストラリア、フィンランド、ノルウェー、韓国、台湾、および日本)において若者800人高齢者800人(合計1,600人)のアンケート調査を完了した。
結果と考察
高齢期の心配事の研究は、世界的にも類のない大がかりな国際的世代間比較研究であった。いくつかのことが判明したが、その代表的なものは、以下の通りである――(1)韓国の若者と高齢者は、自国の政府に対して研究に参加したどの国の者より批判的であった。(2)日本の若者は、韓国や台湾の若者よりも欧米の著者に考え方が似ているようであった。たとえば、「政府が高齢者の面倒を見ているかどうか」また「政府は高齢者の権利を守っているかどうか」に対しての日本の著者の回答パターンは、むしろ欧米の若者のそれに似ていた。(3)日本の高齢者の場合、韓国ほどではないが、欧米の高齢者よりも政府に批判的であった。成果物の作成は、予定通り完了した。
結論
高齢者の心配事の研究に関しては、主任研究者が、北アメリカの専門誌に投稿するための論文を執筆する計画である。と同時に、海外研究者と共同で2006年の米国老年学会の大会でシンポジウムを開催すべく申請を準備中である。本研究の成果物と複数の研究活動(学会発表等)は、日本と海外において多数の研究者や実践者に大きなインパクトを与えた。

公開日・更新日

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