温泉利用健康増進施設が住民の生活の質と健康寿命の改善に果たす役割に関する研究(総括研究報告書)

文献情報

文献番号
200201067A
報告書区分
総括
研究課題名
温泉利用健康増進施設が住民の生活の質と健康寿命の改善に果たす役割に関する研究(総括研究報告書)
課題番号
-
研究年度
平成14(2002)年度
研究代表者(所属機関)
鏡森 定信(富山医科薬科大学)
研究分担者(所属機関)
  • 鏡森定信(富山医科薬科大学)
  • 松原 勇(石川県立看護大学)
  • 梶田悦子(名古屋大学)
  • 土井由利子(国立保健医療科学院)
  • 関根道和(富山医科薬科大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
7,900,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
温泉を利用した健康増進施設の利用の地域住民の健康に対する影響を明らかにするための追跡調査のべ-スラインデータを用いて、温浴施設利用と関連する生活要因である社会生活状況、WHO生活の質および運動や喫煙などの保健行動、また温浴施設利用の結果として影響を受ける睡眠、転倒・骨折、疾病罹患などの健康状態と温浴施設利用状況との関連を横断的に明らかする。
研究方法
ベースライン調査の対象は、J町に居住する40歳以上の全町民約6,000人で、アンケ-ト調査票を配布し自己記入されたものを回収し分析に供した。調査項目は、温浴施設利用状況(頻度と利用施設の種類)、Hansonら(1989)の社会生活状況、WHO生活の質、保健行動に関する生活習慣、睡眠、転倒・骨折、外来通院・入院などから構成されていた。さらに、温浴の直接的な健康的な作用として睡眠との関連を実験的に検討した。なお、追跡調査項目として、脳卒中、骨折、入院・福祉施設入所など健康寿命にかかわるものを取り上げた。
結果と考察
生活要因については、温浴施設利用群では、温浴施設を利用しない群に比較して、社会とのつながりを良好に維持しており、生活の質も高く、運動習慣があり、喫煙しないといった傾向があった。健康状態については、温浴施設利用群では、温浴施設を利用しない群に比較して、睡眠の満足度が高く、転倒・骨折の既往が少なく、適度に外来受診が多く、入院の既往が少ないといった傾向であった。また、温浴のメニュ-として朝と夕方の温浴について睡眠への影響を比較したところ、夕方の温浴では寝つきと睡眠中の心拍変動の副交感神経活動を反映する高周波成分に関連がみられ、夕方の温浴が睡眠の質の向上に寄与していることを確認した。
これらの結果は、温浴施設利用状況と健康寿命の関連を検討するためには、社会生活の状況や生活の質を調整したうえで、温浴と健康事象の変化との関連を追跡的に明らかにしていく必要性、ならびに健康寿命に係わる健康増進面での温浴の直接的影響の証明の必要なことを示唆している。
結論

公開日・更新日

公開日
-
更新日
-