難治性感覚器疾患の遺伝情報網および遺伝子診断システムの確立

文献情報

文献番号
200100770A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性感覚器疾患の遺伝情報網および遺伝子診断システムの確立
課題番号
-
研究年度
平成13(2001)年度
研究代表者(所属機関)
岩田 岳(国立病院東京医療センター)
研究分担者(所属機関)
  • 田中靖彦(国立病院東京医療センター)
  • 東範行(国立成育医療センター)
  • 奥山虎之(国立成育医療センター)
研究区分
厚生科学研究費補助金 先端的厚生科学研究分野 感覚器障害及び免疫アレルギー等研究事業(感覚器障害研究分野)
研究開始年度
平成13(2001)年度
研究終了予定年度
平成15(2003)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
国立病院東京医療センター・感覚器センターを中心とした感覚器ネット(www.kankakuki.go.jp)を構築し16の関連施設との連携で(1)難治性感覚器疾患患者紹介システムの整備、(2)感覚器遺伝子診断システムの開発、(3)日本人に特化した遺伝子変異データーベースの構築、(4)臨床に役立つ感覚器疾患遺伝子情報公開システムの構築を目的とする。
研究方法
(1)国立病院東京医療センターを中心とした患者紹介システムの確立
国立病院東京医療センターを中心とする遺伝性感覚器疾患症例入力システム、暗号化システム、匿名化システムの骨格となるインフラの整備を行う。参加していただく関連施設としては国立療養所西札幌病院、国立療養所小樽病院、国立療養所札幌西病院、国立仙台病院、国立千葉病院、国立名古屋病院、国立金沢病院、国立京都病院、国立大阪病院、国立療養所千石荘病院、国立病院岡山医療センター、国立善通寺病院、国立療養所香川小児病院、国立病院九州医療センター、国立病院長崎医療センター、国立熊本病院の計16施設を予定している。最初のプロジェクトとして緑内障の症例入力システムの開発を行った。
(2)日本人を対象とした遺伝子診断システムの確立および臨床への応用
日本人に多く発見される遺伝子変異および眼疾患と相関性の高い遺伝子多型を解析するための遺伝子診断システムの開発を行う。この数年間に新たに開発された多数の遺伝子検出法の中で、特に将来が期待される、インベーダー法(BML)、スタンフォード型ガラスチップ(日本レーザー電子)、ECAチップ(TUM研究所)などについて検討を行った。特に検出感度、作業工程数、検出機や試薬の価格などを検討した。
結果と考察
結果
(1)患者紹介システム
インターネットを使って感覚器ネット症例登録ウェッブページ https:// niso.kankakuki.go.jp/karte/login.jsp から患者情報を安全に入力できるシステムを確立した。暗号化は一般に使われているSSL方式を採用し、通信は双方向ではなく一回限りの受信方向のみとすることにより安全性を高めている。登録用ウェブサーバーは受信した内容を復号化して内容をチェックする。チェック項目としては入力規定に沿った内容であるか、ウイルスの感染はないか、不正なスクリプトが含まれていないかである。内容に不備がある場合には新規に送信を要求するメッセージを端末の画面に出力するようにした。内容に不備がない場合にはデーターは東京医療センター内の厳重に管理された部屋に設置されているデーター格納用サーバーに移されここで保存される。オペレーターによってCD-Rへの書き込みが行われ、サーバー内のデーターが消去されることにより不正アクセスが内・外部からあったとしても物理的にデーターが存在しないようにした。
(2)遺伝子診断システム
今回遺伝子診断の対象に日本人での解析が進んでいる緑内障遺伝子ミオシリンを選択した。試験的に20の変異を選別してインベーダー法とスタンフォード型ガラスチップなどを検討中である。
考察
今回構築した感覚器ネット症例登録システムで問題となっているのが眼底写真などの添付ファイルの増加にともなう送信時間の延長である。各病院でのインターネットへの接続環境が異なり、中にはホスピネット以外にインターネットへの接続手段を持たない病院が多数あることが判明した。ホスピネットの送信速度では画像を送るのに時間がかかり効率的な症例登録が困難な状況にある。今回、我々は最近一般家庭でも普及してきたADSLなどの高速回線を利用してインターネット経由でも安全に症例を登録できるシステムを構築した。暗号化はオンライン銀行振り込みやオンラインショッピングなどで世界的に信頼を得ているSSL暗号化方式を採用した。端末コンピューターのOSをWindows 2000あるいはWindows XPに限定し、ブラウザーもInternet Explorer 6.0以上の制限を設けることにより、暗号化が確実に行われるようにした。送り手と受け手との通信回数を1回に限定した結果、データー更新を行う際に過去のデーターをサーバーから端末側に送信しない設計になっている。そのために過去データーを見ながら更新内容のみを変更することができない。この問題を解決する手段として入力項目のテンプレート(FileMaker)を各施設に供給してこのプログラムで症例登録項目を入力し、CVSファイルを作成して、これを症例登録ウェッブページに画像と同じよう手順で添付できるようにした。この改善によって入力者は送信済みのデーターを手元に保存できるだけでなく、17施設が統一された入力項目形式を扱っているので、相互に情報を交換することも可能になった。今後細部にわたってこのネットワークの調整を行いたい。
遺伝子変異検出装置については近年原理的に異なる多数の方法が考案され紹介されているが感覚器疾患を対象としたもので稼動しているのはない。今回の調査で検出感度について満足できるものが複数存在することが確認された。しかしながらインベーダー法を除く全ての方法ではPCRをする必要があり、この工程が入ることにより自動化が困難となり、また自動化した場合に高価な検出機となってしまうことが判明した。検出感度が高く、作業工程数が最も少ないインベーダー法についてミオシリン遺伝子、オプチニューリン遺伝子で発見されている20の異なる変異を検出できる緑内障患者と正常者のDNA検体を使って現在実験が行われている。緑内障遺伝子診断システムの開発についてはすでに東京医療センター倫理委員会で承認されており、関連施設についても同様に申請を行うように要請を行っている。
結論

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研究報告書(紙媒体)

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