子どものためのインフォームドコンセントを推進するプリパレーションツールの開発(総括報告書概要)

文献情報

文献番号
200200385A
報告書区分
総括
研究課題名
子どものためのインフォームドコンセントを推進するプリパレーションツールの開発(総括報告書概要)
課題番号
-
研究年度
平成14(2002)年度
研究代表者(所属機関)
山城 雄一郎(順天堂大学医学部小児科学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 帆足英一(東京都立母子保健院小児科)
  • 野村みどり(東京電機大学情報環境学部情報環境デザイン科)
  • 細渕安弘(東京都立保健科学大学保健科学部放射線学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 総合的プロジェクト研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
-
研究費
7,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
【目的】
子どものインフォームドコンセントを推進するためには、年齢や発達段階にあわせたプリパレーションツールを用意し、診療の内容・方法・過程・環境・空間等、個別的に子どもに説明し準備する支援が求められる。本研究の目的は、海外の子ども病院で開発されたプリパレーションツールに関する情報を収集し、日本の子ども病院の実態を反映させて、プリパレーションツールを開発・提案することである。又患児にとって検査部の中でもとりわけ病院放射線診療部は大きな機械、大きな音のする機械等のために、不安、恐怖心等があると言われている。子どもの年齢や発達段階に応じて、様々なプリパレーションツールを用い、それらの心因低下に効果的なプリパレーションの実態を把握する事を目的とする。
研究方法
【対象および方法】
今年度は、プリパレーションツール(一般処置用・手術用の人形等)の開発・評価等に加えて、プリパレーションを行う専門職の養成・導入、プリパレーションを効果的に実行できる診療部の計画・改善策に関する調査を新たに加えることにした。又、海外調査として豪州の先進的子ども病院2病院とAWCHオーストラリア・チャイルドヘルス福祉協会、香港では先進的子ども病院と赤十字病院学校、非政府組織プレイライトを対象にヒアリング・施設見学の方法で調査を実施。なお、検査部については国立成育医療センター放射線診療部において、ヒアリング・見学調査を実施。そして、各室の装置を中心とする子ども、家族、技師、医師の動きについて把握・分析した。又わが国で開発されたプリパレーションツールの共有化等についても評価、検討を加える。
結果と考察
【結果】
入院している子どもたちの多くは治療や検査などに不安を抱えているが、自分の受ける治療や検査について事前に十分な情報を与えられておらず、このためのプリパレーションが求めていることがわかった。また、学校のクラスメートの見舞いを受け入れるような支援や親(家族)の付添は治療中を含め常に希望している者が少なくなく、親の参加を促す支援も求められていると言える。各室の診療時のポジショニングを中心とするプリパレーションツール開発の必要性は高いと考えられた。プリパレーションと併せて、親の付添についても検討する必要性が高い。診療時のポジショニングについては技師、医師、家族、プレイスペシャリストなどの役割分担、子どもにやさしい固定具の工夫、多様なディストラクションツールの選択的導入、子どもがスタッフの指示に従ってポジショニングできた後のごほうび提供などによって、麻酔や入眠剤など薬の投与を減じていく取り組みも求められている。シドニーでは、手術のプリパレーションを担当するプレアドミッションコーディネータ、プレイスキルを駆使して効果的支援を展開する各科に配属されたソーシャルワーカー、幼稚園教諭の資格をもつプレイセラピストなど、プリパレーションに関わる職種が、役割分担しつつ、多様化・専門化した支援を展開していることが分かり、香港のプレイスペシャリストは、様々なプリパレーションツール、特に、レイプ被害児の検査の説明用ツールを開発し、そのプリパレーションを受けるために、患児が転院してくるなど、新たな専門的支援として展開し注目されていることが解った。海外での放射線科の調査ではプリパレーションツールは放射線撮影状況を様々な機材(VTR、絵本、ファイル、パンフレット、CT模型、人形等)を使い、説明している事が分かった。
【考察】診療プレイルームを確保し、プレイスペシャリストや保育士を配置し、プレイプリパレーションや診療後の遊びを含むこどものニーズに応じた一貫したあそび支援プログラムの整備・導入の必要性があげられる。視察した国における文化的背景と共に、プレイスペシャリストの養成への支援、プリパレーションツールの開発やプレイプリパレーションがどのように展開しているかについては、今後、わが国におけるあり方を明確化するために把握・考察することは重要になろう。総合診療部や病棟看護師の協力を得て、より具体性の高い疾患別、診療内容にあわせたツール開発・活用が求められる。
結論

公開日・更新日

公開日
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更新日
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