医師・歯科医師・薬剤師調査の在り方に関する研究(総括研究報告書)

文献情報

文献番号
200200137A
報告書区分
総括
研究課題名
医師・歯科医師・薬剤師調査の在り方に関する研究(総括研究報告書)
課題番号
-
研究年度
平成14(2002)年度
研究代表者(所属機関)
近藤 健文(慶應義塾大学医学部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 統計情報高度利用総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成15(2003)年度
研究費
3,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
「e-Japan戦略」の一環として、統計調査についても電子情報を紙情報と同等に扱うオンライン報告の実施が定められている。医師・歯科医師・薬剤師調査(以下「三師調査」という)は、それぞれの身分法により2年に一度の就業状況等に関する届出が義務づけられ、その届出票を調査客体とする調査が届出統計として実施されている。本調査についても、次回調査となる平成16年末には届出義務者が希望する場合はオンライン報告が可能となる体制を整える必要があると考えられるが、その実施に当たっては報告者の認証方法など様々な問題が予測される。本研究では、これらの問題を中心として現在の問題点の整理とその対策、オンライン報告の実施に当たっての課題などについて検討を行った。
研究方法
研究協力者5名からなる班会議を組織して、1)オンライン報告に関する課題の検討、2)現在の届出状況の把握、3)調査の現状および現在の調査方法の問題点の把握、を行った。
結果と考察
1.届出漏れ対策に関する研究。1-1.三師調査の個票データを使用した届出率の推計。三師調査の個票データを使用して、医師、歯科医師及び薬剤師の届出率を推計した。2000年の三師調査において、1955年以降の登録者については、生存率を補正しない届出率は医師87.08%、歯科医師84.98%、薬剤師71.58%であり、薬剤師の届出率は医師、歯科医師に比較して低かった。また生存率を補正した届出率は医師90.30%、歯科医師87.15%、薬剤師72.98%であり、生存率を補正しない届出率より高くなったが、薬剤師は医師、歯科医師に比較して変化が少なかった。生存率を補正しない届出率と補正した届出率の比較では、登録年が古くなるにつれて両者の違いが大きくなる傾向があったが、薬剤師は医師、歯科医師に比較して違いは小さかった。このような医師、歯科医師と薬剤師との違いの理由として、薬剤師では医師、歯科医師に比較して、1)女性が多い、2)登録時平均年齢が低い、3)生存率が高い、ことがあると考えられた。
1-2.生命表の手法を応用した三師調査における届出率の推計。二時点の三師調査における届出医師数または歯科医師・薬剤師)数を比較することによって、この間に新たに未届出になる医師の比率を求め、その新規未届出率から生命表の手法を用いて間接的に母数の推計を行うことによって届出率を推計した。その結果、届出率は医師90.4%(283,110人中255,792人が届出)、歯科医師93.5%(97,199人中90,857人が届出)、薬剤師81.0%(268,519人中217,477人が届出)であった。歯科医師が最も高く、薬剤師が最も低い結果となった。
2.三師調査の現状に関する全保健所アンケート調査。平成14年度の三師調査の実施直後に、日本国内の全保健所(582ケ所)に対して三師調査に関する業務の実態などについてアンケート調査を実施した。アンケートの回収率および有効回答率はいずれも78.0%と高値であった。保健所実務者の見解では、平成14年度の推定届出率は薬剤師が医師、歯科医師に比べてやや低いものの、いずれも約90%程度という見解が示された。本来、有資格者が自ら届出ることになっているが、実際には保健所実務者の努力によって、届出率が上げられていることが判明した。また、彼らの努力によっても休職中の有資格者は把握が困難で、そこで生ずる届出漏れが大きな課題であることが鮮明となった。さらに、届出率向上に対しては広報活動が重要であるという認識が示された。
3.三師調査のオンライン化に対応した届出システムの考案。全国の医師・歯科医師・薬剤師が隔年ごとの就業の状況等をオンラインで届出る仕組みを検討した。まず、e-Japan全体計画における届出・申請システムの開発状況等を、電子認証基盤、電子署名法を利用した認証システム、司法書士や税理士等のオンライン届出の状況を調査した。また厚生労働省が実施する行政手続き等にかかるオンライン化、統計調査にかかるオンライン化等を調査した。さらに、三師調査を実施する上での届出者、保健所や統計情報部での受付処理、調査票記載事項の確認内容及び方法、医籍簿等との照合方法などの現状を調査した。次に、オンラインによる届出システムを想定し、オンラインによる利便性の整理、発生する脅威、脅威に対する対策、既存サービスの活用を検討しながら、届出システムのモデルを想定した。
結論
三師調査の届出率の推計と全国の保健所に対するアンケート調査を行い、その現状について把握した。併せて三師調査のオンライン化実施の可能性について検討を進めた。

公開日・更新日

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