医療用具の有効性・安全性評価手法の開発に関する研究(総括研究報告書)

文献情報

文献番号
200100974A
報告書区分
総括
研究課題名
医療用具の有効性・安全性評価手法の開発に関する研究(総括研究報告書)
課題番号
-
研究年度
平成13(2001)年度
研究代表者(所属機関)
土屋 利江(国立医薬品食品衛生研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 配島由ニ(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 五十嵐良明(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 松岡厚子(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 井上博之((財)食品農医薬品安全センター)
  • 池内 健(京都大学再生医科学研究所)
  • 高久田和夫(東京医科歯科大学生体材料工学研究所)
  • 馬渕清資(北里大学医療衛生学部)
  • 佐藤道夫(国立医薬品食品衛生研究所)
研究区分
厚生科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬安全総合研究事業
研究開始年度
平成13(2001)年度
研究終了予定年度
平成15(2003)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
臨床との相関性をもった試験方法、ガイドライン開発をする。公開データをもとに、市販後の不具合情報データ・ベース作成・解析を行う。具体的には、八つの課題に取組む1)天然医用材料の安全性確保のためのエンドトキシン評価手法の開発、2)新規材料の免疫原性評価手法の開発、3)材料発癌評価手法の開発、4)新規材料のインビボ発癌実験、5)セラミックス関節磨耗試験法の開発、6)非破壊・耐久性試験による人工関節用具評価手法の開発、7)人工関節の力学的・組織学的評価手法の開発、8)整形インプラント製品の不具合情報(公開)データ・ベースの構築・解析・利用手法の開発
研究方法
1)LPSの熱安定性の再評価を7種の溶液で、室温から100℃の温度範囲で72時間まで追跡した。リムルス試験で測定し、LPSの構造変化(LSI-MS)を確認した。不活化剤5種を用いてLPS活性変化を測定した。2)感作性強度の異なるゴム材料中の添加剤について各種溶液で抽出し、HPLCを用いて分析した。マウスlocal lymph node assay,モルモットGPMTを用いて各種溶液について感作強度を比較した。即時型アレルギーは、陽性蛋白質とアジュバントを用いてマウスで試験し、IgE抗体、サイトカイン測定を行った。3)生分解性材料をすりつぶし、粒子を作製した。4)ラット皮下に生分解性粒子、遺伝毒性含有フィルムをそれぞれ埋植した。5)ピンオンデイスク、ボールオンデイスクおよび端面型の磨耗試験機でセラミックスとポリエチレンの磨耗試験を行った。6)プレートおよびスクリューについて、4点曲げ試験、骨モデル装着による軸負荷試験を実施した。7)大腿骨の形状、材質を模倣した樹脂モデルに感圧紙を挿入して、種々の人工股関節ステムの固定部分の力学的安定性を実験的に評価した。8)整形外科インプラントの市販後の不具合データ収集を目的として国内外の文献調査を行った。
結果と考察
1)エンドトキシンを失活させない抽出溶媒、抽出条件について検討し、エンドトキシン回収法を開発した。天然由来材料中のエンドトキシンを酸性電解水で不活化する方法を開発した。2)マウスを用いた遅延型アレルギー及び即時型アレルギー試験法を検討した。材料からの適切な試験溶液調製法を確立すれば、マウスを用いて遅延型、即時型の両アレルギー反応を評価できる可能性を示すことができた。3)新規生分解性材料および遺伝毒性物質含有材料のin vivo発癌実験のための材料調製を行った。4)遺伝毒性物質添加ポリウレタンならびにポリ乳酸粒子のin vivo癌原性試験を開始した。5)アルミナ/ジルコニアを組み合わせると応力集中によって比磨耗量が上昇するが、ポリエチレンを用いる場合よりはるかに低かった。6)粗悪な製品の曲げ疲労試験を行った結果、繰り返し荷重とともにプレートは変形していき、最終的に疲労破壊を生じることがわかった。7)Fit&Fit Typeステムではわずかな外乱の影響で、近位内側に不安定な圧力分布の変化が起こった。一方、十字ステムではあまり圧力分布の変化はみられなかった。8)整形外科インプラントの破損に関しては、人工関節(膝・股関節)、骨接材、脊椎関連用具の不具合報告が多かった。
結論
1)エンドトキシン回収法と新たな不活化法を開発した。2)材料の感作性を評価する際の試験溶液として、オリーブ油より有機溶媒抽出物が望ましく、LLNAでもGPMTと同様の評価が可能
である。試験蛋白はアジュバンドと共に投与する方が抗原特異的即時型アレルギー反応を引き起こしやすい。3)発癌リスクをin vitroで評価可能な手法を開発できる。4)生分解性粒子を埋植したラット30匹のうち5匹は、強い浮腫反応により、早期に死亡した。5)アルミナ/ジルコニアの組み合わせは、人工関節に応用できる。6)ASTM規格において規定されている4点曲げ試験および骨モデル装着への軸負荷試験は、実施上、不都合な点があった。7)試作した人工関節安定試験器を用いて、固定部分の応力分布を求めることにより、望ましい人工関節のデザインについて、ガイドラインを作成することができる。8)国内の不具合情報に関する文献調査を行うと共に、米国の整形外科分野不具合情報データについて種々の検索が可能なように加工し、検索プログラムを作成した。

公開日・更新日

公開日
-
更新日
-