リウマチ・アレルギー疾患の研究・診療に関する的確かつ迅速な情報収集・提供体制の確立に関する研究-患者、医療関係者、研究者、一般国民を対象とした包括的情報網の確立を目指して-(総括研究報告)

文献情報

文献番号
200200821A
報告書区分
総括
研究課題名
リウマチ・アレルギー疾患の研究・診療に関する的確かつ迅速な情報収集・提供体制の確立に関する研究-患者、医療関係者、研究者、一般国民を対象とした包括的情報網の確立を目指して-(総括研究報告)
課題番号
-
研究年度
平成14(2002)年度
研究代表者(所属機関)
長谷川 眞紀(国立相模原病院)
研究分担者(所属機関)
  • 秋山一男(国立相模原病院)
  • 當間重人(国立相模原病院)
  • 赤澤晃(国立成育医療センター)
  • 岡田千春(国立療養所南岡山病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 先端的厚生科学研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成15(2003)年度
研究費
20,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国の総人口の約1/3が罹患し、新たな国民病とも言われるアレルギー疾患(気管支喘息、花粉症を含む鼻アレルギー、アトピー性皮膚炎など)や、著しい運動機能障害により悲惨なQOL阻害を来す関節リウマチをはじめとするリウマチ性疾患は免疫異常に基づく疾患とされており、その発症・増悪機序について鋭意研究が進められているところではあるがまだまだ十分に解明されたとは言い難い。まして治癒を目指した根本療法については多くの研究者が基礎・臨床研究に鋭意邁進しているものの未だ確立したものはない。このような現況にあっては、慢性疾患としての免疫・アレルギー疾患の日常診療において、EBM(Evidence Based Medicine)に基づいた医療者側の的確な診断・治療法の選択、実施のみならず、正しい情報に基づいた患者・家族側の医療の選択、自己管理、さらには一般国民の疾病に対する十分な理解が重要である。本研究では、免疫異常(リウマチ・アレルギー疾患)の準ナショナルセンターである国立相模原病院を情報収集・発信のキーステーションとして位置づけ、免疫アレルギー疾患に関するup-to-dateな研究情報、診療情報、行政情報等を、患者、医療従事者、研究者および一般国民を対象として全方位的に幅広くかつ的確な情報収集を行い、日本アレルギー学会、日本リウマチ学会等の学術団体や日本アレルギー協会、日本リウマチ財団等と緊密な連携をとってEBMに裏付けされた迅速、かつ正しい情報発信を行うための基盤整備を行うことを目的とする。本研究の成果を還元することにより、当該疾患罹患患者にとっては専門医療機関、専門医へのアクセスが容易となり、ドクターショッピングの回避やアトピービジネスと呼ばれる悪徳商法に惑わされることがなくなり、また一般国民に疾病に対する理解が深まれば、療養環境がより整えられるものと考えられる。医療従事者にとっても、最新の診療・治療情報とともに適切な専門施設、専門医への紹介、関連行政情報の入手が可能となり、日常診療に大きな支援となることが期待される。研究者にとっても膨大な研究情報の収集、把握に資することができれば、今後の研究が加速され、成果が期待される。
研究方法
積極的に情報を求めている患者・家族、医療関係者にとってもっとも容易にアクセスでき、また実際にアクセスしている情報源はインターネットであると思われる。現在リウマチ性疾患や、アレルギー性疾患に関するホームページは多量に存在し、様々な情報を提供しているが、その内容は玉石混淆であり、なかには根拠のない治療法を万能のものであるかのように薦めているHPも存在する。我々はアレルギー性疾患、リウマチ性疾患を統一的に扱い、現在もっとも正統的と考えられる医療情報を包括的に伝えるHPを構築する予定である。HPの構造はトップページから4つのサブトップページを置き、それぞれアレルギートップページ、リウマチトップページ、厚生科学研究情報、厚生労働省HPへのリンクとする。アレルギー情報も、リウマチ情報もその内容は①専門医・専門施設紹介(地図情報付き) ②学会・研究会・講演会情報 ③EBM集 ④薬剤情報 ⑤治験情報 ⑥Q and A ⑦リンク ⑧ガイドラインとする。とくに専門医・専門施設紹介はアレルギー学会、リウマチ財団のホームページにリンクし、地図付きの情報として提供する。Q and Aではこれまでに様々な機会(患者会主催の講
