C型肝炎ウイルス感染者に対する治療の標準化に関する臨床的研究(総括研究報告書)

文献情報

文献番号
200201389A
報告書区分
総括
研究課題名
C型肝炎ウイルス感染者に対する治療の標準化に関する臨床的研究(総括研究報告書)
課題番号
-
研究年度
平成14(2002)年度
研究代表者(所属機関)
熊田 博光(虎の門病院消化器科)
研究分担者(所属機関)
  • 飯野四郎(清川病院)
  • 清沢研道(信州大学第二内科)
  • 金子周一(金沢大学大学院医学系研究科消化器内科)
  • 各務伸一(愛知医科大学消化器内科)
  • 恩地森一(愛媛大学医学部第三内科)
  • 佐田通夫(久留米大学医学部第二内科)
  • 赤羽賢浩(山梨医科大学第一内科)
  • 西口修平(大阪市立大学肝胆膵病態内科)
  • 沖田極(山口大学医学部消化器病態内科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 肝炎等克服緊急対策研究(肝炎分野)
研究開始年度
平成13(2001)年度
研究終了予定年度
平成15(2003)年度
研究費
50,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
Ⅰ. 統一研究 全国でC型肝炎を専門としている主要大学あるいは病院において、実践されている治療実態および治療に関する考え方を調査し、C型肝炎ウイルス感染者に対する治療の標準化のガイドラインをまとめる。
研究方法
Ⅰ.班員の上記施設15施設に所属する肝臓専門医73名を対象にアンケ-ト調査を行った。その集計結果を基にC型肝炎ウイルスの感染者に対する治療の標準化のガイドラインをまとめた。アンケ-トの主な内容は以下の5つとした。Ⅰ)従来のIFN単独療法(24週間以内投与)の現状Ⅱ)IFNα-2b+Ribavirin併用療法(24週間投与)Ⅲ)IFN単独長期療法(1年間以上投与)Ⅳ)IFN不応例に対する治療(対症療法を含む)Ⅴ)治療ガイドラインへ向けて 
結果と考察
Ⅰ. 統一研究 Ⅰ)従来のIFN単独療法(24週間以内投与)の現状・2002年の1年間でのIFN単独療法施行例数(回答者数71名、回答率97%)「施行例なし」3%, 「10例未満」75%, 「10~20例」17%, 「30例以上」6%。・IFN単独療法が全体のIFN関連療法に占める割合(回答者数67名、回答率92%)「0割」7%(5/67), 「1割」34%, 「2割」28%, 「3割」16%, 「4割」3%, 「5割」6%, 「6割・7割・8割」各々1.5%。・IFN単独療法を施行する際の考慮している点「血清HCV RNA量」99%, 「副作用(Rib併用療法が困難な症例を含む)」93%, 「HCV genotype」90%, 「初回投与」69%, 「年令」63%, 「肝組織病期」49%, 「血小板」48%。・従来のIFN単独療法の今後について(回答者数68名、回答率93%)「今後も施行する」は93%(63/68)、「今後は施行しない」は7%(5/68)であった。Ⅱ)IFNα-2b+Ribavirin併用療法(24週間投与)・併用療法の治療経験(回答者数71名、回答率97%)「経験がある」は96%(68/71)、「経験がない」は4%(3/71)であった。経験例数は「~10例」54%、「~20例」17%、「~30例」11%、「~40例」1%、「~50例」1%、「~60例」7%、「100例以上」4%であった。・併用療法を第一選択の治療法にする?(回答者数72名、回答率97%)「全面的にYes」15%、「条件付きでYes」81%、「No」4%であった。その考慮あるいは制限する条件については、「Hb濃度の高低」91%、「ALT値の異常/正常」90%、「HCV量の多寡」77%、「年令」74%、「HCV genotype」57%、「肝組織病期」55%、「初回/再投与」46%であった。また除外条件として賛成が得られた項目は「躁鬱病」93%、「躁鬱病の既往」55%、「自己免疫疾患」54%、「糖尿病」30%、「高血圧」29%であった。実際の効果については「予想以上」3%、「予想通り」71%、「期待外れ」26%で、副作用については「予想以上」57%、「予想通り」43%と印象的な結果が得られた。・IFNα-2b+Ribavirin併用療法の今後
「48週間(1年間)投与にすべき」93%、「代償性肝硬変に適応拡大」84%、「初回投与/低ウイルス量に適応拡大」56%、「急性肝炎」26%、「ALT正常例」17%であった。Ⅲ)IFN単独長期療法(1年間以上投与)
