文献情報
文献番号
200300186A
報告書区分
総括
研究課題名
介護予防事業の有効性の評価とガイドラインの作成(総括研究報告書)
研究課題名(英字)
-
課題番号
-
研究年度
平成15(2003)年度
研究代表者(所属機関)
安村 誠司(福島県立医科大学)
研究分担者(所属機関)
- 甲斐一郎(東京大学大学院)
- 芳賀 博(東北文化学園大学)
- 新野直明(国立長寿医療研究センター)
- 伊木雅之(近畿大学)
- 安田誠史(高知大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 総合的プロジェクト研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
10,140,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は転倒・骨折予防、「閉じこもり」予防など介護予防に関わる事業の実施状況(事業実施・目標の設定・評価の方法等)の把握が目的である。さらに、その結果を元に、転倒・骨折予防、「閉じこもり」予防について、有効性・効率性が認められた自治体で実地調査を実施し、それをまとめた介護予防ガイドラインを作成することが目的である。
研究方法
1.介護予防事業に関する全国調査、介護予防事業の評価
人口規模・地域別に層化二段階方式の抽出により、1537市区町村を対象に調査票を用い、郵送法にて調査を実施する。調査内容としては、①自治体の特性(人口、高齢者人口、要介護認定者数、社会資源状況等)、②行政組織(組織図、予算、保健・福祉職員等)、介護予防に関わる事業として、③実施の有無、④企画立案体制・実施主体・予算、⑤事業内容(事業名、プログラム)、⑥事業実施状況(実績)、⑦評価の有無、⑧具体的評価方法(評価指標、評価時期、評価者等)である。調査で得られたデータを基に、事業の分析を行い、どのような特性を有している自治体・事業が効果を上げているのかを明らかにする。2.介護予防事業に関する実地調査・ガイドライン作成手法の開発
上記の全国調査で、効果のある事業を展開していると判断された自治体(人口規模や地域の異なる複数の自治体)に対して、本研究の分担研究者が実地調査を行う。担当職員との面接や、資料収集を行う。この際、ガイドライン作成を意識し、現状における課題や今後の方向性等に関しても明らかにする。また、介護予防ガイドライン策定の手法に関する開発を行う。
人口規模・地域別に層化二段階方式の抽出により、1537市区町村を対象に調査票を用い、郵送法にて調査を実施する。調査内容としては、①自治体の特性(人口、高齢者人口、要介護認定者数、社会資源状況等)、②行政組織(組織図、予算、保健・福祉職員等)、介護予防に関わる事業として、③実施の有無、④企画立案体制・実施主体・予算、⑤事業内容(事業名、プログラム)、⑥事業実施状況(実績)、⑦評価の有無、⑧具体的評価方法(評価指標、評価時期、評価者等)である。調査で得られたデータを基に、事業の分析を行い、どのような特性を有している自治体・事業が効果を上げているのかを明らかにする。2.介護予防事業に関する実地調査・ガイドライン作成手法の開発
上記の全国調査で、効果のある事業を展開していると判断された自治体(人口規模や地域の異なる複数の自治体)に対して、本研究の分担研究者が実地調査を行う。担当職員との面接や、資料収集を行う。この際、ガイドライン作成を意識し、現状における課題や今後の方向性等に関しても明らかにする。また、介護予防ガイドライン策定の手法に関する開発を行う。
結果と考察
1.介護予防事業における対策について、Evidence-based practice guidelineの作成手法が適用可能かどうかを明らかにするために、医学・保健学分野の対策について実際に適用した。結果、1)在宅ケアについては、自宅で生活する高齢者には、死亡と入所・入院のリスクを減らすために、在宅ケアを提供することを推奨する。その際は、比較的若くて機能障害が少ない高齢者から対象とし、医学・看護学の専門的職員が、身体機能、認知機能、社会心理学的機能などの多次元的機能評価に基づき、変容可能なリスク要因を発見し、それを修正する介入を、できるだけ頻回な訪問によって効果を継続的に追跡する形で行うことを推奨する。(Grade of recommendation: A) 2)デイケアと自宅リハビリテーションについては、自宅で生活する高齢者には、入所・入院のリスクを減らすために、地域でリハビリテーションなどを行うデイケアや自宅でのリハビリテーションを提供することを推奨する。