文献情報
文献番号
200100973A
報告書区分
総括
研究課題名
医療用具の有効性、安全性評価手法に関する国際ハーモナイゼーション研究
課題番号
-
研究年度
平成13(2001)年度
研究代表者(所属機関)
桜井 靖久(東京女子医科大学、早稲田大学大学院)
研究分担者(所属機関)
- 岡野光夫(東京女子医科大学)
- 上田慶二(東京都多摩老人医療センター、医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構)
- 土屋利江(国立医薬品・食品衛生研究所)
- 豊島聡(国立医薬品・食品衛生研究所医薬品医療機器審査センター)
- 吉田正人(日本医療機器関係団体協議会)
研究区分
厚生科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬安全総合研究事業
研究開始年度
平成13(2001)年度
研究終了予定年度
平成15(2003)年度
研究費
23,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
進歩した有効性の高い医療用具の研究開発を促進し、できるだけ速やかに多くの人々に国際的に適用するために必要とされる、医療用具承認申請に関する国際ハーモナイゼション推進のための協議が、GHTF、ISOなどにおいて進められている。この際、不要な試験の重複を避け、有効的迅速性を高めるために、医療用具規制に関わる障壁を、科学的な裏づけのもとに取り除いていくことが重要であり、そのために産官学が協力して実学的研究を実施する事が必要である。日本の国際的立場を考慮し、日米EU等の医療用具規制の国際的調和のための科学的根拠を構築することが本研究の目的である。
研究方法
各分担研究者ごとに数回づつの研究会を開催し、課題の討議と研究内容の分担をきめ、文献、ヒアリング、国内外調査実験等の方法を用いて、研究を実施した。また、研究班の分担研究者等が一堂に会して、国立医薬品食品衛生研究所医薬品医療機器審査センターにおいて、平成13年12月19日に総会を開催した。
結果と考察
本研究においては、分担する研究項目ごとに独自性があるので、それぞれの項目別に以下に概要を記す。
1)生物安全性試験その他前臨床試験一般に関する研究(分担研究者・土屋利江)
材料による感作性試験と細胞毒性試験について、国内外の現行法等について、実験的評価を行ない、得られた科学的データに基づいて、国内ガイドライン改訂に対して、安全性と実用性の高い提案を行なうものである。感作性評価については、モルモット・マキシミゼーション・テスト(GPMT)に際して、生食抽出、植物油抽出よりも有機溶媒抽出法の方がヒトにおける感作性を予測するのに適当であった。また細胞毒性については血清含有培地を用いたコロニー法がElution test法よりも鋭敏で優れていることがわかった。
2)細胞組織医療用具(分担研究者・岡野光夫)
細胞・組織を利用した医療用具tissue engineeringは、今後急速に進歩・普及していくものと思われる。そこで、本研究ではまず国内外の現状を十分に調査把握し、ガイドラインづくりの推進を目標として、日米EU等における規制内容、基準、ガイドライン等の作成状況を比較検討した。皮膚、骨、軟骨、角膜、心臓弁、血管についてはすでに臨床応用がされており、また細胞移植治療も脳、心筋、閉塞性動脈硬化症等の虚血部位に対して臨床応用されている。ISO/TC150においても組織工学についての国際標準化のWG設置が進められつつある。基準等については、日欧米の対比により、共通点と相違点が指摘できた。本分野の開発・実用化は日進月歩であり、既に臨床応用されているものについては問題点をさらに詳細に分析し、今後必要となる安全性・機能性の評価法の検討、不測の事態への柔軟・迅速な対応システム等についての国際標準化の可能性追求が必要とされる。
3)臨床分野(分担研究者・上田慶二)
医療用具の治験についての基準(医療用具GCP)は平成4年7月に通知されているが、現在、ISOにおいて国際協調が検討されており、また医薬品の臨床試験については、ICH GCPに基づく新しい基準が実施されているので、これらを基礎として医療用具の新しいGCPとその国際調和について検討した。医薬品と用具とでは本質的な違いがあり、不具合、予想される有害事象、保守管理、取扱説明等についての記載も必要である。また医療用具GCPの主な適用範囲には改正される薬事法上の「高リスク医療機器」や「新規の機器」とすることが適当かと思われた。
