住居内空気汚染等とアレルギー疾患との関連に関する疫学的研究(総括研究報告書)

文献情報

文献番号
200201118A
報告書区分
総括
研究課題名
住居内空気汚染等とアレルギー疾患との関連に関する疫学的研究(総括研究報告書)
課題番号
-
研究年度
平成14(2002)年度
研究代表者(所属機関)
織田 肇(大阪府立公衆衛生研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 廣田良夫(大阪市立大学大学院医学研究科)
  • 松永一朗(大阪府立公衆衛生研究所)
  • 吉田俊明(大阪府立公衆衛生研究所)
  • 三宅吉博(福岡大学医学部)
  • 宮本正一(大阪市立大学大学院医学研究科)
  • 大矢幸弘(国立成育医療センター)
  • 佐々木敏(国立健康・栄養研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究
研究開始年度
平成13(2001)年度
研究終了予定年度
平成15(2003)年度
研究費
19,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年住宅の高気密化が進むに従って、建材等から発生する化学物質による室内空気汚染と、それによる健康影響が指摘されている。また、乳幼児アレルギー疾患は急激に増加している。しかしながら、環境要因とアレルギー疾患発症との関連は未だ十分に解明されていない。特に、アトピー性皮膚炎では生後間もなく発症することから胎児期の環境要因が重要であるにもかかわらず、妊娠前や妊娠初期の環境要因との関連に関する報告は皆無である。今回、母親の妊娠前や妊娠初期の環境要因をベースラインデータとして重視し、前向きに調査することにより、妊娠中と出産後の情報を加え、子供のアレルギー疾患発症との関連を調査する。
研究方法
住居内空気汚染等と乳幼児のアレルギー疾患との関連を調べるために、住居内ホルムアルデヒド、二酸化窒素、ダニ抗原、揮発性有機化合物、準揮発性有機化合物を実測するとともに、母親の妊娠前や妊娠中、出産後の種々の要因(生活習慣、環境、ストレス及び栄養摂取状態)を調査し、出生児のアトピー性皮膚炎や喘息などアレルギー疾患との関連を解析する。また、母親の症状と環境因子の関連も解析する。平成13年11月から平成15年3月をベースライン調査期間とし、子供の4ケ月時、1歳6ケ月時、3歳6ケ月時に追跡調査を実施する前向きコホート研究とした。調査対象母集団をベースライン期間中に大阪府下で出生する乳幼児とした。
結果と考察
平成13年11月から開始したベースライン調査では、大阪府下7市、寝屋川市近隣の18産科医療機関、及び、大阪府下4産科医療機関の協力を得て、平成15年3月20日現在、963名の妊婦から研究参加の同意を得た。ベースライン調査のデータ入力が完了した319名の妊婦のデータを用いて中間的な解析を行った。その結果、ホルムアルデヒド高濃度曝露(42ppb以上)がなんらかのアレルギー疾患による過去1年間の治療歴と関連する傾向が認められた。また、ホルムアルデヒド曝露濃度は、喫煙、屋内排気型暖房器具の使用及び自宅の窓開け時間と関連する傾向が認められた。平成14年8月より生後4ヶ月時の追跡調査を開始し、平成15年3月末時点で4ヶ月時質問票の回答者数は172名であった。この他、平成15年5月以降の0歳児アトピー性皮膚炎をアウトカムとするコホート内症例対照研究を実施するために、0歳児アトピー性皮膚炎の診断法と準揮発性有機化合物の測定法について検討を行った。
結論
乳幼児におけるアトピー性皮膚炎や喘息等の原因を探るために、妊婦に対するベースライン調査を平成13年11月より開始した。大阪府下7市、寝屋川市近隣の18産科医療機関、及び、大阪府下4産科医療機関の協力を得て、平成15年3月20日現在、963名の妊婦から研究参加の同意を得た。このうちすべてのデータがそろった319名の妊婦について、ホルムアルデヒド、二酸化窒素、ダニ、種々の生活習慣、環境、ストレス及び栄養摂取状態と、アレルギー治療歴及び総IgE値等との関連について予備的に解析を行った。平成14年8月より生後4ヶ月時の追跡調査を開始し、また、平成15年5月以降の0歳児アトピー性皮膚炎をアウトカムとするコホート内症例対照研究の準備を進めた。

公開日・更新日

公開日
-
更新日
-