簡便な快適度アセスメント手法の開発に関する研究

文献情報

文献番号
200201427A
報告書区分
総括
研究課題名
簡便な快適度アセスメント手法の開発に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成14(2002)年度
研究代表者(所属機関)
城内 博(日本大学)
研究分担者(所属機関)
  • 酒井一博(労働科学研究所)
  • 青木和夫(日本大学)
  • 外山みどり(独立行政法人産業医学総合研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成15(2003)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は簡便な「快適度アセスメント」手法の開発である。近年有害物質等による職業病は漸減してきたものの、急速な技術革新やサービスの24時間化等の進展は就業態様の変化をもたらし、疲労やストレスの問題を生じさせた。これに対応すべく平成4年には労働省から告示「事業者が講ずべき快適な職場環境形成のための措置に関する指針」が出され、事務所の喫煙対策などは大きく前進した。しかし他の多くの問題については、企業規模あるいは職種により「快適」の基準が大きく異なるため、大きく前進しているとは言い難い状況にある。また、従来労働衛生管理は、作業環境管理、作業管理、健康管理の3本柱で行われてきた。しかし作業管理については法規制の根拠が弱く、さらに業種や職種間での相違が大きいためその対策が他の二つの管理に比べて大きく遅れてきたことは否めない。このような状況で平成11年には労働省から告示「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針」が出され、事業場における自主的な安全衛生活動の推進が期待されている。これらのことは労働衛生が、より包括的に、より個々の作業者に配慮したものに転換しようとしていることを意味し、これはまさに人間工学的な視点が要求されており、その実行が行政的にも望まれているものと考える。そこで本研究では、人間工学的な視点から職場の快適度を簡便に評価し、環境や作業の改善に結び付けられるような「快適度アセスメント」の開発を目指す。このため特に、VDT作業が主体となっているオフィス、サービスの24時間化が進み交替制勤務を行っている職場、介護など高齢化社会への対応が期待されている職場を対象として介入研究、また必要に応じて実験室での研究を行う。これらの職場では、VDT作業による疲労、交替制勤務における問題、腰痛など旧態依然とした問題が解決されないままに、さらに新しい問題が起きている。これらの職場で起きている問題に対して取り組み解決方法を示すことは、他の職場で起きている問題への取り組みの方途を示し、自主的な対応を促進し、行政的にカバーしきれない部分を補完する意味を持つものと確信する。リスクアセスメントではなく、あえて快適度アセスメントとしたのは、前向きに取り組む姿勢を喚起するためと、ここで取り上げられる問題は日々の労働に起因するストレスや疲労の蓄積によるおこるものであり日々の観察が重要であることを協調したいがためである。すなわち重篤な響きのあるリスクアセスメントでは、これらの問題は見過ごされる可能性が大であると考えたからである。
研究方法
今年度は補助金の交付が大幅に遅れた(2月初旬)ため研究への着手も遅れた。そこで本年度の調査研究は介護労働の快適度評価に的を絞り開始した。介護労働においては、従来は要介護者の移動のために腰痛が問題になってきた。しかし、腰痛の他にも入浴介助による高温多湿環境下での介助作業や、夜間の介護労働による疲労や循環器系への影響も考えられることから、様々な介護労働についての身体的負担を整理検討する必要がある。さらに、要介護者との人間関係など、精神的な面での負担も大きいことが問題となってきている。特に介護労働では、介護者の精神的な余裕が介護の態度にも影響し、介護の質的な面に影響を及ぼすことから、介護労働者の快適度を評価することにより良い介護労働環境を実現することが不可欠である。このような視点から、研究調査ではまず介護者の労働条件を把握するために質問票を作成しこれを配布、回収し解析し問題点の洗い出しを行い、さらに介入研究をおこなう予定である。介護労
働に関する質問票調査を約3,000部配布し、これまでに(5月27日現在)1,250部回収された。これらのデータについて整理解析中であり、総括報告書にその途中経過を示した。交替制勤務については、これまで他業種で得られている知見を基に介護労働の交替制勤務について調査研究を行う予定である。VDT作業については、これまでの知見をふまえ、さらに一歩進んだ快適職場形成のための具体的な方策を提言するための調査研究に向け準備中である。具体的には、近年その普及が著しいにもかかわらず、適切な使用方法が示されていないノートパソコンについて重点的に研究を行う予定である。
結果と考察
ホームヘルパーの約半数が仕事に困るほどの腰痛を経験していた。ヒヤリハットは入浴介助で最も多く(19%)、ついで外出(15%)、移乗・移動(14%)であった。ヒヤリハットの内容は、転倒・転落が約三分の一を占め最も多かった。 ホームヘルパーは限られた時間内で多種多様な作業をこなしており、作業密度が高く、姿勢負担が大きいことが明らかとなった。
結論
(解析はこれからであり、結論はなし)

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研究報告書(紙媒体)

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