開設主体別病院会計準則適用に関する調査・研究

文献情報

文献番号
200300001A
報告書区分
総括
研究課題名
開設主体別病院会計準則適用に関する調査・研究
課題番号
-
研究年度
平成15(2003)年度
研究代表者(所属機関)
会田 一雄(慶應義塾大学)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
-
研究費
2,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、平成14年度に厚生労働科学特別研究事業として実施された病院会計準則の見直し作業を受け、病院会計準則(改正案)の各開設主体への具体的適用にあたっての諸問題を検出し、組織としての運営状況及び財政状態を適正に捉えるとともに、医療政策に必要なデータを収集・分析する条件を整備することを意図してなされたものである。本研究によって、すべての病院開設主体が開設主体に適用される会計基準に従い会計データを作成しながら、病院会計準則に準拠した病院毎の会計情報を作成しうることとなり、病院の運営実態及び財政状態の状況がより適正に把握され、公私間比較を含めた医療サービスの経済性・効率性分析、医療費の政策分析を展開し、国民の財政負担を引き下げる効果が期待される。
研究方法
本研究では、病院の開設主体に病院会計準則(改正案)を適用させるため、(1)病院会計準則適用にあたっての問題検出および解決策の検討及び(2)会計情報・データの政策分析への利用可能性の調査を研究目標に掲げ、研究活動を実施した。
まず、病院の開設主体たる法人が準拠しなければならない会計基準について、独立法人会計基準、地方独立行政法人会計基準(公営企業型)、地方公営企業法、国立大学法人会計基準、学校法人会計基準、公益法人会計基準、社会福祉法人会計基準等の会計目的、会計基礎概念、計算構造等と病院会計準則との整合性および実務面での対応について調査するとともに、経営管理方式の異なる病院への適用及び比較可能性の担保について考察し、法人会計基準と病院会計準則とを整合性させる会計処理・表示方法の検討を重ねた。これと並行して、会計情報・データの政策分析への利用可能性について、会計データの作成・利用プロセスを調査し、経営指標と意思決定との関係を分析した。
本研究班は、上記研究目標を達成するため、まず、病院の開設主体である法人の会計基準を渉猟し、病院会計準則との不整合な箇所及びその影響度を調査した。続いて、法人全体のマネジメントの見地から、インタビュー等を通じて施設としての病院の位置付けを確認し、病院毎の財務情報を作成プロセスを検証し、その作業量を分析した。本研究は研究班に参加するメンバーによる文献調査、インタビュー調査に加えて、研究協力者会議、専門家会議及び関係省庁連絡会議を開催し、討議を重ねた結果、最終的に「病院会計準則適用ガイドライン」として纏められた。
結果と考察
「病院会計準則適用ガイドライン」は、病院の開設主体すべてが病院の財政状態及び運営状況を適正に把握する上で比較可能な会計情報を作成するために、開設主体の会計基準を前提にしながら病院会計準則に準拠した財務情報を提供することを意図して策定された。病院会計準則(改正案)を速やかに適用することを意図して設計されたものであり、病院会計準則の適用にあたっては、開設主体に適用される会計基準に準拠した会計実務を前提としながら、病院会計準則(改正案)に規定する情報を追加的に提供するという「補完型」の枠組みを提示したものである。
結論
「病院会計準則適用ガイドライン」は、すべての病院開設主体への病院会計準則(改正案)の円滑な導入を実現するものであり、これを活用することによってすべての病院開設主体が病院会計準則(改正案)に準拠した財務情報の提供を実現し、公私間比較を含めた医療サービスの経済性・効率性分析、医療費の政策分析に資することとなる。

公開日・更新日

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