既存の肝がん治療法の有効性に関する研究(総括研究報告書)

文献情報

文献番号
200201395A
報告書区分
総括
研究課題名
既存の肝がん治療法の有効性に関する研究(総括研究報告書)
課題番号
-
研究年度
平成14(2002)年度
研究代表者(所属機関)
奥坂 拓志(国立がんセンタ-中央病院)
研究分担者(所属機関)
  • 島田和明(国立がんセンタ-中央病院)
  • 古瀬純司(国立がんセンタ-東病院)
  • 井上和人(国立がんセンタ-東病院)
  • 高崎健(東京女子医科大学)
  • 林直諒(東京女子医科大学)
  • 春日井博志(大阪府立成人病センタ-)
  • 佐々木洋(大阪府立成人病センタ-)
  • 佐藤俊哉(京都大学大学院)
  • 山本精一郎(国立がんセンタ-研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 肝炎等克服緊急対策研究(肝炎分野)
研究開始年度
平成13(2001)年度
研究終了予定年度
平成15(2003)年度
研究費
17,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
慢性肝疾患患者の定期的な経過観察により診断される小肝細胞がんに対しては、現在、肝切除術や経皮的局所壊死療法(経皮的エタノ-ル注入療法、ラジオ波熱凝固療法など)が広く臨床応用され、良好な治療成績が報告されている。しかし、小肝細胞がんに対する両治療法の選択は各施設の方針によって行われており、その治療成績については、これまで prospective には比較検討されていない。本研究では小肝細胞がん(腫瘍径が 3cm 以下,腫瘍数が 3 個以内)患者を対象に、肝切除術と経皮的局所壊死療法の無作為化比較試験を行い、小肝細胞がんに対する治療成績や患者負担を比較検討する。
研究方法
対象は腫瘍径が 3cm 以下、腫瘍数が 3 個以内の肝細胞がん患者である。「施設」と「Child-Pugh の分類」を前層別因子として肝切除術あるいは経皮的局所壊死療法に無作為化割り付けする。主要評価項目は生存期間と無再発期間、副次評価項目は入院期間と入院医療費である。試験治療(肝切除術あるいは経皮的局所壊死療法)後の補助療法は施行しない。試験治療後の再発に対する治療は、肝病変に対しては適応のある限り肝切除群には肝切除術を、経皮的局所壊死療法群には経皮的局所壊死療法を行うが、試験治療中止後には、両治療群間の cross over を認める。 登録期間は 2002 年 4 月 1 日~2004 年 3 月 31 日の 2 年間であり、一群 60 名で計 120 名(4 施設による多施設共同研究)の登録を予定している。
結果と考察
プロトコルは、参加各施設の倫理審査委員会にて審査され、2002年10月に承認された。現在、各施設で患者を登録中である。本研究により小肝細胞がん(腫瘍径が 3cm 以下、腫瘍数が 3 個以内)患者が肝切除術か、経皮的局所壊死療法のどちらかを選択する際に、信頼できる比較可能な、生存、再発、入院期間、医療費に関する情報を提供することができる。また本研究で小肝細胞がんに対するより優れた治療法を明らかにできれば、患者の延命や QOL の改善に寄与する。経皮的局所壊死療法は肝切除術に比較し、患者の身体的、社会的、経済的負担が少ないが、肝切除術と同様の治療効果を有することが prospective に明らかとなれば、経皮的局所壊死療法は小肝細胞がんに対する第一選択の治療法となり、患者の負担はもちろん、我が国における医療費の削減につながる。
結論
小肝細胞がん患者を対象とした肝切除術と経皮的局所壊死療法の無作為化比較試験は、現在、参加各施設において、患者を登録中である。

公開日・更新日

公開日
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更新日
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