マススクリーニングの効率的実施及び開発に関する研究

文献情報

文献番号
200200366A
報告書区分
総括
研究課題名
マススクリーニングの効率的実施及び開発に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成14(2002)年度
研究代表者(所属機関)
黒田 泰弘(徳島大学医学部小児科)
研究分担者(所属機関)
  • 黒田泰弘
  • 青木継稔
  • 林 邦彦
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 総合的プロジェクト研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成13(2001)年度
研究終了予定年度
平成15(2003)年度
研究費
18,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
<研究要旨>
わが国における小児マススクリーニングの高い水準を維持・向上して小児保健行政の発展に役立てるためにマススクリーニングの効率的実施,新しいマススクリーニングの開発および神経芽腫マススクリーニングの疫学的評価について研究し以下の成果を得た。
1)国立成育医療センター内に全国規模の追跡調査組織を常設し,小慢事業による医療費助成の申請とその二次調査による追跡調査の実施を提案した。2)12歳以上のPKU176例中39例(22%)は治療を中止していた。千葉県の16?24歳のクレチン症27名は,ほぼ全員が高等学校以上に就学し,就学状況も同世代の一般人口の割合と変わらなかった。副腎過形成は,思春期前にすでに身長が低い。副腎皮質ステロイド薬の投与量の再検討を要す。3)新生児マススクリーニング検査済み乾燥血液濾紙の倫理面に十分配慮した管理・有効利用のための説明・同意書の案を作成した。全国の検査済み乾燥血液濾紙をー20℃で20年間,外部委託で保管すると年平均支払料は約190万円と試算された。4)ガラクトース高値の精査にガラクトース/ガラクトースー1?リン酸比,メチオニン高値などが有用である。TSH高値を示し,その後正常化する例,TSH軽度高値が持続する例の多くで有機化障害など甲状腺の器質的異常がみられる軽症クレチン症が見出された。5)現行の新生児マススクリーニング検査へのタンデム質量分析法の導入を検討し,その有用性を確認した。今後,本法が現行マススクリーニングの一つの検査法として承認されることが望まれる。6)新しい対象疾患として、ムコ多糖症、有機酸代謝異常症、ウィルソン病、胆道閉鎖症を中心にマススクリーニング方法の開発や基礎的事項、地域におけるシステム・ネットワーク構築およびパイロット・スタディを実施した。さらに、今後治療や発症予防が可能となる疾患のマススクリーニングの必要性を調査した。7)副腎の悪性新生物による死亡の資料に基づいて神経芽腫HPLCスクリーニングとこれ以外の因子の関与を推定し,最近の死亡率減少の大部分はHPLCスクリーニングによると考えられた。また,偽陰性例の発生率を考慮すると,12か月にHPLC法での実施が最も優れた方法である。8)神経芽腫スクリーニング受検者と未受検者の頻度を神経芽腫死亡児とそれ以外の死因での死亡児との間で比較するケース・コントロール研究の研究計画書を作成した。9)平成7年以降生まれの児における神経芽腫死亡数は累積計78件となった。また,総観察人年は約2,300万人年となり,事前に算出したサンプルサイズをほぼ満たすものとなった。10)無治療経過観察という治療方針の有効性と安全性を検討し,さらに神経芽腫の自然史を明らかにするための多施設共同研究の計画書を作成した。11)DNAPloidyの値(ratio)が1.20未満もしくは1.80以上の群は,諸因子との関連よりdiploidyもしくはtetraploidy群(予後不良群)として良いと思われた。12)自然退縮・成熟の可能性がある予後良好なタイプ1の発見を減少させ,進展して死に到る事もあるが,最も予後不良のタイプ3より予後良好であるとされるタイプ2の腫瘍を現在と同等に発見できる
ようマススクリーニング実施時期を決定すべきと考えられた。


研究方法
結果と考察
結論

公開日・更新日

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