動脈硬化機構の解明と予防-EDHFの作用機序に関する研究ー

文献情報

文献番号
200200257A
報告書区分
総括
研究課題名
動脈硬化機構の解明と予防-EDHFの作用機序に関する研究ー
課題番号
-
研究年度
平成14(2002)年度
研究代表者(所属機関)
堀 正二(大阪大学大学院医学系研究科病態情報内科)
研究分担者(所属機関)
  • 北風 政史(国立循環器病センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 総合的プロジェクト研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成12(2000)年度
研究終了予定年度
平成14(2002)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
動脈硬化機構の解明と予防─EDHFの作用機序に関する研究課題に関し、特にFish oilのひとつであるeicosapentanoic acid(EPA)のEDHFを介する生理学的意義、特に虚血心血管保護作用の検討を行った。EPAの心筋保護作用は報告されたいたがその作用機構は不明であった。
研究方法
ウサギ冠動脈左前下行枝(LAD)の虚血再還流による心筋梗塞モデルにおいて検討した。EPAを14日間反復経口投与(600mg/kg/day)した後、虚血再還流実験を行った。実験時には虚血20分前より再還流60分後までEDHF阻害薬であるCa依存性Kチャネル阻害薬であるcharybdotoxin(40ng/kg/min)の持続注入を行った群を追加し、EPAの心筋に対する作用にCa依存性Kチャネルが関与するか否かを検討した。またEPAの溶媒だけを投与した溶媒群も対照群として検討した。
結果と考察
血圧、心拍数等の血行動態はそれぞれの群で有意差はなかった。対照群の心筋梗塞サイズは25%であった。EPA群では有意に心筋梗塞サイズ縮小効果と虚血性不整脈出現が抑制された。CharybdotoxinをEPAに併用した群ではEPAの心筋梗塞縮小効果は部分的に消失した。このことから、EPAの心筋梗塞縮小効果にKcaチャネル開口を介するEDHF活性化が関与することが示唆された。またEPAの再還流時の心室性期外収縮や心室細動の発生抑制効果もcharybdotoxin同時投与によって消失したころから、EPAの抗不整脈作用にもKcaチャネルの開口が重要であることが明らかになった。
結論
Fish OilのひとつであるEPAの心筋保護作用にEDHFの産生が関与することが明らかになった。Fish oilは疫学的にも心血管疾患の一次予防に有効であることが知られているが、本研究によってそのメカニズムに新しい血管内皮由来弛緩因子であるEDHFの産生を介することが判明した。

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