病院歯科の地域歯科医療支援等の機能面からみた現状分析と歯科医療提供体制の推進に関する総合的研究

文献情報

文献番号
200101179A
報告書区分
総括
研究課題名
病院歯科の地域歯科医療支援等の機能面からみた現状分析と歯科医療提供体制の推進に関する総合的研究
課題番号
-
研究年度
平成13(2001)年度
研究代表者(所属機関)
寶田 博(三井記念病院歯科・歯科口腔外科)
研究分担者(所属機関)
  • 山田祐敬(岡崎市民病院)
  • 田中義弘(神戸市立中央市民病院)
  • 佐野晴男(都立荏原病院)
  • 川崎浩二(長崎大学歯学部)
  • 梅村長生(愛知三の丸病院)
研究区分
厚生科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究事業
研究開始年度
平成12(2000)年度
研究終了予定年度
平成14(2002)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
限りある公的医療費の枠内において、歯科医療の質を維持しつつその運用を効率的に行うためには、歯科医療提供体制の中で従来とかく機能が明確でなかった病院歯科の整備充実が必須である。本研究は、病院歯科の現状を5項目の分担研究により分析し、今後の歯科医療提供体制の中で良質な歯科医療を効率的に国民に提供するための方策を検討することである。分担研究の課題(分担研究者名、所属機関)を以下に示す。1.自冶体病院歯科における歯科医療支援等の機能面からみた現状分析と歯科医療提供体制に関する研究 山田祐敬(岡崎市民病院歯科口腔外科部長)、2.地方自冶体と大都市圏における病院歯科の現状分析と歯科医療提供体制からみた比較研究 田中義弘(神戸市立中央市民病院歯科口腔外科部長)、3.大都市における病院歯科の歯科医療支援等の機能面からみた現状分析と歯科医療提供体制に関する研究 佐野晴男(都立荏原病院歯科口腔外科医長)、4.歯科医科医育機関における機能面からみた現状分析と歯科医療提供体制の推進に関する研究 川崎浩二(長崎大学歯学部予防歯科学講師)、5.一般病院における歯科施設の機能面からみた現状分析と歯科医療提供体制との関わりについての研究 梅村長生(愛知三の丸病院歯科口腔外科部長)
研究方法
本研究は3段階(3年間)にわたって行われる。初年度では現状における病院歯科の実態をアンケートにより調査、この結果を第2段階(2年次)において多角的に分析し、第3段階(3年次)においては有識者ないし専門家の意見も交えて、病院歯科の今後の位置付けと効率的な地域歯科医療体制における機能について検討する。
対象施設は、歯科大学・歯学部附属病院、医科大学・医学部附属病院歯科施設、一般病院の歯科施設であり、病院要覧(1999‐2000年版、厚生省健康政策研究会、医学書院)に記載してある9,413施設から歯科診療施設があるとされる施設を抽出し、これらを対象にアンケート調査表を発送、回収した。統計的分析は、分担研究者により5項目のテーマごとに検討された。
結果と考察
回収率は、全施設で71.4%、一般病院70.3%、医科大学・医学部附属病院84.2%、歯科大学・歯学部附属病院93.1%であった。病院歯科の機能としては、口腔外科的疾患やいわゆる有病者歯科治療を中心とした高次歯科医療を担当することにより開業歯科医との機能分担をすることが大きなものであるが、一方、これらをバックとして研修施設としての機能をも備えている。歯科大学・歯学部附属病院においては、臨床研修に必要とされる一般歯科治療の患者が減少傾向にあり、経営上の問題も絡め、教育研修病院としての機能に不透明な現状が認められる。医科大学・医学部附属病院の歯科診療施設は、自治体病院とともに地方においては地域支援型としての機能を発揮しており、研修病院としても良好である。一方、大都市においては常勤医の数が2人以下の施設と3人以上の施設との間で病院歯科としての機能に明らかな差が認められた。
結論
アンケートの項目が40数項目と多く、しかも経理面まで回答を求めたにもかかわらず、高い回収率を得たことは、この問題に対する病院歯科関係者の関心の高さを示すものである。病院を取り巻く環境が厳しくなる中で病院歯科は機能的な整備を進めると共に、母体となる病院の経営面において不採算部門として切り捨ての対象とならないよう、固有の機能と採算性の整合が成り立つような方策を講じることが急務である。一方、アメニティーを含めて良質な医療を求める傾向が近年患者サイドに高まっており、次元医療の悪しき側面である単なるコンベアー式の制度では、患者の要望に充分応えられるとはいい切れない面があろう。患者が医療の質を求める要望に応えるため、病院歯科は研修病院として、質の高い歯科医療を維持する努力を続けるべきである。このため特に一般病院の歯科は、歯科医育機関における臨床研修に質量ともに限界が危惧される現状において、高次歯科医療をバックとした臨床研修機関(卒前を含めて)として整備し、活用することが望ましい。最終的な結論は、3年次における有識者および専門家との論議を経て公表する。

公開日・更新日

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