痴呆予防と初期痴呆高齢者に対する日常生活支援の方法に関する研究(総括研究報告書)

文献情報

文献番号
200300230A
報告書区分
総括
研究課題名
痴呆予防と初期痴呆高齢者に対する日常生活支援の方法に関する研究(総括研究報告書)
課題番号
-
研究年度
平成15(2003)年度
研究代表者(所属機関)
内藤 佳津雄(日本大学文理学部)
研究分担者(所属機関)
  • 本間昭(東京都老人総合研究所)
  • 石原治(東京都老人総合研究所)
  • 下垣光(日本社会事業大学)
  • 小野寺敦志(高齢者痴呆介護研究・研修東京センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 総合的プロジェクト研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成13(2001)年度
研究終了予定年度
平成15(2003)年度
研究費
6,844,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
地域での日常的な生活行動を通じた痴呆予防活動に資するため、認知記憶機能および日常生活機能に関する簡易な自己評価指標の標準化を目的とした。また実際に研究成果に基づいた痴呆予防活動を企画、実施し運用上の課題の検討および効果の測定を行った。
研究方法
(1)東京都近郊のI市で65歳以上の住民からランダムサンプリングした2002名を対象とした郵送調査を行った。調査内容は認知記憶機能、日常生活機能、外出・社会的活動・外出の抑制要因などの社会的行動に関する質問項目が含まれていた。(2)大都市近郊都市において、身体機能、社会の中での役割、社会的交流を軸とした痴呆予防・進行抑制を目的とした活動の企画に参加し、実際に8回のプログラムを実施した。(3)認知記憶機能等の縦断的な変化を調べるために昨年度調査した宮城県O地区において面接調査を実施した。
結果と考察
(1)外出、社会的活動、仕事、外出の抑制理由などをあわせて、日常生活機能と認知記憶機能の関係を非線形的な解析方法で検討したところ、身体機能、日常の中の知的活動が認知記憶機能全体と相関が認められた。さらに足腰の衰えと忘却や貯蔵・符号化といった記憶機能との関係が示唆された。また3年間の調査結果をあわせて、認知記憶機能と日常生活機能の自己評価指標の標準的データを示し、信頼性を検証した。(2)企画実施した痴呆予防活動は、身体、日常の文脈に近い活動等にするなどの研究成果を取りいれたほか、専門性を有する外部講師を起用し市民講座や趣味講座に模する形で行うことで参加に対する抵抗感を減らしたり、ボランティア学生を起用することで配慮が行き渡るようにした。介入の前後で面接調査を行い、効果を検討したところ改訂長谷川式簡易知能評価スケールについて前後で得点の向上が認められる傾向が得られた。
結論
1)認知記憶機能および日常生活機能は相関が高く、日常生活の状態を向上させるような支援のあり方は痴呆予防につながる廃用性機能障害等による知的機能低下の予防に有効ではないかと考えられる。2)研究成果に基づいて作成した痴呆予防教室のプログラムは、参加者の参加動機づけを高め、また開催に要する専門家の人数を最少にした形態をとって、どこでも開催しやすい活動を提案した。活動の理念、運営方法、評価の方法などの成果は今後、各地域で痴呆予防を含む介護予防活動を開催する上でモデルになるものと言える。また、HDS-Rの得点が改善される傾向がみられるため、さらに対象人数を広げて検討すべきである。

公開日・更新日

公開日
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更新日
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研究報告書(紙媒体)