人事・財務面から見た企業年金等退職給付プランのあり方に関する調査研究(総括研究報告書)

文献情報

文献番号
200200010A
報告書区分
総括
研究課題名
人事・財務面から見た企業年金等退職給付プランのあり方に関する調査研究(総括研究報告書)
課題番号
-
研究年度
平成14(2002)年度
研究代表者(所属機関)
臼杵 政治(財団法人年金総合研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 中野誠(一橋大学大学院国際企業戦略研究科)
  • 三石博之(財団法人年金総合研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成15(2003)年度
研究費
4,900,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
退職給付プランに関連して、大きな変革に直面している企業の人事・財務の両面から、退職給付制度の新たな動向について企業等を対象に実態調査をすることにより、各制度の問題点、意義等を明らかにするとともに、各企業の特性に応じた退職給付プラン のあり方を提示することにより、労働者が多様かつ自立的な生活設計をするための指針を示し、以って労働者の福祉の向上への貢献を図ることを目的とする。
研究方法
初年度の調査研究では、まず、確定拠出年金やキャッシュ・バランス・プラン等新型の確定給付企業年金の導入企業(又は厚生年金基金)等を対象に当該退職給付プランの導入の背景、導入プロセス、評価等についてヒアリング調査を行い、また、上場企業 及び非上場企業等の人事及び財務部門を対象に退職給付プランの実態、見直しの動向等についてアンケート調査を行った。それらのアンケート調査・ヒアリング調査をもとに、各企業の賃金・人事政策、財務政策等の企業特性と退職給付プランとの関係性を分析することで、退職給付プランについて企業の特性に応じたパターンや傾向の確認を行い、それらの結果を踏まえて、各退職給付制度の問題点等を指摘するとともに、企業の特性に応じた多様な退職給付プランのあり方を提示することができた。また、同時に退職給付プランに 関連する規制・税制のあり方について課題を提示することができた。
結果と考察
全般的には、年功主義から成果主義への修正は進みつつあるものの、雇用流動化は途半であり、採用に関しては現状維持の意向が強かった。財務・会計上の影響は、ほとんど全ての退職給付制度の導入や終了に影響しており、特に、厚生年金基金の終了では、財務上の影響が大きかった。
結論
調査結果を踏まえると、本研究は以下のようにまとめられる。○雇用慣行の多様化 人材ポートフォリオを構成する人材のタイプは、①従来のように定年まで一つの企業に勤めることを前提として処遇される人材、②パートなど最初から短期雇用を前提とする人材、③専門技術を持ち転職を厭わない人材に分けられ、企業は、①のタイプについて成果主義などを通じてコストと効果の管理を強めながら、②や③のタイプにもそのインセンティブを高める処遇体系を作り上げていく、という二つの途を通じ、人事政策の改革を進める必要がある。どちらに重点を置くかは、企業のビジネス・モデルや従業員のタイプによって異なってくる。○人事政策に応じた退職給付制度の今後 今後あらゆる企業、従業員を満足させられる退職給付制度の構築は困難である。各企業はその人事政策とその求める人材のタイプに応じて、さまざまな制度を採用し、また自ら設計していかざるを得ないし、複数の制度を混合させることがありえる。その検討の際には、成果主義など従来の年功的な制度の修正や雇用の流動化のいずれにも対応できる柔軟性から、キャッシュ・バラン ス・プランが中心的役割を果たしていくだろう。

公開日・更新日

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