情報技術を応用した老人リハビリテーション計画評価書に基づくアウトカムデータベースの構築の研究開発(総括研究報告書)

文献情報

文献番号
200201309A
報告書区分
総括
研究課題名
情報技術を応用した老人リハビリテーション計画評価書に基づくアウトカムデータベースの構築の研究開発(総括研究報告書)
課題番号
-
研究年度
平成14(2002)年度
研究代表者(所属機関)
太田 久彦(日本医科大学)
研究分担者(所属機関)
  • 伊藤高司(日本医科大学)
  • 大成尚(早稲田大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成13(2001)年度
研究終了予定年度
平成15(2003)年度
研究費
6,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、リハビリテーション医療の現場で療法士により記録される「評価プロセス」の記事、或いは診療点数の算定のために記載される「リハビリテーション(総合)実施計画書」、「老人リハビリテーション計画評価書」の記事をデータベース化し、複数の病院で構築されるデータベースをアウトカム評価用データベースとして統合することで、リハビリテーション病院のアウトカム評価を行うことである。このような複数病院間のアウトカム評価を可能にするために、本研究において、2種類のデータベースが構築されることになる。一つは、個々の病院内において構築される「病院個別データベース」であり、もう一つは、個々の「病院個別データベース」を統合する「公共データベース」である。複数病院間のアウトカム評価は、この内の「公共データベース」から算出されるものである。
研究方法
Ⅰ.調査票によるデータ収集。本年度調査の骨格を成す調査票レベルでのデータ収集は、日常診療を実践している療法士に相当な負担を課す作業となるものである。そのため、研究参加病院を募り、参加を表明した病院で説明会を開催し、リハビリテーション科スタッフに本調査の意義と成果を説明した。了承の得られた病院において、各病院で10人の脳卒中患者を対象として調査が行われた。この調査票に記入された値が実際にソフトウェアとして運用された時にデータベースに入力される値となる。Ⅱ.信頼性調査。Ⅲ.アウトカムとしてのADLの2病院間比較。Ⅳ.治療を記述する用語の分析と「治療」対「効果」の検討。Ⅴ.調査票データのデータベースソフトウェアへの試験的入力。Ⅵ.ADL評価の標準化に関する試行。
結果と考察
調査は回復期リハビリテーション病院4施設、急性期病院リハビリテーション科4施設で現在進行中である。この内、回復期リハビリテーション病院2施設の調査がほぼ完了し、データが日本医科大学の「(仮想)病院個別データベース」へと入力され始めた。この2施設のデータによる分析を行った。分析対象は、回復期リハビリテーション病院2施設でリハビリテーションを受けた脳卒中患者20人である。身体機能・ADL評価は4週間間隔で実施されており、初回評価対象者が20人、第2回評価対象者が19人、第3回評価対象者が15人、第4回評価対象者が11人である。(1) 初期評価時データの記述統計:(報告書参照のこと)(2) ADLを指標とした2病院のアウトカム評価:mFIMmの運動項目とmFIMcの認知項目のそれぞれについて2病院間で2回目評価、最終評価の値を比較したが、いずれも2病院間で有意な差を認めなかった。従って、ADLをアウトカム指標とした場合、今回の2病院では差はないと言える。(3) 治療を記述する用語の分析と「治療」対「効果」の検討:20例という分析例の少なさ、及び、治療量を求める際に課した仮定(治療カテゴリを細かく分類することが出来なかった点と時間量の計算の際に各治療カテゴリを均等分割した)があるにも関わらず、治療後の評価値と初期評価値・治療量の関係を定式化することができた。(4) 信頼性調査:信頼性調査を1病院で施行中である。(5) 調査票データのデータベースソフトウェアへの試験的入力:データベースが病院の現場で使用可能なものであるか、改良が必要な点があるかどうかを検討するためのデータの入力試験を行っている。
結論
 調査票により各病院から得られた脳卒中患者のリハビリテーション治療に関する治療及び評価データをもとに、日本医科大学に置いた「(仮想)病院個別データベース」にデータベースを構築した。このデータベースから病院のアウトカム評価を行い
、その実行可能性を示すことが出来た。データベースのデータの応用として、「治療」対「効果」分析の一例を示すことが出来た。

公開日・更新日

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