二次医療圏毎の小児救急医療体制の現状等の評価に関する研究

文献情報

文献番号
200101233A
報告書区分
総括
研究課題名
二次医療圏毎の小児救急医療体制の現状等の評価に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成13(2001)年度
研究代表者(所属機関)
田中 哲郎(国立公衆衛生院)
研究分担者(所属機関)
  • 田久浩志(中部学院大学)
研究区分
厚生科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究事業
研究開始年度
平成13(2001)年度
研究終了予定年度
平成14(2002)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
小児救急医療の状況は地域により大きな差が見られると考えられるもののその実態は明らかでないことより、全国360二次医療圏別に小児救急医療の現状を明らかにすることを目的に研究を行った。
研究方法
二次医療圏別の小児救急の現状調査は都道府県の救急担当者に対して調査用紙に記入を依頼する方法で行ったが、詳細は各報告書を参照されたい。
結果と考察
休日・夜間急患センターは360二次医療圏の内238二次医療圏で設置されていた。全急患数に占める15歳以下の小児患者は半数以上みられており、15歳未満の年少人口は15%程度であるのに比べ著しく高い割合となっており、子どもは発熱など急な診療を必要とすることが多いことが確かめられた。
休日・夜間急患センターの稼動時間は大部分が0時以前のいわゆる準夜帯のみに稼動している施設が多く、0時以降の深夜帯の稼動している急患センター持つ二次医療圏は、平日が14.2%、土曜日が17.2%、日曜・祭日が18.1%のみであったことより、深夜帯の診療を今後どのように行うべきかが大きな課題とされた。また、二次救急病院に併設されている急患センターは48センターで、全503の急患センターの9.5%であった。
在宅当番医制は19.069施設と多くの施設が参加していたが、小児の診療がどの程度行われているかは不明であり、現状を明らかにするためには別に調査が必要である。
二次救急医療では、24時間365日小児科の当直医のいる施設は全国で228施設で、360二次医療圏では98二次医療圏(27.2%)のみで、ほとんど大都市に設置されていた。また、小児の二次救急輪番体制が行われていたのは69二次医療圏(19.2%)で322施設が参加しており、1二次医療圏当たり平均4.7施設で運営されていた。
24時間365日または小児科の二次救急輪番体制のない二次医療圏は220二次医療圏の60.3%であった。
24時間365日体制の小児科の当直のある施設の総ベット数は平均538.1床で、小児科のベット数は7.3%に当たる39.2床であった。また、小児二次救急の輪番参加施設は総ベット数が311.0床で、小児科は5.6%に当たる17.5床であることが明らかになった。
小児科医師数は24時間365日当直医のいる施設が9.8名、輪番参加病院が3.3名と少人数であり、輪番参加病院では月2.0人の当直の応援を得て実施していた。
未整備220の二次医療圏について将来の整備に関する県の担当者の考えは、24時間365日体制が11二次医療圏(5.0%)、輪番で整備が96二次医療圏(43.6%)であり、多くの救急担当者は輪番により整備することを考えており、このためには輪番運営費の増額と小児科医の確保を希望していた。しかし113二次医療圏については現状ではいずれの方法でも整備は不可能と考えていた。その理由としては医療施設や小児科医がいないとしていた。
また、二次医療圏別に病院小児科医数についてみてみると、小児科が9名以下で一つの医療圏だけで輪番体制を組むのが難しいとされる二次医療圏は全体の53%の191医療圏にのぼることより、複数の広範医療圏での整備も視野に入れる必要があると考えられた。同時に小児科専門医のいない医療施設と基幹病院をテレビ回線で結ぶなどの遠隔診療についても考慮し、小児救急医療体制の充実を図らなければならないと考えられた。
結論
小児救急医療の現状について二次医療圏別の現状について検討した。その結果、急患センターは多数設置されているものの深夜帯の稼動が少なかった。小児の二次救急医療では24時間365日小児科当直のいる施設と子どもの二次救急輪番体制のある二次医療圏は143医療圏のみで、全体の61.1%の220医療圏は未整備であった。また、二次医療圏別に病院勤務の小児科医をみると、9名以下の二次医療圏が191二次医療圏(53.1%)みられていた。
今後わが国の小児救急医療をどのようにして充実すべきかを国民全体で考え、安心して暮らせる社会を構築すべきである。

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