合併症発症進展を見据えた糖尿病食事療法の開発推進に関する研究

文献情報

文献番号
200300181A
報告書区分
総括
研究課題名
合併症発症進展を見据えた糖尿病食事療法の開発推進に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成15(2003)年度
研究代表者(所属機関)
清野 裕(京都大学)
研究分担者(所属機関)
  • 山田祐一郎(京都大学)
  • 幣憲一郎(京都大学)
  • 谷口中(関西電力病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 総合的プロジェクト研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
16,477,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国でも高齢化とともに糖尿病に罹患する患者数は過去40年間において70倍と激増し、690万にも達することが報告されている。さらには、糖尿病に伴って生じる合併症、すなわち、大血管や細小血管の動脈硬化によって発症する心筋梗塞や脳梗塞さらには腎不全や失明によって生じる生命予後やQOLの不良が深刻な社会問題となっており、医療経済的にも社会に大きな負担を強いている。
糖尿病は、食事療法・運動療法・薬物療法が治療の柱であるが、特に食事療法の重要性は高い。従来は摂取エネルギー量の制限が中心となっているが、最新の個別の栄養素摂取や糖尿病合併症発症に関する基礎的な研究成果を取りいれた食事療法のエビデンスの確立と一般臨床の場への導入が望まれている。申請者は、消化管ホルモン(GIPやGLP1など)やその受容体の解析を続けることにより、これらの消化管ホルモンの分泌が食事量や食事の構成成分により大きく規定され、さらには膵β細胞に作用することから、食後早期のインスリン分泌に関わることを明らかにした。一方、これらの消化管ホルモンは脂肪組織への糖や脂肪の取り込みに大きく関与していることを明らかにし、高脂肪と肥満を結びつける因子であることを見いだした。このように消化管ホルモンは二面性を有し、消化管ホルモンレベルの低下はインスリン分泌不全から耐糖能障害を増悪させる一方、その上昇は肥満・インスリン抵抗性から大血管障害を促進させる。したがって、京都大学附属病院と関西電力病院において食事療法と合併症発症進展に関する調査研究を行い、糖尿病症例の加療にあたって、摂取エネルギーだけではなく食事を構成する脂肪含量とその組成を考慮し、単に血糖コントロールだけではなく、食後の消化管ホルモンレベルを指標として、合併症発症進展も見据えた食事療法の確立とその推進し、高齢者のQOL改善を目的としている。
研究方法
結果と考察
対象を2型糖尿病患者として、患者背景、身体所見、一般的な血液検査所見、合併症の検索、インスリン分泌能の評価などに加えて、患者に食事を負荷し、経時的に採血し、血糖、インスリン値、GIP、GLP1値を測定した。なお、食事としては、エネルギー451kcal、蛋白17.2g、脂質16.6g、炭水化物57.6gの基準食を用い、摂取させることによる各種パラメーターの変化を検索している。両研究機関での、倫理委員会の承認を得られたので、現在症例数を積み上げている。
結論
糖尿病症例の加療にあたって、摂取エネルギーだけではなく食事を構成する脂肪含量とその組成を考慮し、単に血糖コントロールだけではなく、食後の消化管ホルモンレベルを指標として、合併症発症進展も見据えた食事療法の確立とその推進が期待される。

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