一般病棟における痴呆性高齢者のクリティカルパスの作成に関する研究

文献情報

文献番号
200200569A
報告書区分
総括
研究課題名
一般病棟における痴呆性高齢者のクリティカルパスの作成に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成14(2002)年度
研究代表者(所属機関)
遠藤 英俊(国立療養所中部病院)
研究分担者(所属機関)
  • 難波吉雄(東京大学)
  • 数井裕光(兵庫県立高齢者脳機能研究センター)
  • 櫻井孝(神戸大学)
  • 浦上克哉(鳥取大学)
  • 梅垣宏行(名古屋大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 総合的プロジェクト研究分野 効果的医療技術の確立推進臨床研究(痴呆・骨折分野)
研究開始年度
平成13(2001)年度
研究終了予定年度
平成15(2003)年度
研究費
11,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
超高齢社会において、痴呆性高齢者の克服は急務の課題である。本研究はこうした痴呆性高齢者は一般病床に入院する際に必要なガイドラインを前提に種々のパス法の作成を図った。さらに今年度は作成したパスならびにバリアンスの検証を行うことを目的とした。
研究方法
班全体として研究手法の統一をはかる必要があり、班会議で情報の共有化を行った。一般病院での痴呆患者の取り扱いに関する調査研究を行った。さらに外来のパスを作成し、実際の患者振り分けのためのアルゴリズムの作成、さらには糖尿病との関係における研究、痴呆性高齢者の診断・治療目的のパスの作成、尿失禁を治療・指導しながら早期の自宅退院を支援するパスなど種々のパスの作成に取り組んだ。具体的には分担報告を参照されたい。
結果と考察
具体的には痴呆症の診断・治療計画のために必要なアルゴリズムの作成、外来パス、痴呆症の合併症の治療としても肺炎パス、糖尿病のパス、心カテパス、診断・治療を目的としたパス、さらには退院支援や尿失禁の治療やトレーニングを目的としたパスの作成を行った。これらをもとにその実証分析を行ったところ、種々の成果を得た。浦上らによる一般病院での痴呆症の入院治療の現状分析は入院の治療目的が達成できたのは家族の協力、薬剤の投与方法の検討、抑制などにより、途中で退院となったのは徘徊、暴力などの問題行動、さらにはコミュニケーションの困難であり、対照的であった。痴呆症の診断治療パスとしては外来パス、1日パス、11日パス、21日パスを作成した。さらには尿失禁の訓練をいれたパス、退院支援をいれたパスなどの目的にあわせたパスの作成を行った。さらにそのパスのアウトカムについて分析したところ、在院日数は有意に短縮し、医療費も医療保険点数で一日あたりは高いが、総額では有意に医療費の削減し、また介護者の調査ではパスを用いた場合の理解度がまし、満足度が改善することが示された。本研究は応用可能なパスの作成を検討した。これまでの一般病床での対応は、入院に際して介護者のつきそいを依頼することが一般的であり、痴呆症あるあために入院の意義や必要性がわからない場合でも生命を守り、必要な医療を提供することが重要である場合にこうした対応をしてきたが、さらに昼夜逆転やせん妄に対応して治療やケアを提供するための方法をパスにおいて提示した。さらには専門医がいない病院でも可能な簡易な診断、治療のガイドラインをめざして、パスを作成した。今後は作成したパスを用いてさらにバリアンスの検討を行い、有用性についてもあらゆる場面を想定して対策がとれるよう検討していく。
結論
痴呆症高齢者が入院する際に必要なアルゴリズムの作成、パス表の作成を行った。さらに作成されたパスの検証を行い、在院日数の短縮、医療経済効果、患者y満足度について明らかにした。本研究は痴呆患者に対する一般病床での環境、ケアについて非常に価値ある成果を得たといえる。さらに本研究を推進し、一般病院の医師、看護師に情報公開し、普及をはかる必要がある。

公開日・更新日

公開日
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更新日
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