リウマチ・アレルギー疾患の研究・診療に関する的確かつ迅速な情報収集・提供体制の確立に関する研究―患者、医療関係者、研究者、一般国民を対象とした包括的情報網の確率をめざして-(総括研究報告書)

文献情報

文献番号
200100806A
報告書区分
総括
研究課題名
リウマチ・アレルギー疾患の研究・診療に関する的確かつ迅速な情報収集・提供体制の確立に関する研究―患者、医療関係者、研究者、一般国民を対象とした包括的情報網の確率をめざして-(総括研究報告書)
課題番号
-
研究年度
平成13(2001)年度
研究代表者(所属機関)
長谷川 眞紀(国立相模原病院)
研究分担者(所属機関)
  • 秋山一男(国立相模原病院)
  • 當間重人(国立相模原病院)
  • 赤澤晃(国立成育医療センター)
  • 須甲松伸(東京芸術大学)
研究区分
厚生科学研究費補助金 先端的厚生科学研究分野 感覚器障害及び免疫アレルギー等研究事業(免疫・アレルギー等研究分野)
研究開始年度
平成13(2001)年度
研究終了予定年度
平成14(2002)年度
研究費
14,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国総人口の約3分の1が罹患していると言われるアレルギー疾患(気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎等)や、著しい運動機能障害により悲惨なQOL阻害を来すリウマチ性疾患等の免疫異常に基づく疾患については、未だその発症・増悪機序について不明の部分が多く、発症予防はおろか増悪予防についても十分に確立されているとは言い難い。まして治癒をめざした根治療法については多くの研究者が基礎・臨床研究に鋭意邁進しているものの未だ確立したものはない。このような現況にあっては、慢性疾患としての免疫・アレルギー疾患の日常診療において、EBM(Evidence Based Medicine)に基づいた医療者側の的確な診断・治療法の選択、実施とともに正しい情報に基づいた患者側の医療の選択・自己管理、一般国民の疾病に対する十分な理解が重要である。本研究では、免疫アレルギー疾患の準ナショナルセンターである国立相模原病院を情報収集・発信のキーステーションとして位置づけ、免疫アレルギー疾患に関するup-to-dateな研究情報、診療情報、行政情報等を、患者、医療従事者、研究者および一般国民を対象として全方位的に幅広くかつ的確な情報収集を行い、日本アレルギー学会、日本リウマチ学会等の当該学界において認知された学術団体と連携するとともに、日本アレルギー協会、日本リウマチ財団、日本医師会等とも緊密な連携をとってEBMに裏付けされた迅速、かつ正しい情報発信を行うための基盤整備を行うことを目的とする。本研究の成果を還元することにより、当該疾患罹患患者にとっては専門医療機関、専門医へのアクセスが容易となり、ドクターショッピングの回避やアトピービジネスと呼ばれる悪徳商法に惑わされることがなくなり、また一般国民に疾病に対する理解が深まれば、療養環境がより整えられるものと考えられる。医療従事者にとっても最新の診療・治療情報とともに適切な専門施設、専門医への紹介、関連行政情報の入手が可能となり、日常診療に大きな支援となることが期待される。研究者にとっても膨大な研究情報の収集、把握に資することができれば、今後の研究の推進が加速され、大きな研究成果が期待される。
研究方法
積極的に情報を求めている患者・一般国民、医療従事者、研究者にとってもっとも容易に、誰でもアクセスできる情報媒体はインターネットであると考えられる。現時点でも免疫アレルギー疾患に関するインターネット情報は玉石混淆で多量に存在するが、アレルギー性疾患、リウマチ性疾患両方を統一的にしかも患者・一般国民、医療従事者、研究者のすべてに対して本邦から発信した情報はまだない。インターネット上にそういう目的を持ったホームページを立ち上げる。ホームページの概略を図に示す。ホームページ名は「リウマチ・アレルギー情報センター」とし、トップページのドメインはwww.allergy.go.jp(取得済み)とする。トップページからリウマチページ、アレルギーページ、厚生科学研究ページへ入ることができる構造とし、厚生労働省ホームページへのリンクを張る。
リウマチページもアレルギーページも内容は(1)専門医・専門施設紹介、(2)学会・研究会・講演会情報、(3)EBM集、(4)薬剤情報、(5)治験情報、(6)Q and A(FAQ)、(7)リンク、(8)ガイドラインとする。厚生科学研究情報では厚生科学研究として行われている研究概要とリウマチ・アレルギー白書(仮称)を公開する予定である。専門医・専門施設紹介ではリウマチはリウマチ財団のホームページ、アレルギーはアレルギー学会のホームページにリンクし、地図付きの情報として公開する。Q and A は一般からの質問を受け付けるかどうか難しいところであるが、もしそれを行うならば質問を受け付け、適当な回答者に廻すために、かなりの専門知識を持った専任の要員を確保しなければならない。質問の一つ一つに答えるのではなく、類似した質問を一般的質問にまとめて回答しても良い。それ以外に想定質問によるFAQを作成する。ガイドラインについてはアレルギー学会で各アレルギー疾患に対して作成された診断・治療ガイドラインを掲載する予定であるが、著作権の問題をクリアーしなければならない。
結果と考察
上記の情報を提供するホームページを立ち上げるにあたり、コンテンツについて、あるいは問題点について班会議で討議した。またその前段階としての研究を各分担研究者が行った。専門医・専門施設紹介を地図付きで提供することについては、アレルギー学会のインターネット委員会の委員でもある分担研究者須甲により、了解を取った。またアレルギー疾患を持つ患者の38%がインターネットを利用しており、現在利用していない患者・家族でも半数以上の人が将来利用したいと考えていることがわかった。これは一般人口の中のインターネット利用者比率13%に比べると高く、アレルギー疾患の患者において積極的に情報を得たいという気持ちが強いことを示している(須甲)。国立小児病院のアレルギー研究室の経験では、検索エンジンに掲載されれば年間30,000件以上のアクセスがあり、積極的に情報を得ようとする人々が多数存在することを示している(赤澤)。
今後の課題=一年ですべてのコンテンツを収集してホームページに掲載することは時間的、物理的に不可能である。1年目はまず専門医・専門施設情報、学会・研究会・講演会情報、リンク集、厚生科学研究情報をいれてできるだけ早期にホームページを立ち上げたい。他のコンテンツは翌年次以降の掲載となるが、すでに掲載されている内容についても適当な時期に更新が必要である。これらの事項に関する要員、費用について十分に手当てする必要がある。
結論
リウマチ性疾患、アレルギー性疾患に関するup-to-dateな情報を、一般国民、患者・家族、医療関係者、研究者に対して発信する体制を確立するための研究を開始した。情報媒体としてインターネットを選択し、ホームページを開設する準備を進めている。ホームページの構築は専門家に委託し、コンテンツに関して研究者の間のコンセンサスを得るための会議を持った。コンテンツを決め、順次充実させながらホームページを維持、発展させていく予定である。

公開日・更新日

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研究報告書(紙媒体)

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