Stem cellを用いた人工皮膚の再構築に関する研究(総括研究報告書)

文献情報

文献番号
200200473A
報告書区分
総括
研究課題名
Stem cellを用いた人工皮膚の再構築に関する研究(総括研究報告書)
課題番号
-
研究年度
平成14(2002)年度
研究代表者(所属機関)
大河内 仁志(国立国際医療センター研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 橋本 公二(愛媛大学)
  • 藤本 学(国立国際医療センター研究所)
  • 花園 豊(自治医科大学)
  • 古江 美保(神奈川歯科大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 総合的プロジェクト研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究(再生医療分野)
研究開始年度
平成12(2000)年度
研究終了予定年度
平成14(2002)年度
研究費
37,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
皮膚の幹細胞の単離・培養法と付属器の誘導を目的とする。
研究方法
新しい幹細胞マーカーを見つけるためにマウスES細胞からfeeder layerとしてPA6を用い、BMP4を添加して角化細胞を誘導する条件を検討した。また幹細胞の同定に抗体の代わりにDNAに結合する色素Hoechst33342を用い、 Hoechst33342染色で陰性の細胞(Side Population細胞)が皮膚においても存在することを確認した。
皮膚の細胞をばらばらにした後、浮遊培養条件にし、sphereを形成させて多分化能を有する幹細胞の取得と性状解析を行った。
マウス胎児の細胞またはヒト培養細胞をヌードマウスの背中の皮膚に移植して発毛させる条件を検討した。同時に細胞移植の足場となる材料も検討した。
結果と考察
マウスES細胞から12日前後でケラチン14を発現する角化細胞を誘導することができた。さらに効率的な培養法を検討中であり、feeder layerを用いず、血清も用いない方法を開発中である。皮膚にSP細胞が存在することを証明し、表皮と真皮に存在するSP細胞の表面マーカーの異同を解析中である。皮膚からsphereを形成させて神経細胞やグリア細胞、平滑筋細胞、脂肪細胞に分化する能力をもった幹細胞の取得に成功した。TGF-βがsphereの形成に促進的に働くことを示し、細胞の可塑性に影響を与える可能性が示唆された。マウス胎児の細胞を使えば2-3週間でヌードマウスに発毛させ、脂腺を誘導することができたが、ヒト培養細胞では誘導がみられなかった。培養による付属器誘導能の低下をいかに克服するかが今後の課題である。細胞移植の足場としてコラーゲンスポンジを用い、ポリグリコール酸で補強したものが有用であることが示された。
結論
皮膚に多能性幹細胞が存在し、皮膚以外の細胞に分化させられたので、皮膚を幹細胞のソースとして使える可能性が示唆された。胎生期の細胞により付属器をin vivoで誘導することができた。

公開日・更新日

公開日
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更新日
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