漢方薬(十全大補湯)による術後感染症予防

文献情報

文献番号
200200210A
報告書区分
総括
研究課題名
漢方薬(十全大補湯)による術後感染症予防
課題番号
-
研究年度
平成14(2002)年度
研究代表者(所属機関)
北島 政樹(慶應義塾大学医学部外科学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 北川雄光(慶應義塾大学医学部)
  • 今井栄子(慶應義塾大学病院)
  • 今津嘉宏(済生会中央病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 総合的プロジェクト研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
14,250,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
漢方薬(十全大補湯)が、消化器領域の癌手術における術後感染症の予防に有用であるかどうかを検討する。
研究方法
慶應義塾大学病院外科と済生会中央病院外科において、消化器領域の癌(食道癌、胃癌、大腸癌)により全身麻酔下で開腹ないし内視鏡手術を受ける患者のうち、40歳以上の患者200名を対象とし、十分に研究の趣旨を説明し、文書による同意を得た上で、コントローラーにより十全大補湯服用群、偽薬服用群に無作為割付される。割付は原発部位およびステージにより層別化する。服薬期間は術前の服薬可能な時期までの1週間および術後4週間目までの経口可能な時期に投与する。エンドポイントとして、30日以内に発生する(1)創感染および縫合不全(2)感染合併症(肺炎、尿路感染症など)(3)カテーテル感染を検討する。また、全身性炎症反応症候群-代償的抗炎症反応症候群、栄養状態についても評価する。
結果と考察
平成14年度は研究担当者である慶應義塾大学医学部外科ならびに済生会中央病院外科との間で研究プロトコールについての検討会を開催し、最終プロトコールを決定した。プロトコール決定の過程において対象年齢、対象手術、投与期間を変更した。すなわち消化器領域の癌(食道癌、胃癌、大腸癌)のために全身麻酔下にて手術を受ける患者のうち、40歳以上の患者で研究の趣旨を理解した上で文書による同意を得た者を対象とした。研究は無作為割付によるコホート研究とする。方法は手術前に禁食となるまでの1週間ならびに術後4週間までの期間で内服可能な時期に十全大補湯ならびに偽薬(でん粉+乳糖)をコントローラーの割付に従って投与する。
このプロトコールに従い、済生会中央病院の倫理委員会にて承認を受けた。現在まで6例(十全大補湯服用患者4例、偽薬群2例)の登録があった。術後感染は認められなかったが、術後早期にIL-6の変動が認められた。慶應義塾大学医学部倫理委員会、病院治験審査委員会(院内研究)でも本研究が承認され、登録を開始する準備が整った。
結論
漢方薬を用いたRCT研究を開始した。術後早期にIL-6が変動することが示唆され、マーカーの一つとして有用である可能性が示された。

公開日・更新日

公開日
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更新日
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研究報告書(紙媒体)