漢方薬(十全大補湯)による術後感染症予防 (総括研究報告書)

文献情報

文献番号
200300222A
報告書区分
総括
研究課題名
漢方薬(十全大補湯)による術後感染症予防 (総括研究報告書)
課題番号
-
研究年度
平成15(2003)年度
研究代表者(所属機関)
北島 政樹(慶應義塾大学医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 北川雄光(慶應義塾大学医学部)
  • 今井栄子(慶應義塾大学病院)
  • 今津嘉宏(済生会中央病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 総合的プロジェクト研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
10,837,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
漢方薬(十全大補湯)が、消化器領域の癌手術における術後感染症の予防に有用であるかどうかを検討する。
研究方法
慶應義塾大学病院外科と済生会中央病院外科において、消化器領域の癌(食道癌、胃癌、大腸癌)により全身麻酔下で開腹ないし内視鏡手術を受ける患者のうち、40歳以上の患者を対象とし、十分に研究の趣旨を説明し、文書による同意を得た上で、コントローラーにより十全大補湯服用群、偽薬服用群に無作為割付される。割付は原発部位およびステージにより層別化する。服薬期間は術前の服薬可能な時期までの1週間および術後4週間目までの経口可能な時期に投与する。エンドポイントとして、30日以内に発生する(1)創感染および縫合不全(2)感染合併症(肺炎、尿路感染症など)(3)カテーテル感染を検討する。また、全身性炎症反応症候群-代償的抗炎症反応症候群、栄養状態についても評価する。
結果と考察
研究担当者である慶應義塾大学医学部外科ならびに済生会中央病院外科との間で研究プロトコールについての検討会を開催し、最終プロトコールを決定した。現在までに食道がん6例、胃がん5例、大腸がん5例の計16例の登録(うち3例脱落)があり、研究を行っている。食道がんにおいて2例術後感染を認めた。感染群と非感染群では、術後4日目以降の栄養状態の改善に違いがあると考えられるが、今後の検討を要する。食道がん4例におけるサイトカインの変化は、炎症性サイトカイン(IL-6, IL-8, TNF-α)が、手術を契機に術後2日目まで変化を認める。抗炎症性サイトカイン(IL-1ra, IL-4, IL-10)のうち、IL-1raとIL-4については、術後2-3日まで変化を認めるが、IL-10については感度以下であった。その他、INFγ,GM-CSFについても検討しており、今後の症例の蓄積により十全大補湯投与群と偽薬投与群、感染群と非感染群での違いについても検討していく予定である。
結論
十全大補湯を用いた術後感染症予防のRCT研究において、現在のところ13例中2例(投与群1例、非投与群1例)に術後感染が見られた。炎症性サイトカインは術後2日まで大きく変動が見られた。

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