女性の健康寿命延長のためのホルモン補充療法活用に向けての基礎的・疫学的研究(総括研究報告書)

文献情報

文献番号
200101036A
報告書区分
総括
研究課題名
女性の健康寿命延長のためのホルモン補充療法活用に向けての基礎的・疫学的研究(総括研究報告書)
課題番号
-
研究年度
平成13(2001)年度
研究代表者(所属機関)
本庄 英雄(京都府立医科大学)
研究分担者(所属機関)
  • 矢野 栄二(帝京大学)
  • 寺本 民生(帝京大学)
  • 山岡 和枝(帝京大学)
  • 田宮菜奈子(帝京大学)
  • 芦田みどり(生活福祉研究機構)
研究区分
厚生科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究事業
研究開始年度
平成13(2001)年度
研究終了予定年度
平成15(2003)年度
研究費
16,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
(9) 研究目的 (10) 結果と考察 (11) 結論
女性は一般に男性より長生きだが、生涯や痴呆の機関は男性の数倍は長い。女性の寝たきり機関を短く、自律を目的として、健康寿命のためのホルモン補充療法(HRT)の適応と限界、それ以外の方法の活用を求め、“女性センター"研究、基礎・疫学・臨床・医療サービス・国際比較研究を初年度として開始した。女性センター研究班では1)44人、延べ138回のカウンセリングを行ない、HRTでも抗癌剤でも無効のものにも良好な効果を得、一方カウンセリングでHRT再開の症例が見られるなど、センターでのカウンセリングの重要性が認識された。2)全国大学附属病院産婦人科へ医師及び患者向けアンケートを行ない50施設66人の医師602人の患者さんからの返事をいただいた。医師の回答では老年期障害として骨粗鬆症、高脂血症、記憶障害を主に取り扱い、8割の医師がHRTを有効とした。患者さんからは主症状は肩こり、腰痛、物忘れ、不眠・・・であったが将来気になるものとして1に痴呆をあげ、全体の62%が自分が寝たきり老人になると考えた事があると回答した。
3)基礎研究班 1.[Alzheimer病におけるエストロゲンの影響―エストロゲンおよびnon-feminizing estrogenのコリン作動性神経細胞保護作用] 2.[Amyloid β proteinによる細胞内カルシウム濃度および細胞内過酸化の増加に対する17β-EstradiolおよびJ 861の効果] 3.[Alzheimer病におけるエストロゲンの影響-Amyloid β 蛋白により誘導される神経細胞死におけるAdvanced glycation Endproducts (AGE)の関与とEstrogenの影響] 4.[Alzheimer病におけるエストロゲンの影響―アストログリア系細胞株に対するエストロゲン様物質J 861の抗酸化作用について] 5.[Alzheimer病におけるエストロゲンの影響―J 861が単球の血管内皮接着に及ぼす影響]につき基礎研究を行ない、エストロゲン及び男性にも使用しうるであろうnon-feminizing estrogenのアルツハイマー病(AD)に対する良好な効果を確信した。4)植物性エストロゲン(ワイトエストロゲン)の摂取・血中濃度調査―京都市と福島県郡山市との比較をM.K. Melby氏を中心として食事調査と血液サンプル集めを開始した。疫学・臨床班では子宮がん・乳癌・卵巣がん検診の女性検診の有効性の検討がなされた。子宮頚癌では頸部擦過細胞診(PAPテスト)が有効、ヒトパピローマウィルス検査(HPV)のスクリーニングでは根拠不十分、子宮体癌、卵巣癌検診は評価未定、乳癌は視触診とマンモグラフィーがすすめられているが賛否両論あり我が国でも大規模調査研究の進退が待たれる。
臨床研究班においては女性の高脂血症と動脈硬化発症の関係を検討された。女性では特に陰コレステロール値よりLDLコレステロール値の方が虚血性心疾患(CHD)の危険因子として有用である。女性では高中性脂肪症で死亡率の増加が認められた。女性の特に糖尿病患者ではCHDの発症に低HDL血症が強い危険因子として関与していた事が明らかとなった。
疫学解析班では初年度、既存の流行データに基づき、3.の視点から健康状態の性差の比較を行った。乳癌は東京都心部に多かった。女性の総受療率は20-34歳に1つのピーク今一つは80歳以上であった。老人医療では女性の通院を可能にする対策が重要と考えられた。
医療サービス研究班では保健・介護サービスの利用と男女差が検討された。適切な受療行動には正しい知識の導入が効果的であった。女性は被介護者としてはより少ないサービスを受け、介護者としての負担は男性介護者より大きいことが明らかとなり、介護者自身の支援貸借の必要性が示された。
国際比較調査班、初年度では予備調査として文献調査を行ない、2001年9月2~13日訪欧European Institute of Women's Health Peggy Maguire理事長 他、Women's Health Council Mary Short博士他、Berlin University医学部 Karin Schmidt-Gollwitzer教授 他、マンハイム大学医学部 Frank Melchert教授、The Netherlnads Interdisciplinary Demographic Institute(NIDI) Jenny Gierveld教授、Centre for Population Studies Emily Grundy教授と1)研究協力者との研究計画の打ち合わせ2)西欧に於ける女性保健に関する研究についての情報収集 3)女性の健康にかかわる行政、医療サービス、研究、教育等の関係者にインタビューを行ない、特徴を明らかにした。同年、11月3~11日までコロンビア大学医学部Mary Sano助教授、Steven Albert助教授、Carolyn Westoff教授、ロックフェラー大学Joel Cohen教授、Bruce McEwen教授他とJohens Hopkins大学Patricia O'Campo助教授、Emily Agree講師(研究協力者)他と2002年3月12~15日まではMCP Hahnemann大学Rosalyn Richman講師・Lucia Beck Weiss助教授、Institute for Women's Policy Research Heidi Hertman所長・Emily Caiazza博士他と1)研究協力者との研究計画の打ち合わせ2)西欧に於ける女性保健に関する研究についての情報収集 3)女性の健康にかかわる行政、医療サービス、研究、教育等の関係者にインタビューを行ない、特徴を明らかにした。


研究方法
結果と考察
結論

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