4)承認申請資料分野および海外調査(分担研究者・豊島聡、吉田正人)
医療用具の市販前評価において不要な動物実験や臨床試験を省き、効率的に迅速に進歩した用具を実地に供するための国際協調を推進するために、数百種におよぶ欧米の各種基準の一覧表を作成した。GFTFにおいて技術概要文書(STED)のガイダンス・ドキュメントが作成されたことを踏まえ、わが国の医療用具承認審査へのSTED導入方策検討のため、現行資料概要との比較検討を行なった。STED導入は国際的整合性からも重要であるが、申請者側の作業も膨大であり、なお試行錯誤の繰り返しが予想される。
1)生物安全性試験その他前臨床試験一般に関する研究(分担研究者・土屋利江)
材料による感作性試験と細胞毒性試験について、国内外の現行法等について、実験的評価を行ない、得られた科学的データに基づいて、国内ガイドライン改訂に対して、安全性と実用性の高い提案を行なうものである。感作性評価については、モルモット・マキシミゼーション・テスト(GPMT)に際して、生食抽出、植物油抽出よりも有機溶媒抽出法の方がヒトにおける感作性を予測するのに適当であった。また細胞毒性については血清含有培地を用いたコロニー法がElution test法よりも鋭敏で優れていることがわかった。
2)細胞組織医療用具(分担研究者・岡野光夫)
細胞・組織を利用した医療用具tissue engineeringは、今後急速に進歩・普及していくものと思われる。そこで、本研究ではまず国内外の現状を十分に調査把握し、ガイドラインづくりの推進を目標として、日米EU等における規制内容、基準、ガイドライン等の作成状況を比較検討した。皮膚、骨、軟骨、角膜、心臓弁、血管についてはすでに臨床応用がされており、また細胞移植治療も脳、心筋、閉塞性動脈硬化症等の虚血部位に対して臨床応用されている。ISO/TC150においても組織工学についての国際標準化のWG設置が進められつつある。基準等については、日欧米の対比により、共通点と相違点が指摘できた。本分野の開発・実用化は日進月歩であり、既に臨床応用されているものについては問題点をさらに詳細に分析し、今後必要となる安全性・機能性の評価法の検討、不測の事態への柔軟・迅速な対応システム等についての国際標準化の可能性追求が必要とされる。
3)臨床分野(分担研究者・上田慶二)
医療用具の治験についての基準(医療用具GCP)は平成4年7月に通知されているが、現在、ISOにおいて国際協調が検討されており、また医薬品の臨床試験については、ICH GCPに基づく新しい基準が実施されているので、これらを基礎として医療用具の新しいGCPとその国際調和について検討した。医薬品と用具とでは本質的な違いがあり、不具合、予想される有害事象、保守管理、取扱説明等についての記載も必要である。また医療用具GCPの主な適用範囲には改正される薬事法上の「高リスク医療機器」や「新規の機器」とすることが適当かと思われた。
4)承認申請資料分野および海外調査(分担研究者・豊島聡、吉田正人)
医療用具の市販前評価において不要な動物実験や臨床試験を省き、効率的に迅速に進歩した用具を実地に供するための国際協調を推進するために、数百種におよぶ欧米の各種基準の一覧表を作成した。GFTFにおいて技術概要文書(STED)のガイダンス・ドキュメントが作成されたことを踏まえ、わが国の医療用具承認審査へのSTED導入方策検討のため、現行資料概要との比較検討を行なった。STED導入は国際的整合性からも重要であるが、申請者側の作業も膨大であり、なお試行錯誤の繰り返しが予想される。
結論
各国で個別に実施された医療用具の試験データ等の相互受け入れを可能にして、迅速な開発・普及をはかるためには、十分に科学的・文化的に整合性のとれた国際協調が不可欠である。ISO、GHTF、IEC等の国際ガイドライン作成に、わが国から根拠のある基盤データや論理を提供することは国益の点からもきわめて重要である。医療用具の有効性・安全性評価手法、承認基準等について産官学の討論を深めて、科学的基盤を構築することは必要なことであると結論付けられた。
公開日・更新日
公開日
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更新日
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