地域における地方衛生研究所の健康危機管理のあり方

文献情報

文献番号
200101031A
報告書区分
総括
研究課題名
地域における地方衛生研究所の健康危機管理のあり方
課題番号
-
研究年度
平成13(2001)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 一夫(福島県衛生研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 江部高廣(大阪府立公衆衛生研究所)
  • 上木隆人(東京都衛生研究所)
  • 宮崎豊(愛知県衛生研究所)
  • 杉田隆博(大阪市立環境科学研究所)
  • 大道正義(千葉市環境保健研究所)
研究区分
厚生科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究事業
研究開始年度
平成13(2001)年度
研究終了予定年度
平成15(2003)年度
研究費
32,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究においては、健康危機事例に適切に対応するために、従来の研究結果をふまえた研究を行い地研が目指すべき体制の方向を整理し、その実践をもって地研の健康危機管理対応機能の充実を図ることを目的とした。そのために、平成13 年度より3 ヶ年計画で以下の5つの研究課題に取り組んだ。まず、①健康危機管理事例集の内容充実とその利活用に関する研究(事例データベースの作成、利活用と管理方法の確立)②健康危機管理関連の情報ネットワークの構築に関する研究(地研ドメインネームの活用とポータルサイトとしてのホームページと検索システムの構築、各種情報の電子情報化とデータベース作成)③健康危機管理事例に関連する試験検査の開発標準化に関する研究(緊急的に必要とされる可能性のある検査法情報の収集、検査法の標準化、精度管理の充実)④健康危機管理のための試験検査技術の充実普及に関する研究(検査技術の遠隔研修方法の確立、研修支援システムの構築)⑤地域での連携体制の構築に関する研究(分野毎の連携の検討を含めた地域ごとの連携協力の具体化、連携システムモデルの検討、地研・国研の連携協力体制の構築)である。これは、地域における実践上での問題点を明らかとし、その障害の克服を企図したものであり、ここで得られた結果を基に次年度を目途に全国規模での机上訓練を行い、その評価と改善を行う予定である。
研究方法
分担研究者を中心に全国6支部から推薦された研究班員で構成する研究班において、75地研全てが参加・連携して、①健康危機管理事例集の内容充実とその利活用に関する研究(事例データベースの作成、利活用と管理方法の確立)、②健康危機管理関連の情報ネットワークの構築に関する研究(地研ドメインネームの活用とポータルサイトとしてのホームページと検索システムの構築、各種情報の電子情報化とデータベース作成)、③健康危機管理事例に関連する試験検査の開発標準化に関する研究(緊急的に必要とされる可能性のある検査法情報の収集、検査法の標準化、精度管理の充実)、④健康危機管理のための試験検査技術の充実普及に関する研究(検査技術の遠隔研修方法の確立、研修支援システムの構築)、⑤地域での連携体制の構築に関する研究(分野毎の連携の検討を含めた地域ごとの連携協力の具体化、連携システムモデルの検討、地研・国研の連携協力体制の構築)を行った。
結果と考察
平成13年には、①でこれまでの健康危機管理事例集の詳細版を含む内容の充実を図り、危機管理における研究所のチェックリスト(案)を作成した。②で地研ネットワークの構築を行い、地研ドメイン名取得とそれを利用してのメーリングリストの作成準備が整った。③で近年整備が進んできた定量PCR装置を利用した遺伝子組み換え食品の検査法の開発とその標準化を行った。④でリファレンス情報データベース作成に向け、その入力負荷を軽減した入力フォームを開発し、検査技術(エンテロウイルスの迅速同定のための一本鎖高次構造多型解析及びエンテロ71の遺伝子塩基配列の決定による血清型分別)の支援と普及を行い、⑤で健康危機管理における地研の役割の再検討と標準マニュアル(地研用)の作成を行い、健康危機発生時の迅速対応を目的とした地域連携体制の試行的構築を行った。これらにより、健康危機管理事例発生時における地研の対応として必要な、そして基本的資本である地研情報ネットワークの構築の基盤整備がほぼ完成に近づき、次年度に計画している全国規模での机上訓練が可能となった。
結論
健康危機管理事例発生時の
対応として必要な地研が担うべき部分は、迅速かつ正確な発生事例の原因究明であると考えられるため、備えるべき4本柱の機能を整備並びに強化することを目的に研究を行った。地研全国協議会会員75地研全てが参加・連携して、備えるべき4本柱の機能(調査研究機能、試験検査機能、研修機能及び公衆衛生情報収集・解析・提供機能)を強化し、それを有効に活用する体制を構築するため、基本的資本である基盤整備として地研情報ネットワークの構築や地研相互支援ネットワークの構築を行い、健康危機事例集の詳細版を含む内容の充実を図り、危機管理時における研究所のチェックリスト(案)を作成した。これらの成果により、次年度に計画している全国規模での机上訓練が可能となり、更なる実践的成果を挙げることが確実になったものと考えられた。

公開日・更新日

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