演会など)でなされた質問を集めて公開し、またメールやHPのパンフレットを通じて質問をうけ、一般的な形になおして公開し、内容を充実させていく。薬剤情報では薬剤の写真を載せ、簡単な解説を加えることにより、ガイドラインを補足する。ガイドラインはアレルギー学会、リウマチ学会の編集したガイドラインを参考として、現在もっとも望ましいとされる診断・治療・患者指導について解説する。厚生科学研究情報では厚生科学研究として行われた研究概要とリウマチ・アレルギー白書を公開する。
結果と考察
平成14年秋にHPを開設した。今年度は厚生科学研究情報とアレルギーページの充実に力を注いだ。厚生科学研究情報では平成9年度から13年度までの研究課題、研究者名、及び抄録をアップロードし各年度の研究課題名からでも、また分野ごとの研究課題名からでも抄録を参照できるようにした。アレルギーページでは学会・研究会・講演会情報、EBM集、薬剤情報(気管支喘息、鼻アレルギー、アトピー性皮膚炎の3疾患について)、Q and A(3疾患について)、ガイドライン(成人気管支喘息、鼻アレルギー、アトピー性皮膚炎についてはすでにHPに掲載、小児気管支喘息については近々アップロード予定)をアップロードした。EBM集は厚生労働省医療技術評価総合研究喘息ガイドライン班作成による、「EBMに基づいた抗喘息薬の適正使用ガイドライン」を抜粋してアップロードしたが、本がすでに絶版になっていることもあり、コンテンツの中でもっともヒット数が多い。薬剤情報は薬剤の写真を載せ、薬剤名が正確でなくても当該薬剤の情報が得られるように配慮した。簡単な解説と常用量の情報を入れており、薬剤の適正使用に寄与するように願っている。ガイドラインは、学会から出ている3疾患のガイドラインに沿いながら、できるだけ分かり易い表現にするように心がけ、専門医よりもむしろ、専門外の医師、医療関係者、患者・家族また一般国民に理解できるよう配慮した。Q and Aはこれまで様々な講演会、集会、等でなされた質問とそれに対する回答を集め、個人的な質問ではなく、質問者以外の患者・家族にとっても参考となるようなものを選択してアップロードした。これからHPのメールや宣伝用のパンフレットを通じて質問を集め、充実させていく予定である。専門施設情報も、施設に所属する日本アレルギー学会認定医、専門医と施設の地図情報をともに載せる形でスタートした。HPへのヒット数は開設当初の1ヶ月は300件であったが5ヶ月目には5000件を越えるようになり、このHPの有用性を示し、またこのような情報が待たれていたことを示していると思われる。
今後の課題=アレルギーページについてはほぼ完成に近く、いくつかの改良点はあるものの現時点でも十分に実用的なHPが構築されている。今後はリウマチページの立ち上げとコンテンツの充実が課題となるがすでにかなりの部分が完成しており、内容を検討してアップロードされるのも遠くはない。しかし、HPのコンテンツは適当な時期に更新しなければならず、これに要する要員、費用について十分に手当てする必要がある。
結論
リウマチ性疾患、アレルギー性疾患に関するup-to-dateな情報を、一般国民、患者・家族、医療関係者、研究者に対して発信する体制を確立するために研究を開始した。情報媒体としてインターネットを選択し、HPを開設した。現在では厚生科学研究情報、アレルギーページをほぼ完成できたが、ヒット数は時期を追うごとに増加しており、このような内容のHPが待たれていたことを示している。コンテンツを順次充実させながら医事、発展させていく予定である。

公開日・更新日

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