・適応症例について「再投与例」81%、「副作用(Ribavirin併用療法不適応例・困難例)」78%、「高ウイルス例」73%、「HCV genotype 1例」68%、「年令(高齢者、妊娠可能な年令)」67%であった。Ⅳ)IFN不応例に対する治療(対症療法を含む)・IFN不応例に対する今後の治療法 IFN関連療法(回答者数68名、回答率93%、複数回答あり)としては、「PEG-IFN+Rib併用療法」72%(54/75),「IFN+Rib併用48週間投与」9%(7/75),「IFN+Rib併用24週間投与」7%(5/75),「IFN単独長期療法」7%(5/75),「PEG-IFN単独療法」5%4/75であった。また対症療法(回答者数72名、回答率99%)としては、「SNMC療法」100%(72/72),「UDCA療法」97%(70/72),「瀉血療法」51%(37/72),「少量IFN間歇療法」43%(31/72),「小柴胡湯」17%(12/72)であった。Ⅴ)治療ガイドラインへ向けて HCV genotypeと治療前HCV RNA量の多寡で層別化した。初回治療の現状では、1b-高ウイルス群に対して「IFN+Riba併用24週間」29名、「IFN単独長期」18名、「コンセンサスIFN療法」16名:1b-低ウイルス群に対して各々28名、13名、24名、及び「IFN単独24週間」20名:2a/2b-高ウイルス群に対して各々44名、8名、27名、10名:2a/2b-低ウイルス群に対して各々8名、6名、29名、47名であった。再治療例に関しては、「IFN+Riba併用24週間」45名、「IFN単独長期」24名であった。Ⅰ. 統一研究 Ⅰ)従来のIFN単独療法について 初回投与で低ウイルス量患者かつ/またはHCV genotype 2患者(従来のIFN単独療法で著効が期待できる患者)に対しては、多くの肝臓専門医がIFN単独療法の適応と考えている。またIFNα-2b+Rib併用療法に不適応あるいは困難と考えられる患者(主に初回投与)に対しても、従来のIFN単独療法が適応であると多くの肝臓専門医がIFN単独療法の適応と考えている。従って本邦では今後も従来のIFN単独療法の需要が高いと判断された。Ⅱ)IFNα-2b+Ribavirin併用療法(24週間投与)併用療法を投与する患者群は、副作用を考慮し可能な限り治療が継続できる患者で、特に従来のIFN単独療法に効きにくい高ウイルス量例、Genotype 1例、及び再投与例とするコンセンサスが得られた。また併用療法の適応拡大を望む回答も目立っていた。Ⅲ)IFN単独長期療法(1年間以上投与)適応は、従来のIFN単独療法に抵抗性を示す、あるいは示した患者群か、Ribavirin併用療法に不適応か困難な患者群とする意見でほぼ一致をみた。Ⅳ)IFN不応例に対する治療(対症療法を含む) IFN関連療法に関しては、肝臓専門医の間でも世界的に使用されているPEG-IFN療法とRibavirin併用療法に対する期待が非常に強いことが明らかになった。また治療期間を24週間から48週間へ延長する希望も強いことがわかった。対症療法に関しては、従来のSNMC療法やUDCA療法に加えて、瀉血療法や少量IFN間歇療法が半数前後を占めており、このような傾向は前年度に施行したアンケ-ト調査では見られなかったことである。今後さらにその率が高くなることが予想された。Ⅴ)治療ガイドラインへ向けて(2003年度版)アンケ-トの集計結果を詳細に検討・解析した結果、表1(初回投与)・表2(再投与)に示すガイドラインをまとめた。各genotypeおよび治療前血清HCV RNAの多寡別に層別化し、各々の患者群に対して現行の治療法で最も効果的と考えられる治療法により構成した。治療標準化のガイドラインにより医療格差が是正され、医療経済への効率的な還元が期待できると考えられた。しかし、PEG-IFNなど新たな薬剤や治療法も今後施行できるようになれば、その都度、ガイドラインを改訂していく必要がある。そのためにも今回できたガイドラインでの治療による全国規模でのデ-タ-集積と解析が今後にも活用できるものと考えられる。(2003年度版)
結論
治療法を基にC型肝炎ウイルスの感染者に対する治療の標準化のガイドライン(2003年度版)がまとまった。今後、本ガイドラインを中心に全国的規模で治療が進められ、医療格差の是正、医療経済への効率的還元、更に効果的な治療法の開発・確立へつながるものと期待できる。今後付随する種々の局面に対しては、広く意見を採り入れてガイドラインの改訂を行いた
い。

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