保健サービスを利用した生活習慣介入による2型糖尿病の予防に関する研究

文献情報

文献番号
200101035A
報告書区分
総括
研究課題名
保健サービスを利用した生活習慣介入による2型糖尿病の予防に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成13(2001)年度
研究代表者(所属機関)
葛谷 英嗣(国立京都病院)
研究分担者(所属機関)
  • 佐藤茂秋(神戸大学医学部衛生学)
  • 鎌江伊三夫(神戸大学都市安全研究センター)
  • 佐藤祐造(名古屋大学総合保健体育科学センター)
  • 佐藤寿一(名古屋大学医学部付属病院総合診療部)
  • 富永真琴(山形大学医学部臨床検査医学)
  • 河津捷二(埼玉医科大学総合医療センター)
  • 辻井悟(天理よろづ相談所病院)
  • 吉田俊秀(京都府立医科大学第1内科)
  • 清原裕(九州大学医学部第2内科)
  • 津下一代(愛知県総合保健センター)
  • 坂根直樹(神戸大学医学部衛生学)
  • 臼井健(国立京都病院臨床研究部)
研究区分
厚生科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究事業
研究開始年度
平成13(2001)年度
研究終了予定年度
平成15(2003)年度
研究費
27,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
耐糖能異常者(IGT)を対象に生活習慣への介入が2型糖尿病の発症予防に及ぼす影響について検証する多施設共同大規模介入研究である。(1) 生活習慣を改善することにより2型糖尿病を予防できるのか、(2) 効果的な介入方法は何か、を明かにし、さらに、(3) 糖尿病一次予防のための保健サービスの在り方と体制づくりについて研究することを目的とする。
研究方法
「協力施設」全国の保健所、市町村保健センター、事業所、人間ドックを有する医療機関から協力施設を募集する。「対象者」健診で見い出されたIGTで30歳以上60歳未満の者を対象とする。対象者は原則として個人ごとの無作為割り付けによって強力介入群, 普通介入群(対照群)の2群に分ける。「研修会」介入方法の標準化、介入担当の保健従事者のトレーニングのため、全国および地区レベルで研修会やワークショップを開く。「介入プロトコール」・適正な体重(BMI 22)の達成(過体重・肥満者にあっては7%以上の減量)、・運動習慣の獲得、および・それらを継続させることを目標とする。
motivationを高め維持するために、強力介入群にたいしては、保健従事者が研究班で作成したマニュアルと教材を用いて、集団指導のかたちでおこない、その後個別あるいは小グループカウンセリングを定期的に行う。最初の6ヵ月間は強力介入期として、この間に集約的に目標を達成させ、後の期間は維時期と位置づける。普通介入群には糖尿病についての一般的な知識及び運動や食事について留意すべき事を集団指導により説明する。観察期間は6年とし、エンドポイントの主評価項目は糖尿病の発症(GTTで判定)とする。検査はデータ精度管理が水準以上である同一検査機関での集中測定とする。「研究組織」精度の高いデータを確保するために、対象者の登録、強力介入群・普通介入群への割り付け、検査・調査記録表の記載点検等のデータ管理および分析は管理センターで行う。
結果と考察
結果=平成13年度の研究結果の概要は以下のごとくである。
1)協力施設数と対象者数
平成14年3月25日現在における協力施設数は25施設で、登録対象者(IGT)数は251名に達した。対象者は中央の管理センターで無作為に、強力介入群(125名)と普通介入群(126名)に割付られた。
協力施設および対象者は、引き続き、リクルート中である。
2) 2年目における中間解析
脱落率:2年目までに強力介入群で125名中22名(男性14名、女性8名)が、普通介入群で126名中11名(男性5名、女性8名)の脱落があった。脱落の理由としては、仕事上が最も多く14名(42.4%)あった。介入開始時に、既に運動習慣を十分に有していたため、対象から除外されたものも5名あった。
生活習慣の変化:2年目を経過した17施設の163名(強力介入群79名、普通介入群84名)の中間解析では、強力介入群では総消費エネルギーの増加、総摂取エネルギー量の減少、脂質摂取エネルギー割合の減少を認めた。体重は目標の7%減には及ばなかったが、腹囲は平均2.5cm減少を認めた(普通介入群では変化なし)。
ブドウ糖負荷試験で糖尿病型を呈するものの割合:2年目を経過したもの(n=139)で糖尿病型を呈するものの割合は、普通介入群で25.0%(18/72)、強力介入群で10.5%(7/67) であった(p=0.026)。両群の差はベースラインにおけるブドウ糖負荷試験で2時間値が高い(170-199mg/dl)IGTのグループで顕著であった(普通介入群44.8% v.s. 強力介入群12.0% p=0.008)。一方、2時間値が低い(140-169mg/dl) IGTのグループでは差がなかった(普通介入群11.6%v.s.強力介入群9.5% p=0.75)。
考察=今回は介入2年目を終了した163名(強力介入群79名、普通介入群84名)の中間解析をおこなった。中間解析では強力介入群において糖尿病型を示すものの割合が有意に低いことが示された。介入効果はベースラインにおけるGTTで2時間値の高い(170- 199mg/dl)IGTでみられた。この点は今後も引き続いて追跡し確認していく。また一次予防には、運動がよいのか、体重減少がより重要であるのかも明らかにしていく。
結論
介入開始2年目の成績をまとめた

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