少子高齢化と公的年金制度のあり方に関する研究(総括研究報告書)

文献情報

文献番号
200200033A
報告書区分
総括
研究課題名
少子高齢化と公的年金制度のあり方に関する研究(総括研究報告書)
課題番号
-
研究年度
平成14(2002)年度
研究代表者(所属機関)
手塚 和彰(千葉大学法経学部)
研究分担者(所属機関)
  • 中窪裕也(千葉大学法経学部)
  • 宮島洋(東京大学院経済学研究科)
  • 廣瀬久和(東京大学院法学政治学研究科)
  • 高田一夫(一橋大学大学院社会学研究科)
  • 田近栄治(一橋大学大学院経済学研究科)
  • 下和田功(一橋大学院商学研究科)
  • 野川忍(東京学芸大学教育学部)
  • 藤正巌(政策研究大学院大学)
  • 松谷明彦(政策研究大学院大学)
  • 岡村清子(東京女子大学)
  • 阿久沢利明(杏林大学社会科学部)
  • 松本勝明(国立社会保障・人口問題研究所)
  • 小川有美(千葉大学法経学部)
  • 金子敬明(千葉大学法経学部)
  • ベルント・バロン・フォン・マイデル(ドイツマックスプランク国際社会法研究所)
  • ヴィンフリート・シュメール(ブレーメン大学経済学部)
  • ベルント・シュルテ(ドイツマックスプランク国際社会法研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
8,900,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
少子高齢化の進展に伴う老齢従属人口比率の増加と生産年齢人口の減少は、我が国の経済・社会に広範な影響をもたらすものと考えられる。特に、国民の老後における所得保障の最も重要な柱である公的年金制度の将来に大きな影響を与えることになる。一方、こうした状況の中で、将来の保険料負担の増加や年金給付に関する帰趨が不透明なことが、国民の老後に対する不安要因となっている。年金制度の将来に関しては、厚生年金の民営化や基礎年金の税方式への転換など、様々な議論が行われているが、これらの議論は十分に説得力のあるものではないとかえって、国民の不安を強めてすらいる。これを、取り除くためには、具体的課題に対する解決策を速やかに示す必要があると考えられる。このため、本研究は、現在の世代間連帯を基礎にした社会保険制度としての年金制度をベースとして、少子・高齢化の進展や経済環境の変化に対応した年金制度の在り方について検討を行い、実現可能な解決策を示そうとするものである。 そのため、本研究においては、単なる年金財政的な検討に留まらず、世代間の連帯と公平についての考え方、高齢者の家計及び生活状況、高齢者の就労問題、育児支援などの少子化対策の在り方などを含めた幅広い観点からの検討を行うこととしている。また、既に少子高齢化に対応した年金制度等の改革を実施している欧米諸国について、外国の研究者との国際的な共同研究を実施し、我が国年金制度の将来を考える上で、不可欠な情報を得ることとしている。
研究方法
昨年度(平成14年)は、まず基本的な課題に関する現在までの既存の研究成果、諸見解に基づき、研究参加者間で徹底的した討論を行い、具体的な論点及び解決策の方向性を整理した。その際に、諸外国の研究成果も合わせて活用できるよう、外国の研究者との間でデータ・情報の交換を行い、さらに、国内での基本調査及び外国との共同研究に関し、調査項目等の基本的な枠組みを決定する。本年度(平成15年)は、上記の公的年金制度のあり方、将来についての検討を行うとともに、国内調査及び欧米における年金制度改革について外国の研究者との国際共同研究を実施し、外国の研究者も含めた研究参加者により、調査結果等に基づく討議・検討を行う。本年10月には、ドイツ、アメリカ、イギリス、スウェーデンなどからゲストを招き、「高齢社会における。公的年金のあり方」をめぐるシンポジュウムを行う。第三年度(平成16年)は、各課題についての調査・分析結果とそれによる結論を基に、施策に反映しうる具体的な問題解決策を提示する。
結果と考察
この研究は、日本を始め、先進諸国で進む人口の少子高齢化に対応する諸問題を分析し、その中でも最大の課題である高齢者への所得保障、特に、公的年金制度の在り方に関し、少子化への対応も含めた検討を行うものである。わが国の将来的な年金政策のあり方を提示し、そのための前提を分析するものである。 この課題を解
くには、社会保障の専門家だけではなく、社会保障法、財政学、人口学、家族研究(社会学、家族法)などの多領域からなる学際的研究が必要である。これと同時に、ドイツをはじめとする西欧諸国やアメリカでの実態と政策対応とを比較検討し、かつ理論的討論を積み重ねなくてはならない。この研究組織はわが国ではじめてこうした多領域の第一線の研究者が一堂に会し、実証、分析、政策、理論を、右の課題について展開しようとするものである。
結論
 今年度は、高齢社会の今後の進展に関するマクロ、ミクロの分析を行い、公的年金のあり方を明らかにした。また、その結果の地域に与える影響の分析から、公的年金の地域における経済的、社会的役割・機能について考察した。また、比較研究を日独について行い、高齢化に伴う年金政策のあり方の研究を行った。この間、ドイツでは連邦議会「高齢化委員会」の報告がなされており、これらを含み検討した。 公的年金を家族、世帯での高齢者の生活基盤とする一方、財産的価値も検討されなくてはならない。高齢者の世帯の財産との関連で、相続財産も大きい意味がある。フランス、イングランドと真っ向から異なる制度の調査検討を行った。アメリカに関しては公的年金と私的年金・企業年金との関係を含め資料を収集し、そこでの議論を検討した。これらの成果は、今後のわが国の公的年金改革の方向を定めるための貴重な材料となろう。

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