低・非・抗う蝕性食品の検定評価法の確立とその応用・普及に関する研究(総括研究報告書)

文献情報

文献番号
200201356A
報告書区分
総括
研究課題名
低・非・抗う蝕性食品の検定評価法の確立とその応用・普及に関する研究(総括研究報告書)
課題番号
-
研究年度
平成14(2002)年度
研究代表者(所属機関)
星野 悦郎(新潟大学)
研究分担者(所属機関)
  • 石井拓男(東京歯科大学)
  • 今井奨(保健医療科学院)
  • 福島和雄(日本大学松戸)
  • 飯島洋一(長崎大学)
  • 松久保隆(東京歯科大学)
  • 高橋信博(東北大学)
  • 兼平孝(北海道大学)
  • 渡部茂(明海大学)
  • 佐藤(松山)順子(新潟大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成12(2000)年度
研究終了予定年度
平成14(2002)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、食品のう蝕誘発性の評価法と低・非・抗う蝕性食品の実際の応用のための普及を図る政策的検討を目的としている。その背景として、代用甘味料含有食品をはじめとする多くの種類の「虫歯にならない」を売り物にした食品の市場へ登場と、う蝕と食品との関連に対する消費者の関心の高まりがあり、食品のう蝕誘発能の有無・程度の科学的な評価方法を確立させ、また食品にその評価の適切な表示を行うことによって、この様な食品による「う蝕予防」の応用とその普及・拡大をはかる。本研究の成果を実用化することによって、う蝕の軽減を考慮した食品の消費者による適切な選択に必要な基準と科学的な情報の提供が可能とすることができる。
研究方法
3年目の本年度は、纏めの時期に当たるため、3年間の各研究者の関連分担研究を実施すると共に、その3年間研究成果を踏まえ、研究組織として評価方法、表示方法等を協議し合意を得て、その普及のための具体的方法を提言としてまとめた。
各分担研究課題については、それぞれの研究機関で実施し、研究組織として協議した内容に沿ってさらに検討した結果を再度持ち寄り、さらに研究を重ねた。
研究会議では、この各分担研究の検討の他に、非・低う蝕誘発性食品の評価の基準、方法、表示について、昨年度および本年1回目の研究会議でそれぞれに担当項目を振り分け、それについて纏めた案をさらに研究会議で検討し、それぞれの分担研究の成果と従来の知見を総合しながら、研究組織として全体的な観点から提言としてまとめた。
結果と考察
1.分担研究の成果:
(1)食品のう蝕誘発性の評価法の検討:
評価法として最良であろうが、その充分な実施体制の整っていない内蔵電極法に代わって、酸産生を指標とする、特に歯垢を用いた、実施系を纏めた。また、成分分析による評価を、従来の研究成果を基に検討した。(再)石灰化促進作用を評価するための口腔内脱灰再石灰化法、う蝕病原性に対する作用の系の実施要領を検討した。
(2)低・非・抗う蝕性食品に対する消費者の意識調査:
アンケート調査により、含有甘味料に関する表示のある食品、う蝕に関する食品表示での、「マーク」や「ことば」の重要性を消費者が認識(意識)しているが、「抗う蝕性」、「う蝕を防ぐ」という表現については、う蝕が誘発される環境下にあってもその食品の摂取でう蝕発生が防止される、と誤解される可能性があり、その表示の使用には留意が必要と考えられた。
(3)以上のような検討を基に、具体的な食品のう蝕誘発性の評価法を提示した。その概要は、1)非・低う蝕誘発性食品について評価し、抗う蝕誘発性食品は、現時点では評価しない。非・低う蝕誘発性食品は、例えば、「この食品ではう蝕(むし歯)にならない」、「う蝕(むし歯)になりにくい(必要なら追加表示)」、「歯に安全」等の表示とする。また、う蝕発生の機構に働いてこれを抑制・阻害する効果のある食品を抗う蝕病原性食品として評価し、その機能を表示する。しかし、「う蝕を抑える」等の表現を用いない。2)その評価法は、食品成分による評価、酸産生性の測定による評価を中心とし、前者ではその成分が酸産生性でない場合、認定する。また、後者では、電極内蔵法を優先するが、その代替法として歯垢を用いたスクロース添加によりpH 4台に低下する系により、pH 5.7以上の酸産生であるものを認定する。3)測定、判定、評価の機関として本研究組織を暫定的に残存させ、その任に当たる事とした。
結論
3年目の本年度は、その纏めの時期に当たるため、各研究者の関連分担研究を実施すると共にその3年間の研究成果を踏まえ、研究組織として評価方法、表示方法等を協議し合意を得て、その普及のための具体的方法を提言としてまとめた。

公開日・更新日

公開日
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更新日
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