異種細胞との共培養による皮膚の移植に関する安全性調査(総括研究報告書)

文献情報

文献番号
200200114A
報告書区分
総括
研究課題名
異種細胞との共培養による皮膚の移植に関する安全性調査(総括研究報告書)
課題番号
-
研究年度
平成14(2002)年度
研究代表者(所属機関)
吉倉 廣(国立感染症研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 吉倉廣(国立感染症研究所)
  • 神田忠仁(国立感染症研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成15(2003)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
免疫抑制剤等技術の進展により人から人への同種移植は定着し、待機患者が増加する一方で、慢性的に臓器の提供数が少ない点が問題となっている。そのようなことから、近年のバイオテクノロジーの進歩とあいまって、異種移植という新しい治療法の開発が促された。しかし、異種移植に用いる細胞、組織又は臓器に随伴した異種動物由来感染症の発生及び伝播の可能性が否定出来ず、これに対応する為に各国でガイドラインの作成が検討されている。我が国では、昨年、「異種移植の実施に伴う公衆衛生上の感染症問題に関する指針」が班研究(主任研究者吉倉廣)により取りまとめられ、平成14年7月9日付け医政局研究開発振興課長通知にて周知された。本研究班では、現在、国内外において実施されている培養皮膚移植につき、その製造方法、使用の実態等を調査した上で、上記指針の適用上問題となる処を精査し、取りまとめる事とした。これは、移植用培養皮膚はヒト由来であるが、異種細胞と共培養により製造される為、異種移植に該当する為である。
研究方法
国内外において実施されている培養皮膚移植につき、その製造方法、使用の実態等を調査し、「異種移植の実施に伴う公衆衛生上の感染症問題に関する指針」(平成14年7月9日付け医政局研究開発振興課長通知)の皮膚移植への適用に関する討議を行い(別添2)、最終文書とした。
結果と考察
(1)国内外において実施されている培養皮膚移植の実態調査
培養皮膚のうち、異種細胞を利用しているものがあるが、それらの製造方法を具体的に調査するため、共同研究者国立感染症研究所神田忠仁が2003年2月25-26日の2日間、米国のGenzyme Biosurgery (Boston, MA) とFDA CBER (Rockville, MD)で、調査をした。
(2)上記調査結果を踏まえ、京都大学再生医学研究所井上教授、自治医科大学小澤教授、国立感染症研究所神田室長、国立動物衛生研究所清水所長、神戸大学法学研究科丸山教授、主任研究者感染症研究所吉倉所長、厚生労働省医政局研究開発振興課の出席のもとに、「異種移植の実施に伴う公衆衛生上の感染症問題に関する指針」(平成14年7月9日付け医政局研究開発振興課長通知)の皮膚移植への適用に関する討議を行い、最終文書とした。最終文書では、(i) 指針「3.3インフォームドコンセントの方法及び内容」、「5.1移植患者(1)、(5)、(7)」「5.4移植患者の記録」「6.1.2感染症発生時の報告」については皮膚移植に該当する個所を選択し、これを計画書で明記した上で実施すること、(ii)培養に使用する細胞のワーキングセルバンクにつき、別添1の内マイコプラスマなど適切な微生物検査を予め決めておき品質管理を行うこと、(iii) 最終製品中の異種フィーダー細胞の存在有無の確認、(iv)最終製品の一部試料の冷凍保存、などの指針の適用法を示した。
取り纏めた文書を今後、医療現場に周知させ、今後の皮膚移植に際して具体的な指針となると思われる。
結論

公開日・更新日

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