網膜投影デイスプレイ装置による視覚障害者の社会復帰(総括研究報告書)

文献情報

文献番号
200100776A
報告書区分
総括
研究課題名
網膜投影デイスプレイ装置による視覚障害者の社会復帰(総括研究報告書)
課題番号
-
研究年度
平成13(2001)年度
研究代表者(所属機関)
白木 邦彦(大阪市立大学大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 安成隆治(大阪市立大学大学院医学研究科)
  • 中村 肇(大阪市立大学大学院医学研究科)
  • 志水英二(大阪市立大学大学院工学研究科)
  • 髙橋秀也(大阪市立大学大学院工学研究科)
研究区分
厚生科学研究費補助金 先端的厚生科学研究分野 感覚器障害及び免疫アレルギー等研究事業(感覚器障害研究分野)
研究開始年度
平成13(2001)年度
研究終了予定年度
平成14(2002)年度
研究費
12,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
①マックスウェル視の光学系を用いた開発済みの卓上型網膜投影装置を拡大読書機として使用し、読書機としての機能を検証する。②低視力(ロービジョン)者の視覚補助装置として、マックスウェル視を用いた網膜投影装置を小型化して頭部掲載可能なものを開発する。③残存視機能検査装置として最も見やすい偏心固視領域を同定するための装置をマックスウェル視を用いた網膜投影装置として開発する。④残存視機能検査装置に使用する検査と同様の疑似検査をコンピューターのモニター上で実現し、走査型レーザー検眼鏡によるビズメトリーでの結果と比較して検査結果の有効性を検討する。
研究方法
①開発済みの卓上型網膜投影装置と、市販されているフェイスマウント式ビデオモニターを用いた拡大読書機とで、読書速度を比較する。②光源に白色発光ダイオードを使用して、レンズ光学系の焦点距離を小さくすることで小型化する。また額帯鏡類似のものを用いて頭部搭載可能とする。③卓上型と同様に、赤色ダイオードレーザーをホログラム板を使用し、視野角を大きくとって眼底後極部の広い範囲で文字が投影できるようにする。④ランドルト環を様々な位置および大きさでコンピューターのモニター上に提示するプログラムを開発する。そして同検査装置で得られた最も見やすい偏心固視領域と、走査型レーザー検眼鏡のビズメトリー検査によって得られた見やすい領域を比較する。
結果と考察
①卓上型網膜投影装置と市販のフェイスマウント式拡大読書機の読書速度に有意な差はみられなかった。卓上型網膜投影装置で読書速度が遅いにもかかわらず、文字の線が卓上型網膜投影装置でより鮮明にみえるとした症例がみられた。②白色発光ダイオードを使用した頭部掲載型の網膜投影装置を開発した。③ダイオードレーザーとホログラム板を使用した最も見やすい偏心固視領域を探し出す網膜投影検査装置を開発した。④網膜投影検査と類似の検査をモニター上に擬似的に表示した。走査型レーザー検眼鏡のビズメトリー検査では検査できる領域が限られ中心暗点が大きい場合には、眼の動きが大きすぎかつ偏心固視領域を広範囲に検査することはできなかった。しかし、疑似検査の方が実際に即した検査法であった。
結論
①卓上型網膜投影装置は拡大読書機として未完成にもかかわらず、市販の拡大読書機と同様に有効に読書機として使用することができた。②屈折矯正を必要としない携帯型の視覚補助装置を開発する可能性を確認した。③マックスウェル視光学系を用いた網膜投影検査によって、もっとも見やすい偏心固視領域を検出する手段を手にすることができた。④網膜投影検査に使用する検査方法の妥当性を確認した。

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研究報告書(紙媒体)

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