大腿骨頚部骨折の診療ガイドライン作成(総括研究報告書)

文献情報

文献番号
200201286A
報告書区分
総括
研究課題名
大腿骨頚部骨折の診療ガイドライン作成(総括研究報告書)
課題番号
-
研究年度
平成14(2002)年度
研究代表者(所属機関)
松下 隆(帝京大学)
研究分担者(所属機関)
  • 糸満盛憲(北里大学)
  • 萩野 浩(鳥取大学)
  • 渡部欣忍(松下記念病院)
  • 中野哲雄(公立玉名中央病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成15(2003)年度
研究費
14,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
骨折は患者毎に骨折型が異なり全身状態も異なっているので、個別的に最適な医療が必要なことは論を待たない。
しかし、判断の規準となる情報が溢れ、その情報の質が玉石混交である現状では、これらの情報が臨床現場に混乱を招いている面もある。
国内のどこでも一定水準以上の良質な医療を受けられる環境を実現するためには、適切な診療ガイドラインが必要である。
本研究の目的は、我が国の医療レベルの向上と診療の標準化を図るために、大腿骨頚部骨折の標準的な診断規準及びその診断に基づいた標準的治療のガイドラインを作成することである。
研究方法
1. 研究者間でガイドラインの基本方針を検討し、その範囲と到達点を明確にする。
2. ガイドライン作成のための研究協力者を含めた拡大班会議の構成を検討し設置する。
3. 最近の臨床報告の検討や、アンケート調査により、診療の現状を把握し、ガイドラインで示すべき問題点を決定する。
4. 決定した問題点につき文献検索する。
5. 収集したすべての文献を、まず要旨のみを読んで一定の規準で取捨選択する。
6. 採用したものは研究協力者を含めて全員で全文を読み、一定のフォーマットに従って情報を整理したのち一定の基準で評価して、採用する文献についてアブストラクトフォームを作成する。
7. 作成したアブストラクトフォームの情報に基づいて、Scientific statementを作成する。
これに基づいて一定のフォーマットに沿ったガイドラインを作成する。(診療ガイドラインの作成の手順 ver4.0 2001.1.25に準拠)
結果と考察
平成14年度に、アブストラクトフォームの作成まで終了した。班会議を8回開催した。うち1回はアブストラクトフォームを作製する研究協力者全員を招集した拡大班会議であり、1回はガイドラインの各章の責任者となる研究協力者を招集した拡大班会議であった。
第1回班会議(2002年5月18日)では、ガイドライン作成の基本方針を決定し、文献検索の方針を下記のように決定した。
・ 海外文献MEDLINEを基本に1985年以降の英語、日本語文献を収集し、コクランで補完する。
・ 全体の検索結果と各章検索の和との差をチェックする。
・ 疾患の対象が「子供」、「18歳以下(Adolescence)」のみの文献は除く。
・ 国内文献は「医中誌」の1987年以降の原著のみとする。
第2回班会議(2002年7月22日)では、研究協力者を選定した。論文を査読しアブストラクトフォームを作成する研究協力者は骨折治療学会会員(主に評議員)から選出した。この中から章の責任者としてScientific statementを作成し、リサーチクエスチョンに対するアンサーを作成する各章の責任者を併せて依頼した。
第3回班会議(2002年8月24日)で、文献の1次選択の基準を決定した。1990年以降の文献とし、疫学・予防についてはメタアナリシス、治療・合併症についてはCase-Control Studyまでとした。次回までに文献ファイル、アブストラクトフォーム入力プログラム(入力項目および画面)について改変すべき箇所を検討修正し、文献採択用画面(タイトルと抄録のみ)を作成することとした。
第4回班会議(2002年9月8日)[第1回拡大班会議]
研究協力者に対して本研究について下記の内容を説明し、協力を要請した
・ 目的・経緯・進行状況について
・ EBMの必要性、手順、批判的吟味の仕方、エビデンスのレベル等について
・ 文献検索の方法について
・ Evidence-basedな診療ガイドライン作成の方法について
・ 文献選択用プログラムとアブストラクトフォーム入力用プログラムについて
・ Evidence Levelの選び方、研究デザインについて
第5回班会議(2002年9月28日)
文献の各章への振り分けをアブストラクトフォーム作成前に行うことは困難であるとの結論に達し、作成後に行うことに変更し決定した。
アブストラクトフォームの他にチェックリストを記入してもらい、これによって章への割り振りをすることとし、文献を研究協力者全員に送付することとした。
第6回班会議(2002年12月15日)
アブストラクトフォームの完成時期を下記のように決定した。
・ 海外文献のアブストラクトフォーム提出締切は1月末(1月中旬から督促)とする。
・ 国内文献のアブストラクトフォーム提出締切は2月末とする。
・ 文献複写(海外文献)の残りを12/16の週に送付する。
・ 全アブストラクトフォームの完成3月末(目標)とする。
第7回班会議(2003年1月25日)
日本の文献の取扱いについては海外の文献と同等に取り扱うが、結論が違う場合にのみ特記することとした。
当初3年計画であったガイドライン作成を2年で行うこととし、3年目に行う予定であったガイドラインの再評価は発行後に行うこととした。
ガイドライン作成の2年目の計画を検討した。
第8回班会議(2003年3月2日)[第2回拡大班会議]
章の責任者と担当内容の確認を行った。血栓・塞栓については術前術後、内側外側を一まとめにし、新藤先生の担当とした。
予防:原田敦先生、疫学:青柳潔先生、診断:林泰夫先生、内側骨折の治療:小林明正先生、外側骨折の治療:澤口毅先生、
麻酔・術後早期の管理:新藤正輝先生、回復期、退院後の管理:浅山滉先生。
アブストラクトフォームのチェック、Scientific statementの作成法について再確認した。
結論
2年計画のガイドライン作成の1年が終了した時点であり、特に結論は出ていない。計画の進捗状況はほぼ予定通りであり、平成16年3月末には完成予定である。

公開日・更新日

公開日
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更新日
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研究報告書(紙媒体)