社会保障負担のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
200200018A
報告書区分
総括
研究課題名
社会保障負担のあり方に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成14(2002)年度
研究代表者(所属機関)
松本 勝明(国立社会保障・人口問題研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 勝又幸子(国立社会保障・人口問題研究所)
  • 金子能宏(国立社会保障・人口問題研究所)
  • 大石亜希子(国立社会保障・人口問題研究所)
  • 山本克也(国立社会保障・人口問題研究所)
  • 宮里尚三(国立社会保障・人口問題研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成15(2003)年度
研究費
8,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、公平で安定的な社会保障制度を構築するため、社会保障負担のあり方について制度横断的な検討を行うものである。社会保障負担については、現在、世代間などで負担の不公平感があるとともに、保険料負担が増大していく中で所得のみの賦課に負担過重感が生じている。そこで、本研究では、社会保障費用をどのように国民が公平に負担していくのが望ましいかという観点から研究を行う。
研究方法
専門家の意見を聴取し検討すべき論点などを整理した後に、各分担研究者により、①世代間と世代内の公平性の視点から、所得・消費・資産に対する負担能力に応じた負担賦課のあり方についての世代重複モデルを用いた分析、②短時間労働者への厚生年金の適用拡大が年金財政収支に与える影響についての分析、③社会保障負担が就業行動や引退行動に及ぼす影響についての分析を行う。 また、国際比較の観点から、フランスの一般社会拠出金(CSG)及びドイツの年金保険における国庫補助などに関して、その考え方、効果、問題点の分析を行う。
結果と考察
シミュレーション分析の結果、予定されている基礎年金国庫負担率の引上げをまかなう年金財源の賦課ベースの拡大を消費税で賄う場合は貯蓄と生産活動にプラスの影響を及ぼすが、世代内の公平性には総合所得税(賃金所得と利子所得への賦課)の方がより好ましい影響を及ぼすこと、第三号被保険者の縮小は年金財政にプラスの効果を及ぼすことが把握された。また、国際比較研究により、フランスとドイツの両国が、社会保障負担の増大を抑制するとともに、公平な負担の在り方を実現するための取組みが既に始まっていることが、把握できた。
結論
欧州諸国では、賃金付随コスト削減の観点から、社会保障給付の抑制と併せて、社会保険料財源から税財源へのシフトがみられるとともに、賦課ベースを拡大し、より公平な負担を実現するためにフランスのCSGのような新たな財源の開発も行われている。本研究によって、我が国に関しても、財源構成の変更や賦課ベースの変更・拡大が、国民経済や社会保障財政に及ぼす影響が明らかになることは、我が国の社会保障負担の今後のあり方についての具体的な検討を進める上での重要な基盤を作り出すことにつながるものと考えられる。

公開日・更新日

公開日
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更新日
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