(Grade of recommendation: B)3)介護家族支援事業については、自宅で高齢者の介護をする者に対しては、その負担感を減らすために、介護者間の相互支援関係を醸成する指導、カウンセリング、ストレス対処法などの教育的支援、介護の一時休業対策などの実施を推奨する。以上のように、適用可能と考えられたが、文献の網羅性、適切性や勧告の有効性についてはなお検討が必要で、医学、保健学以外の分野についてはさらに根本的な検討が必要である。2.社会的孤立から閉じこもりや寝たきりに移行する可能性が指摘される高齢転居者を取り上げ、そのリスクおよび近年の高齢者転居の動向に関する先行研究の整理を行なった。長期間経過しても適応できない高齢者が一定割合いる可能性はあり、適応しづらい人の特徴を把握し、早期の支援は有効であると考えられた。また、高齢転居者の社会的つながりを減少させない支援や、転居先での保健医療福祉サービス利用が阻害されない配慮が重要と考えられた。保健医療福祉ニードが比較的高い高齢者の一般地域への流入が多いと推測される地域も見られ、こうした地域においては、高齢転入者への効果的な支援は特に有効ではないかと考えられる。3. 郵送による質問紙調査から介護予防事業の実態と課題を明らかにした。ほとんどの自治体で介護予防事業を実施しており、介護予防事業創設から3年が経過し何らかの形で自治体が事業展開をしていることが伺えた。実施率が高率であった事業においても「評価していない」と回答する自治体の割合が高かった。「評価している」と回答した自治体の評価は包括的な評価には至っていない現状であった。「評価している」と回答した事業のほとんどで効果があると回答していた。しかし、主観的な内容で効果を捉えているものが多かった。評価を実施していない自治体の理由として、具体的な評価内容が分からない、いう意見が挙げられた。4.転倒予防事業を実施していた自治体は70.7%であった。また、転倒予防事業の有効性評価をしていた自治体は41.9%であり、これらの自治体の90%以上が効果ありと答えていた。効果の内容としては、体力・運動機能の維持向上という身体面に関する記述が多かった。5.また、全国の市区町村を対象とした質問紙調査の結果、「閉じこもり予防教室」に関しては、調査対象自治体の8.3%のみ実施していた。約9割の自治体が「効果あり」としていたが、評価方法の妥当性は必ずしも十分ではなかった。ガイドラインやマニュアルの作成には、評価方法についても言及することが望まれる。6.高知県香我美町で、2003年度初めに、町の65歳以上高齢者の身体精神機能を測定し、介護予防事業が必要な高齢者を把握するための調査を、保健所と県庁担当部局の支援をえ
て行った。また、虚弱高齢者を対象とした筋力向上運動を指導する教室を導入した。運動教室の効果の評価では、最終回は、初回に比べて、歩行機能が有意に改善した。この試みは、事業展開が現実に可能なことを示していた。介護予防事業は、的確な対象者の選定方法と、事業参加の効果を評価できるしくみを兼ね備えた事業として展開されるべきである。
て行った。また、虚弱高齢者を対象とした筋力向上運動を指導する教室を導入した。運動教室の効果の評価では、最終回は、初回に比べて、歩行機能が有意に改善した。この試みは、事業展開が現実に可能なことを示していた。介護予防事業は、的確な対象者の選定方法と、事業参加の効果を評価できるしくみを兼ね備えた事業として展開されるべきである。
結論
介護予防事業における対策について、Evidence-based practice guidelineの作成手法は適用可能と考えられた。高齢転居者を対象に社会的孤立防止プログラムを実施することは、介護予防の観点において有効であると考えられた。全国の自治体への調査結果から、今後は、有効性が確認された介護予防事業に関して事業実施のプロセスに焦点を当て、その具体的実施方法を検討していくことが必要と考えられた。自治体自体で実施できる評価方法の提示が望まれる。介護予防事業の効果的実施のために、県庁が標準方式を策定し、各市町村が、それをもとに、個々のニーズに合わせて改変を加え、保健所の支援を得ながら事業を進めることは有用だと考えられた。
公開日・更新日
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